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銀河パラダイス

 オリジナルのケモノ耳の少年を描いた、MACHOのラフ画を中心に、ミィ~ネの駄文も

閃光

2011年05月06日 19時17分16秒 | 短文
 街が かって、人が住んでいた 街がある…

十字路に花壇の残骸のレンガが、汚染されてない砂に埋もれている。
もう、あれから数百年が経っていた

壁画に見えた。幼い子供らが、遊具で遊んでいる光景

 閃光が、全てを覆うと、壁に人の姿が焼きついた。
まるで、世界が一冊の本の挿絵であったかの如く、綺麗に描かれ、

灰に煤けたローブに、人が生きている様に、地面に項垂れているみたいに、下へ

…街の中央に、十字路だけがある。他は黒く焼け焦げた地面と、白い壁
白い壁に記録された、人の姿
心を静かに、ありのままの壁の向こうを見つめよう

 俺は、真っ白で純白な終末の世界にいた。そこに、シーソーをしている人影らしき
小さな黒い影が動いている。白のキャンバスに生きた影。静寂が、時折、
音に似た何かが幻聴かもしれないが、ギーコ、ギーコと頭に響くのだ

そこの光景を思い浮かべなければ、一瞬で消えてしまうだろう。消えないのは、
街の中央にある十字路だけだ。壁に焼きついた光景も、幻みたいに儚い

灰色の布に、一枚の紙切れを届けに来た。

 古代、この街が存在するより以前、栄えていた都市の残骸。その遺跡の十字路に、
深い深い入り口があった。けれど、公園へ十字路は移され、ただ、静けさだけが
過去の謎めいた道を  布、地面に倒れて、埃が舞う。

すると、公園の光景が周囲に広がる。映写機の様に、過去の映像を埃が映す

 「滅びた世界の上に、滅びた世界は続く、そして

音響装置みたいな、微生物の音が聞こえる。この街でない、どこかの

「この紙を届けに来たのだが」

 静かに、映像が巻き戻る。滅びた世界の遺物が、この街が生きていた時代に、
過去の世界に似た環境へと変えようとしていたのだが、外へ出ると、偶然、光が
光、空から地面を覆い、太陽を闇へと葬り去った光 人間は、蒸発して、消えた
生き物らは、壁に焼きつき、布は、影がくるくると回る世界にいた

「装置が古の時代ではなく、この時代の環境を再現してるのか?」

   人間の、自由、解放、平和、」

死が未来を閉ざした世界に誰一人として、人が存在しないという

一枚の紙に、その事実だけが記されている。遠い未来の、この場所で、
過去の世界にその事実を知らせるように頼まれたが………

世界の記憶は、ただの一枚の紙切れになり、俺の記憶にだけ、残っている。

 消えたのではなく、最初っから存在しない世界。だが、紙切れは存在する

”コープスパーティー”の紹介

2011年05月04日 18時14分02秒 | 短文
薄暗い部屋の中、月明かりの下、二人の少年が向き合っている時に。

いや、訂正するならば、一人の少年が、大きな鏡と向き合っていた。
その部屋は、かつて”自由の部屋”と主が命名していた部屋だった。
かつて、ここは有名なる少年専門の調教師が住んでいた。再び訂正。

未だ生きている。だが、彼はもう死んだも同然で、かって他人の心を縛った報いが返ったかの様に、何かに取り憑かれていた。その彼が、自分のことを「ゴースト」と自嘲しながら言ったのが、彼の友人の証言から、後に彼の碑文にも刻まれる。この何代にも続いた家系の、実績と信頼は、どの同業者にも妬まれた程だった。だが、若くしての突然の発狂は忘れ去られ、尊大な商売敵を嘆く者など存在しない。

「ああ今日もこんなに傷痕があるや。毎日、傷が増えるのに、なぜか、その原因が分からないなんて。」月明かりに映し出された赤毛の少年。
ふと、気づいたかの様に、傷痕を触ってみる「イテテ、やっぱ痛む。」

自分が何故この屋敷に住んでいるのか、自分が何者か忘れている少年。

当初は廃虚の館を探索したが、今ではあきらめていた。なぜならば、いつも、途中で眠くなるからだ。不思議なことに、お腹は空かない。
目が覚めた時、必ず体のどこかに、傷痕がついていたのも奇妙だった。

そして、目覚めた時は、なぜか鏡の部屋に。どこで眠ろうと、いつも、起き上がって目に入るのは、大きな鏡面台に映る自分の赤い髪だった。


凝固できない荷物

2011年05月01日 09時21分19秒 | 短文
 俺の名は、ツルギ=クサナギ。忘れられた街で、配達人をやっている。
依頼を受ければ、どんな物でも届け先へ、無事に運ぶ。だが、難しいのもある。

過去、現在、未来という時間の系列から外れた世界。ここは、普通の法則とは違う。
その特異な法則を知らなければ、指定された時間と場所に配送するなんて、できない。
しかし、あれを運ぶのは、至難の業である。

