小遣いの使途としては日用品代、タバコ代、飲み物おやつ代、洗濯代、タクシー代 (職員同行外出時)、電話代諸々であり、そこでの2万4千円から管理費として5千円の天引きは大きかった。
私は看護師や助手に「管理費とは何ですかと再三聞いてみた」が、空調代でしょうとか冷房代でしょうと生返事が帰ってくるだけだった。
最初入院した時びっくりしたのだが、若手建築家による独立第一作で凝るに凝ったデザインの建物だった。独立して初めての大きなプロジェクトだから張り切って挑戦したものの、予算の制約もあったのだろうが基本的な事が抜けていたりする欠陥建物であった。
(一つ一つ取り上げると営業妨害に成りかねないのでここでは割愛するが)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/3c/85/cebe317b589467bb02b3a0d24ff5adac.jpg)
入院直後、斬新なデザインに驚いて「良い建物ですね」と褒めたら院長は「そうですか」と微妙な表情をしたのをはっきり覚えている。その意味が分かるまで1ヶ月もかからなかった。5月に入院したが6月にはもう地獄の暑さが待っていたのである。
空間を大きくとっているので冷暖房効率も悪く外壁内壁共コンクリート打ち放しだから断熱性能は最低。夏は分厚いコンクリートが熱を持ち夜になっても冷房が効かなかった。
昭和60年代終わり、断熱の重要性が言われ出す直前に建てられ、それから15年経過し院長は格好だけは良いが問題が多くて使い辛い建物だと十分に分かっていたのである。
(冷房の酷過ぎる運用方法)
ナースステーションや詰所など従業員が働く場所は朝から夜まで冷房を入れるが病室には全く入れず食堂ホールにだけ入れて患者はそこに集まって過ごせというという指示だった。
ただいつ頃からか病室に時間限定で入れたりするようになった。例えば午後1時から4時までと消灯前後8時から10時までとか。(時間をはっきりは覚えていない)
設計者と自分で作り上げた欠陥病院なのに冷房費がかかり過ぎるなら患者から取ってしまえなど何もかも思い通りになる権力者の考えそうな事だった。(それでも冷房を普通に入れくれたのならまだしも入れないのだから話にならない。)
そんな中で使途を曖昧なまま管理費と称して一人月5千円も徴収するなど、本来冷房費など入院費に含まれているはずであり全く出鱈目だった。
(その後隣にデイケア棟を建てたが、その時は設計者選びも堅実な選択をされたように思えた。)