佐賀の帯隈(おぶくま)山では、エヒメアヤメが見頃と聞く。
何でもこの山は、希少なエヒメアヤメの自生地らしく、
「4月3日までしか、一般公開しないんだって。」
「それは、うかうか出来ん。」
早速、車を飛ばして行ってみた。
田園地帯を山側に折れ、狭い道筋を登って行くと、臨時駐車場へと行き着く。
検温と受付(無料)を済ませて会場へ。
満開のソメイヨシノがお出迎えだ。
日当たりの良い芝地の斜面には、いきなり鮮やかな青紫があちこちに。
エヒメアヤメである。
国の天然記念物。
順路に従い、溜池の手前に架かる橋を渡り小高い丘へ。
エヒメアヤメと桜のコラボ。
斜面には沢山のエヒメアヤメが咲き誇る。
由布岳や久住で見たそれとは、比べものにならないほど大株である。
この丘に咲く桜は山桜である。
すでに満開の時期を過ぎ、花吹雪が舞っていた。
係の人がいた。
保存の苦労話を聞く。
「これは自生のままですか?」
「いや、違います。殆どは・・・」
激減したエヒメアヤメの種を持ち帰り、別の場所で育て、改めて一本一本植え直しているんだとか。
「あー、これこれ。これが一年目の葉っぱ。花が咲くまでには、何年もかかるとですよ。」
「これで一年ですか。んじゃこれは?」
「そらもうあーた。ここまでくるとに、10年以上かけとります。」
「ヒョー!ご苦労様です。」
深々と頭を下げるしかない。
「因みに、期間を過ぎると、この場所はどうなります?」
「閉めます。そうせんと、盗採されるとですよ。」
「どこも一緒ですね。残念ですが。」
バカに付ける薬は、ここでも無いようである。
エヒメアヤメの他、ここでは春の息吹があちこちに。
スミレや、
フデリンドウ
レンゲソウも。
土筆は辺り一面にニョキニョキと。
「2周目、回ってよかですか。」
「どうぞどうぞ。何周でんよかですよ。」
何の予定も無い暇人夫婦。
遂に2周目に突入するのであった。