…それは、夢だった。曖昧な依頼人の依頼。それだけでも厄介だ。真剣に言うのだ。
”忘却された夢”を自分でも知らない誰かへと、だと? 一度は断ろうとしたさ。

 「声が聞こえるのです。けれども、その声が誰かは、知りません」

変に真剣に思えるかもしれない。でも、誰も俺に依頼する奴は、本気なのさ。
俺に頼むだけでも、稀に偶然、たまたま、巡り会わせが悪い悪運が必要だからな。

 「酷く困ってるようで、毎晩、声が少しずつ元気がなくなってるのです」

最期の悪運だが、この依頼人は、声でノイローゼになって、衰弱死をしたのだ。
ほんの少し前、俺は、心霊スポットへ配達した帰りに、この自縛霊に呼び止められた。
面倒な、依頼人は、たいてい、面倒な依頼をする。

 「ただ一つ、あります」

手掛かりは、ヒカリ。自縛霊は、さっき、消えた。霊を一瞬で消滅させる、光。

 「私はもうすぐ消えます。ホラ、半分、消えかけてます。これが、多分…」

 本当に霧のように、気配すらない。この手に残る痺れ、体温が急激に下げられた
さっきの依頼人が握手を求めて、したら、この有様……がなければ、白昼夢だな。

呻く人間の声。さっきの、人間が生きていた頃の記憶ではない、時代との接点

 「また、声がする」

  「ヒカリってなんだ?」

 「………」

悪夢みたいな光景だった。人も周りの景色も融けて、グニャグニャになった。

 「それは、現実だよ。ありのままのね」

その世界は、とうの昔に滅んでいた。闇がずっと、続いている。
人間たちには、それが耐えられなかった。だから、彼らは平凡な昔の世界を
いつも、常日頃から頭に思い描いていたのだ。

  「俺の声が聞こえるのか?」

 「いいや。ただの、私の独り言だよ」

 混沌とした闇が微笑んだ、気がする

声、そは等しくて、異なる

2011年04月29日 04時59分01秒 | 短文
 私は、耳に残っている声を探していた。

…いつも、誰かに話掛けているような、独り言にも似た言葉。
けれど、その声と同じ人は存在しないのだ。ある日、深い闇の中
そう、闇が深く、息が止まりそうな恐ろしい想いに精神に異常を齎した。
ああ……それが、探していた声だった。悲鳴にも似た、私の声と同じ声。

人は、孤独を忘れなければ生きていけない。だから、私の声、個を忘れた声。

 記憶が呼び起こされる。深く、底へと沈みこむ奈落。その時、いつも探していた声。それが聞こえる前、私の意識は完全に失われてしまう。だが、声が放つ言葉から誰かに語りかけているのだと分かる。私? いや、違う。

孤独という概念を持たぬ世界に、満ち足りた生を受けた生命の鼓動だ

思えば、私が私であるという、個という概念さえも知らぬ、ちっぽけな

 様々な個に分裂する前、生き物は他者を区別する必要性さえも

ただただ、生きているだけで満ち足りていた生命。その悲しみとは、生ある限り、己を感じ続けられることを感じられなくなること、死。でも

…で、死の世界に存在するのは、無限に続く、かっての世界。世界……自分しか存在しない

そうだ。はじめっから、孤独など存在してなどいなかった。

 「ボクは、私。キミは、誰?」

小さな点が連なった、生命。たくさんの、生命。その生と死。私の、私の、

 沈黙 ずっと変わらぬ静寂

戸惑い、あるいは

2011年04月26日 13時06分45秒 | 短文
 小さな小鳥のような、ボクの子猫。ある、晴れた昼下がりにやって来た。
うとうとと、まどろむ正午。眠りに入っている、深く、どんどん深い眠りが。
小さな子猫の瞳が、心地よい眠気で背伸びしたまま眠っている、ボクを見ていた。

夜の闇が、瞼の裏の暗闇が、眠りと共に隙間から忍び込んで快楽を与える。
いつの頃からか、眠りにつくと、ボクの体が痺れるような感覚を知るように
なっていた。けれども、深く沈む感覚に、神経が断たれるような重く沈んだ
辛く悲しい痛みも、なぜか酷い肉体の苦痛を伴いある。小さな黒い瞳は、そんな
重苦しい絶望に、一筋の光の様に希望を与えてくれたのだ。
希望は、一時の救い。毎夜、毎晩、心は枯れて絶望は訪れる。
それはまるで、希望の為に絶望するかの如く、終わらない。

 空を飛ぶように。すくすくと成長した小鳥は、大空を羽ばたく翼を持っている。
今では、ボクの方が雛鳥だと思われていると考える時もある。
成長が止まって、早熟な彼女の服をボクが着れるくらい、ボクの時は止まったまま…。
でも、あんなに絶望していた日々がどんな風だったか、忘れてしまったな。

ただただ、深く沈むように、静けさの中