読書が大好きな姪っ子が、このシリーズが好きというので、贈ったのが始まり。
折しも、著者が国際アンデルセン賞を取って、新聞やテレビを賑わせていた頃。
私もいつか読みたいと、購入はしていたのだけど、本棚にしまったままでした。
しかし先週から、NHKで綾瀬はるか主演のドラマが始まり、なかなか面白そう…と思い、第二回が始まる前に読んじゃえ~と、一気に読んじゃいました。
さすが、数々の賞を取っておられるだけに、面白い作品。
そして、私の愛するアンデルセンの賞にふさわしい、読み応えのあるストーリー。
恩田陸さんが、解説で言っておられるように、現代にも通ずる、世界感。
奇しくも、著者と同年の私。
最近になって、しみじみ知ったことが、チャグムのことばに現れている。
(たすかったんじゃない。-助けられたんだ)
ふいに、その思いが強く心に迫ってきた。
卵の欲求を感じていた自分さえ、自分を犠牲にして卵をたすけよう、とは、なかなか思えなかった。それなのに、あの恐怖の中へ、この人びとは、みずからとびこんできてくれたのだ。
皇子だった頃、彼は、守られるのがあたりまえだと思っていた。けれど、いまは、それがいかに、あたりまえでないかが、よくわかった。
こんなに歳をとっているにもかかわらず、いかに自分が浅はかで、非情な人間だったか、口先だけのものだったか、思い知らされた経験をした。
それは、我が家の犬が、生死をわけた病気になり、結局、左前脚を切断することで、命を長らえたことを通して示されたのだが。
苦難、患難を通らなければ、知ることができないことってある。
だからこの箇所を読んで、うんうんと、うなづいてしまった。
何はともあれ、最後の闘いのアクションシーンも、見事に描かれていて、
完全に、このワールドにハマってしまったのだった。