台風が近づいている。
当初の予報より北寄りに進路を変えそうだが、何と言っても915hPaという猛烈な台風である。
九州は、なおも厳重な警戒が必要だ。
本来は、もう少し早めに、車旅に出るつもりだったが、しかたあるまい。
今週末から出かける事に変更した。
といっても、13日には帰ってこなければいけない用事が、つい先だって出来てしまった。
5~6泊がせいぜいか。
ならばと、
この前の天草への旅で、二人とも強く関心が高まった、
「長崎、天草キリシタン遺産群はどうじゃ。魚も旨かぞ。」
「ふ~ん。なら行く。下調べちゃんとしとけよ!」(家内)
合点でぃ!
と、腕まくりして返事をしておいたものの、
いまだに何も手を付けてはいない。
無論この後も、下調べなどしないであろう。
車の点検だけはしておこうと、私が社長をしていた会社にスワローを持って行った。
勝手に工場の空いているスペースに車を入れた。
工場スタッフが飛んできて、
「あ、社長!どうされたんすか。」
(・・・もう、社長じゃないけどな)
「週末からでかけるけん、タイヤに窒素ガスの補充と、オイル、バッテリー、ラジエターとかの6か月点検と、サブバッテリーの充電系統の点検な。」
「わかりました。」
勝手知ったる元会社だ。社員の顔ぶれも変わっていない。
点検を待つ間、ずんずんと事務所の中に入って行き、勝手に私の元机の前に座る。
「あ、社長。」
「あ、社長!なんすか、今日は。」
(だから社長じゃないって。)
「お前、相変わらずデブやなー。見ろ俺の腹を。」
と、毎日の山登りですっかりへこんだ腹を自慢してたら、
見知らぬ女性が事務所に入ってきた。
新入社員のようだ。彼女は私の事は知らぬ。
慌てて、
「あ、俺は関係者のような態度をとっとるけど、関係者じゃなかけん。なんて言ったらいいか、その・・・」
訳分からぬ弁明をする私。
「こちらは、ほら。江島社長。」
と紹介してくれて、ようやく理解してくれたようだ。
それにしてもよその会社は、社長引退後の呼び名って、どうしてんだろう。
社員たちも今更「江島さん」って言いにくいだろうし、呼ばれるこっちとしてもこそばゆい。
かといって「元社長」はもっと変だし。
まあ、シャチョーでもオヤジでもジジイでも、なんだっていいよ。
水槽は私が始めた。趣味として熱帯魚飼育をずっと前からしていたからだ。
残念ながら、私が飼っていた大型魚は寿命なのか、死んでしまったと聞いていたが、こんなレイアウト水槽に変わっていた。
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熱帯魚の知識ならこいつらには負けぬ。
昔の癖が出た。
「オイ、これはセンス悪かぞ。中の魚はアフリカのマラウイ湖とタンガニーカ湖のシクリッドじゃん。淡水の湖に珊瑚はなかぞ。岩組にかえろ。」
自分で関係者ではないと言っておきながら、
指図した。