未来へ紡ぐ 華厳の光~東大寺 国宝 日光菩薩立像・月光菩薩立像
伊藤みろ 写真作品展示
開催にあたって
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2015年10月7日~9日(10:00-17:00)
第42回国際福祉機器展
東京ビックサイト東展示ホール (入場無料)
日本ケアコミュニケーションズCSR活動展示 (No.6~18~12)
http://www.hcr.co.jp
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2015年は、戦後70年の節目の年であり、世界を取り巻く試練はますます強まりつつあるように思われます。
温暖化による天変地異の激化や、世界に広がる紛争の渦と国際的な難民問題、環境破壊や感染症といった「地球規模の困難」とともに生きる時代にあって、いま「生かされていること」のありがたさを、強く実感する思いです。こうした厳しい時代だからこそ、「祈り」という人間に与えられた、心の力を信じていきたいと思います。
現代の日本は、ある意味で1300年前の状況と比較することができるかもしれません。かつて相次ぐ天変地異や飢饉、疫病、干魃などの未曾有の試練を、国民が一丸となって乗り越えるために、聖武天皇の発願により、盧舎那大仏が造られました。
人も世界も宇宙も、すべてがつながっているという「華厳の教え」によって、人々が心をひとつにし、復興と希望の光として、動植物までもことごとく栄えるよう、大仏さまが造立されたのです。この空前の規模の国づくり事業には、延べ260万人の国民が参加しました。当時の日本の人口が500万人ほどだといわれた時代に、二人に一人が参加したわけです。
一方、開かれた国際都市となった平城京には、盛唐の文化様式が花開き、ヘレニズム文化の影響を受けたギリシア的な写実性と人間性への深い洞察力を表現として結実させた、天平彫刻が作られました。東大寺では、日本を代表する国宝の一つである法華堂・戒壇院の塑造彫刻群の一具として、日光菩薩立像・月光菩薩立像も作られました。
日光菩薩立像と月光菩薩立像は、祈りをテーマに作られた屈指の名作です。天平時代に聖武天皇が人々の救済、そして仏教によって国を治め、国家の安泰と平和を目指したように、私たちがいま心をひとつにして、一体となって祈ることで、世の中に希望の光を発信することができないものでしょうか。そんな願いを込めて、このたび、天平の人々の祈りの心を思い起こし、その未来への継承と高齢者福祉に役立てたく、東大寺の特別協力を得て、日光菩薩立像と月光菩薩立像の写真作品を、掛け軸として展示させていただく運びとなりました。10月7日から9日まで、東京ビックサイトで開催される「第42回国際機器展」において、日本ケアコミュニケーションズのCSR活動の一環として、展示されます。
「祈る人」としての日光菩薩立像と月光菩薩立像は、ともに厳かに佇立合掌し、通常の菩薩とは異なり、装束を纏っています。菩薩の上半身は、裸体で表現されることから、日光・月光菩薩は、古くから梵天・帝釈天であると考えられてきました。実際には、2009年からの東大寺法華堂須弥壇(しゅみだん)の調査により、極めて貴重な発見の一つとして、日光・月光菩薩と戒壇院四天王および法華堂の秘仏である執金剛神(しつこんごうしん/しゅこんごうしん)はもともと一具であったこと、さらに日光・月光菩薩は梵天・帝釈天であることが確実視されるようになりました(注1)。
日光・月光菩薩(梵天・帝釈天)は、現在、東大寺ミュージアムにおいて、四月堂から迎えられ、中央に安置されている木造千手観音立像(平安前期、重要文化財)の左右に並び立ち、衆生を救うための祈りを、今日も捧げ続けています。
日光・月光両菩薩の天上的な慈しみを表情に滲ませた、厳かな救済の祈りの姿に、奈良の東大寺ミュージアムをはじめ、東京ビックサイトでの当展覧会にご来場くださる方々が、癒されることを願う次第です。
世界の平和をともに祈りながら、時方を超えて、光を見つめ続けていく活動をご一緒いただけたら、幸せに思います。
平成27年 仲秋のみぎり
伊藤みろ
(落款雅号:聖徳みろ)
フォトアーティスト・著述家/メディアアートリーグ代表
参考文献(注1):『奈良時代の東大寺』(東大寺発行、2011年)
_______________________________
特別協力:東大寺
機材協力:キヤノンマーケティングジャパン、イイノメディアプロ
写真キャプション:東大寺 月光菩薩立像 (奈良時代、国宝) 撮影:伊藤みろ
(C) Photo & Text by Miro Ito. All rights Reserved.
