Tシャツとサンダルの候

古の道を行く。上陽~グライダー山~発心山~草野

久留米在住でありながら、上陽の山間の集落まで車で通い、茶畑と椎茸栽培を営んでいる、一個下の後輩がいる。

その後輩、

遥か昔の重要な生活道路であった、『古の道』を復活させる取り組みに参加していると言う。

後輩が言うには、まだ殆ど整備ができていないようだが、歩けない事は無いらしい。


「先輩、一緒に登らんですか。ご案内しますよ。」

「面白いな。登ってみるか。」

 

予定としては、

先ずは、下横山集落まで後輩の車で連れて行ってもらい、南斜面側から、古の道をスタート。

耳納連山稜線を目指す。

稜線に出た後、グライダー山に登り、白山を経て、発心山まで縦走する。

発心山からは、今度は北斜面を草野町方面へ降りて行き、草野駅からJRで久留米に帰るという計画だ。

高齢化と過疎化が進む下横山集落。

降り続いていた雨も、到着時には丁度上がった。

よし、予報通りだ。

後輩に先導して貰い、出発である。

旧尾久保小学校跡。

現在は『みんなの館』という、地域交流の場、或いは地場産業の活性化の拠点として利用されている。

この施設の裏手から、所謂『古の道』が始まる。

眼下に見える棚田は、全てが休耕田である。

農業後継者問題は喫緊の課題だ。

ここから、本格的な山道が始まる。

植林された杉林の中を行く。 

椎茸栽培場

 

キノコの中で、何が好きって、原木栽培の椎茸が一番好きだ。 

尚且つ肉厚ならば、松茸やシメジなんて目じゃないのだ。

 

肉厚の原木椎茸なら、下手に調理などしない方が良い。

オーブンで焼くだけ。

味付けは、粗塩だけで十分だ。

これが一番旨い。

そんでもって、追いかける様に、冷酒をキューッと。 

堪んねえぜ。

石に彫られた道標。

草野まで1里30町とある。

1里は36町。てことは、約7kmとちょっとだな。 

古の道。

枯れ枝や倒木が道を塞ぐも、これなどはましな方だ。 

大半は、藪漕ぎに次ぐ、藪漕ぎである。

画像ではよく解らないと思うが、なんかのトゲに、ずっと苦しめられる。

 

イテテ!

灌木を薙ぎ倒しながら歩いたり、そうでなくても、大きな枝が行く手を塞ぎ、中腰の姿勢が続いたり。

何しろ大変だ。

まずもって、道とは言えない道ばかりである。

どうしても通る事が出来ない所は、林の中を迂回したり。 

とてもじゃないけど、先導が居なければ、1kmも進む事が出来なかっただろう。

茶畑が広がる谷間にでた。

この場所が、後輩の茶畑がある場所である。 

耳納連山方面は、重たい霧に包まれ、視界はゼロだ。

後輩の作業小屋で暫し休憩。

 

小休憩後、再び古の道を行く。

この辺りからは、随分と整備が進んでいるようだ。

枯れ枝が地面を塞いでいるものの、あの激藪はなくなる。

耳納連山稜線に出た。

耳納スカイラインを横断すると、 

こんどは笹藪漕ぎだ。

細い通路幅だけ、大雑把に刈られているが、刈られた笹の丈が、10㎝~20㎝残ったままなのだ。

それを踏みしだき、踏みしだき、霧の急登を登る。

笹藪が途切れると、稜線が見えてきた。

 

グライダー山である。

その名の通り、戦前、九州大学の教授が設計したグライダーが、この芝の滑走路を飛び立ち、滑空時間の日本記録を樹立したという山だ。 

本来であればロケーション抜群の山だが、この霧ではどうしようもない。 

 

「先輩、雨男じゃろ?」(後輩)

「バカ言うな。お前こそ雨男じゃろが。それにこれは霧やんか。山やから、霧は仕方なかっさ。」

『グライダー日本新記録樹立之地』とある。

 

風が強い。

体が冷えてきた。先に進もう。

グライダー山と発心山の中間に位置する白山。

ここを降りると、一旦耳納スカイラインを歩き、高良山から続く、漱石の4番目の句碑がある場所まで行く。

そこからは、また山道に入る。 

最後の急登を登る。

 

発心山頂上だ。

 

かつてこの山には、草野氏の山城が置かれた。

頂上は主郭跡にあたる。

地面は先ほどまでの雨で湿ったままだ。

立ったまま、熱いコーヒーを啜る。

ふうー、温まるぜ。 

 

さあ、あとは降りるだけだ。

但し、あの激藪こそないが、雨の後で一段と滑り易くなってているであろう、激坂が続く。

蔵跡。

草野氏の兵糧蔵があった場所。

「転んでもケツだけは汚すなよ。飯屋にも入れんし、電車にも座れんごとなるぞ。」

 

麓に降りてきた頃になって、青空が広がってきた。

「山登りあるある」である。 

発心公園

桜はまだまだ、一分咲きにもなってはいない。 

草野町まで降りて来た。

 

「飯食うぞ。」

遅い昼食をとった後、

 

JR草野駅へ。 

古の道の復活は、地域振興の一環として、取り組まれている事業との事。

夏ごろまでには、山道の整備も終わる予定なんだとか。

そうなれば、案外と面白いトレッキングロードになるだろう。

次は、整備が整った頃、登ってみるか。

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