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写真・映像作家、著述家、本物の日本遺産イニシアティブ+メディアアートリーグ代表。日本の1400年の精神文化を世界発信

勝つためのこころー柳生新陰流 前宗家の教え

2008-02-09 23:26:26 | Weblog
勝つためのこころー柳生延春師範の教え

「きのうのわれに きょうはかつべし」を座右の銘にスタートさせた新年_。

 この言葉を教えてくだった柳生新陰流の前宗家・柳生延春師範には、かつて勝つための哲学の一端を教えていただきました。
 それは「勝つためのこころ」についてでした。

 勝つためには、まず自分の「勝ちたい」「打ち負かしてやろう」という気持ちから自由になること。
 そうして初めて、自分のこころという「最大の敵」から解き放たれ、相手の「活き」を「わがもの」として使う余裕が生まれるのです。

 延春師範はよく「全身の力を抜き切って、『さあ、いらっしゃい』という気持ち、『いつでも来い』という余裕綽々たる気持ちの中でこそ、敵の動きを正確に視ることができ、自らの力として使うことができる」とおっしゃっていました。それは剣が上手の相手でも、相手の力に乗じて巧く使うことで、勝つ事ができる、ということです。

 これを「運命」に置き換えてみると、人生のさまざまな局面でも、大切な秘訣であることに気がつきます。

 私はいつも「運命に負けたくない」という気持ちで、人生に降り掛かる「重荷」をバネに、人生に立ち向かってきました。
 大学卒業後、最初にドイツに移住する前_。そしてドイツから一旦、日本に戻ったとき、その後、再びアメリカに移住する際にも、すべて「運命に負けたくない」という気持ちで、自分のもてる全てを賭けてきました。
「運命との一対一の真剣勝負」といったあまりにも真面目すぎる覚悟で、振り返る余裕など一切なく、「次に来るもの」の未知の可能性に次々と挑んできました。

 しかしアメリカから4年前に帰国した時は、個人的な葛藤ではなく、より大きな目標に向かうことになりました。私自身このときになってはじめて、人生の重荷と表裏一対だった、「運命に負けたくない」という気持ちから自由になれました。

 柳生師範のことばを思い出すなら、ここではじめて運命を「わがもの」として味方につけることができるようになったのかもしれません。

 どんな逆境にあっても、「さあ、いらっしゃい」という余裕、困難さの中にも「活き」をみつけ、それに乗じて、状況そのものから知恵を絞りだす、そんなこころを持ち続けていきたいものです。


 伊藤美露
 http://www.miroito.com
 text and photo by miro ito, all rights reserved.
 sky over kamiuma, 01.22.2008


 ※現在私が『アサヒカメラ』で連載中の「極意で学ぶ 写真ごころ」のなかでも、柳生新陰流に限らず、日本文化の極意論を展開していきます。よろしければ、併せてお読みください。

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