伊藤みろ 写真作品展示
開催にあたって
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2015年10月7日~9日(10:00-17:00)
第42回国際福祉機器展
東京ビックサイト東展示ホール (入場無料)
日本ケアコミュニケーションズCSR活動展示 (No.6~18~12)
http://www.hcr.co.jp
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2015年は、戦後70年の節目の年であり、世界を取り巻く試練はますます強まりつつあるように思われます。
温暖化による天変地異の激化や、世界に広がる紛争の渦と国際的な難民問題、環境破壊や感染症といった「地球規模の困難」とともに生きる時代にあって、いま「生かされていること」のありがたさを、強く実感する思いです。こうした厳しい時代だからこそ、「祈り」という人間に与えられた、心の力を信じていきたいと思います。
現代の日本は、ある意味で1300年前の状況と比較することができるかもしれません。かつて相次ぐ天変地異や飢饉、疫病、干魃などの未曾有の試練を、国民が一丸となって乗り越えるために、聖武天皇の発願により、盧舎那大仏が造られました。
人も世界も宇宙も、すべてがつながっているという「華厳の教え」によって、人々が心をひとつにし、復興と希望の光として、動植物までもことごとく栄えるよう、大仏さまが造立されたのです。この空前の規模の国づくり事業には、延べ260万人の国民が参加しました。当時の日本の人口が500万人ほどだといわれた時代に、二人に一人が参加したわけです。
一方、開かれた国際都市となった平城京には、盛唐の文化様式が花開き、ヘレニズム文化の影響を受けたギリシア的な写実性と人間性への深い洞察力を表現として結実させた、天平彫刻が作られました。東大寺では、日本を代表する国宝の一つである法華堂・戒壇院の塑造彫刻群の一具として、日光菩薩立像・月光菩薩立像も作られました。
日光菩薩立像と月光菩薩立像は、祈りをテーマに作られた屈指の名作です。天平時代に聖武天皇が人々の救済、そして仏教によって国を治め、国家の安泰と平和を目指したように、私たちがいま心をひとつにして、一体となって祈ることで、世の中に希望の光を発信することができないものでしょうか。そんな願いを込めて、このたび、天平の人々の祈りの心を思い起こし、その未来への継承と高齢者福祉に役立てたく、東大寺の特別協力を得て、日光菩薩立像と月光菩薩立像の写真作品を、掛け軸として展示させていただく運びとなりました。10月7日から9日まで、東京ビックサイトで開催される「第42回国際機器展」において、日本ケアコミュニケーションズのCSR活動の一環として、展示されます。
「祈る人」としての日光菩薩立像と月光菩薩立像は、ともに厳かに佇立合掌し、通常の菩薩とは異なり、装束を纏っています。菩薩の上半身は、裸体で表現されることから、日光・月光菩薩は、古くから梵天・帝釈天であると考えられてきました。実際には、2009年からの東大寺法華堂須弥壇(しゅみだん)の調査により、極めて貴重な発見の一つとして、日光・月光菩薩と戒壇院四天王および法華堂の秘仏である執金剛神(しつこんごうしん/しゅこんごうしん)はもともと一具であったこと、さらに日光・月光菩薩は梵天・帝釈天であることが確実視されるようになりました(注1)。
日光・月光菩薩(梵天・帝釈天)は、現在、東大寺ミュージアムにおいて、四月堂から迎えられ、中央に安置されている木造千手観音立像(平安前期、重要文化財)の左右に並び立ち、衆生を救うための祈りを、今日も捧げ続けています。
日光・月光両菩薩の天上的な慈しみを表情に滲ませた、厳かな救済の祈りの姿に、奈良の東大寺ミュージアムをはじめ、東京ビックサイトでの当展覧会にご来場くださる方々が、癒されることを願う次第です。
世界の平和をともに祈りながら、時方を超えて、光を見つめ続けていく活動をご一緒いただけたら、幸せに思います。
平成27年 仲秋のみぎり
伊藤みろ
(落款雅号:聖徳みろ)
フォトアーティスト・著述家/メディアアートリーグ代表
参考文献(注1):『奈良時代の東大寺』(東大寺発行、2011年)
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特別協力:東大寺
機材協力:キヤノンマーケティングジャパン、イイノメディアプロ
写真キャプション:東大寺 月光菩薩立像 (奈良時代、国宝) 撮影:伊藤みろ
(C) Photo & Text by Miro Ito. All rights Reserved.
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