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味皇さまバンザイ !

「うまいぞぉぉぉ!」で有名な味皇さまに敬意を表し、「美味なる」場所と音楽のWebログ。

重箱

2007年08月21日 | Weblog
都心で落ち着いてしかもそれなりのステータスをもって鰻が食べられるといえば、やはり赤坂の重箱だろう。接待用としては小奇麗にしている分、日本橋本町の大江戸なども重宝だろうが、やはり客筋も含め重箱の方に軍配もあがろう。
この酷い暑さに、元気付けを兼ね、久しぶりに重箱を使ってみたが、安定した水準を楽しんだ次第。
ここでのポイントは、もちろんコース仕立てにはなっているが、あくまで「鰻」に特化した店として、決して割烹・会席といったプラスアルファに走ることの無い節度があることで、「鰻屋」の中での一つのスタンダードを確立しているのは間違いない。

ただ、店としての重箱を評価するのと、おいしい鰻として評価するのとはまた微妙に違うのも事実だ。
ぼくにとってのおいしい鰻の条件は、やわらかさや、味付け、脂ののりといったことを超えて、「野趣」があるかどうか。「野趣」の一つの理想型は、往年の志摩観光ホテルの高橋シェフの料理、「火を加えて新鮮、手を加えて自然」の境地かなと思う。料理されたものの、料理による洗練と独創を感じつつ、自然を感じられるか? 単純な料理ほどそれは難しいし、また価値ある結果となるのではないだろうか。
静岡市駿河区の先代「満喜多」ではそれを実感できたし、現下の東京では九段下の「今荘」あたりがそれを体験できる数少ない店だと思う。