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お酒のお供Y・・・127

2015-03-10 15:20:06 | 日記


明け烏(あけがらす)

地主の若旦那・時次郎は無類の堅物で通っていた。

酒も女も大の苦手で遊びをまったくやらず、

部屋にこもって勉強ばかりしているような男。

その時次郎が珍しく父親に外出してもいいかと切りだした。

同じ町内の源兵衛と太助に、浅草の観音様の裏手にあるお稲荷様へ

お籠もりに誘われたのだという。

父親はニコニコ顔で小遣いを与えて送りだした。

時次郎は知らないが、お稲荷様とは吉原遊廓のこと。

じつは堅物の息子をなんとかもう少し柔らかくしたいと思案した父親が、

遊び人として名の通った二人にせがれをうまく教育してくれるよう頼んだのだった。

さて、源兵衛と太助に連れられて大門をくぐった時次郎。

店にあがるまでは稲荷神社でお籠もりをするのだとばかり思っていたが、

おいらんの姿を見てだまされたと気がつき、家に帰るといって泣きだす始末。

あまりの強情さに困った二人は「吉原のきまり」でおどすことにした。

入るときと出るときの人数が違っていたら大門の番人に捕まってしまう。

先日も一年も止められた奴がいるくらいで、

一人だけ先に帰るわけにはいかないというのだ。

もちろん、そんな規則などないが、世間知らずの時次郎はすっかり真に受け、

しぶしぶ店にあがるのを承知した。やがて、それぞれがおいらんの部屋に。

こういうときにもビギナーズラックがあるらしく、

時次郎の相方は歳は十八、そのうえ絶世の美人で浦里というおいらんがついた。

翌朝、あまりいい目にあわなかった源兵衛と太助は、

早くから起きだしブツブツと文句を言っていたが、

そのうち時次郎の部屋をのぞいてみようという話になった。

ふてくされているだろうと部屋にいってみると、

意外にも時次郎はまだおいらんと布団の中にお籠もり中。

二人にのぞかれると真っ赤になって布団にもぐってしまった。

二人がひやかすと「もう一晩お籠もりしたい」などと、ぬけぬけと答える。

ばかばかしくなった二人は、早く連れて帰ろうと

おいらんに時次郎を起こしてくれるように頼むが、

いくら言われても時次郎は布団から出ようとしない。

理由を尋ねると、おいらんが手をギュッと握って離さないとかなんとか。

女郎買いはいやだと泣いたのが嘘みたいな変身ぶりに、二人はあきれてしまった。

「怒ってもしょうがねえよ。じゃ坊っちゃん、あたしらは先に帰りますから」

「先に帰れるもんなら帰ってごらんなさい。大門で止められるから」

立川志の輔  古典落語100席引用

こてんこってんですね。

こてんこってんでもそらをよろしく。



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