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楽しむことが最優先

庭で花や野菜を育てて楽しむ北海道民です。
趣味関連を中心に日々のあれこれを、
マイペースに綴って行くつもりです。

柿が赤くなると医者が青くなると言うけれど

2023-10-16 14:19:00 | 日記
お客さんから柿が届きました。

会社宛てではなく、
直接我が家に届いたから驚きました……

まぁ、果物は大好物です。
旬の味覚を楽しむことにしましょう。



高級なんだ……

箱からして普段から食べ慣れている、
スーパーの柿とは違うオーラを感じます。



わー……おっきい……

さすがに1人では食べきれないので、
実家にお裾分けを持って行くことに。



「まぁ、立派な柿ね」

「お客さんからもらったんだ」

母親に柿を渡し。
まぁ、お茶でも──……と、誘われて。


『ちょうど今、お汁粉を作っていたの
 たくさんあるから食べていきなさい』

そういわれた自分は今、
窮地に立たされています。


「あ、あの、母さん……」

「なぁに?
 もうすぐお餅が煮えるわよ」

「いや、あの」


お汁粉……

母さんが作っているのは、
お汁粉なんだよね?

ええと……

そのお汁粉、
なぜ緑色なの?




「草餅を使ったのよ
 良い香りがしそうでしょ?」

「いや、あの、でも」

汁まで緑にはならんだろ


「カボチャも入れたの
 少しでも栄養を多くとりたいでしょ?」

うん
そうだね
カボチャも入ってるね

ほんのりと緑に染まってるけど


「アズキの缶詰め、少し量が足りなくて
 ずんだ餡を一袋入れてみたの
 そうしたら甘くなりすぎちゃって
 だから味をマイルドにしようと、
 牛乳を入れてみたら、こんな色に……」

「あ、うん、そっか……」


我が家の母上様。

料理をすること自体は、
そう嫌いではなさそうなのですが……

キッチンが時々、魔女の実験室と化します。

そのせいで、と申しますか
そのおかげで……と、申しますか

一人暮らしをするまでは、
自分が我が家の料理担当でした。


料理を始めた切っ掛け?

緑や紫に染まった弁当を広げて、
クラスで話題になるのを避けたかったからだね

自分、目立つことが苦手だから……



「ミルや、最近……仕事はどう?」

「同僚の家で手伝いをしたり、
 社員同士の仲が良くて楽しいよ」

「あら、よかったじゃない」

「仕事先の稲刈りが終わったら、
 龍の相手もしなきゃならないんだ」

正直言って、この仕事は気が進まないけれど


「龍か……なるほどねぇ……
 やっぱり、そういう縁があるのかもね」

「縁って?」

「龍女、龍男って知ってる?
 解釈は色々とあるのだけれど、
 龍が憑いている人のことを指すの」

「いや、初めて聞いた」

カーチャン……
いきなり、何を語りだすんだ


「お前が生まれた後に、
 神社でお参りをしたんだけどね
 その時に神主さんにいわれたのよ
 『この子から龍の気配がする、
  鱗のアザが体にありませんか?』って」

「いや、さすがにウロコなんてないよ⁉︎」

「生まれつきアザがあるでしょ?
 楕円形のやつが右足に3つも
 それのことを言ってるみたいなの」


正確に言えば4つです。

4つ目は消えたり現れたりを、
不定期に繰り返しているのですが……
 
どちらにしろ、単なる偶然でしょうに。


「龍女、龍男の特徴について調べてみたの
 そうしたら意外と当てはまったわよ?」

「そう言われても困るよ?」

「でも雨男や雨女で、
 1人で行動することが好きで、
 霊感があってお酒好きでしょ?
 あと目力があってトラブル慣れしてる」

言い掛かりだ


「まぁ、使えるものは何でも使いなさいよ
 龍ってのはエネルギー体のことらしいの
 上手く取り込めばプラスに働くわ」

「取り込むって……」

「龍にも好みがあってね
 まぁ、要するに波長が合って、
 エネルギーを得やすい特徴──……
 ってことなのだろうけど」

急に冷静だね

「龍はザックリというと、
 綺麗好きな髪フェチ面食いのヤンデレで」

唐突な暴言


「あと友だちとの距離感に気をつけて
 龍女、龍男の近くにいる人間は、
 突然スピリチュアル体験をしたり、
 霊能力に目覚めることがあるらしいから」

なんて迷惑な

「龍女、龍男は龍から力を得るけれど、
 龍女や龍男から力を吸うタイプの
 人間も存在するから気をつけてね」

世知辛いな……


「龍の力は浄化能力が高いらしいから、
 ヒーリングと組み合わせると、
 相乗効果が狙えて更にパワーアップ」

「あー……
 そう言えば昔、通りすがりの白魔術師から
 『弟子にならないか』って、
 突然スカウトされたことがあるよ」

「龍の力を持った白魔術師なんて、
 まさに天職のヒーラーだものね」


まぁ、自分は職人志望だったから、
ヒーラーの道には進まなかったけれども

それでも土地の浄化やお祓いを頼まれたり、
それっぽい依頼が時々来るのは何故なのか




「あ、あの─……」


背後から遠慮がちな声がかけられる

振り返ると、
ドアの隙間から顔を覗かせる父親の姿


「父さん、そんなところで何してるの?」

「ちょっと、ひとことだけ、
 ツッコミを入れたくなって」

わざわざ突っ込む前に、
断りを入れるという律義さ


「どうぞ?」

「ありがとね」

促すと気合いを入れているのか、
深呼吸を始める父

スーッと大きく息を吸い込むと──……


「どんな会話してるんだ‼︎
 しかも何を食ってるんだ‼︎
 見ていて凄く怖いんだよ‼︎」

怖かったんだ……


親子が親しげに語らうリビングルーム

2人が囲んでいるのは、
緑色の鍋(お汁粉)

交わす言葉の内容は、
龍について(我が子は龍憑き)


ああ
うん

父の目線で見ると、
確かにちょっとしたホラーかもね

でも、まぁ

事実は小説よりも奇なり
……って言うからね、うん



「この柿、立派でしょ?
 ミルがお客さんから貢がれたの」

貢がれた言うな

感謝の思いが、
なんだか俗っぽく感じちゃうよ⁉︎


「どんなことでも感謝されることは、
 とても良いことだからね
 迷わずに、どんどんやりなさい」

「ちなみに柿をくれたお客さんには、
 どんな内容の仕事をしたの?
 かなり気に入られてるみたいだけど」

「あまり大きな声では言えないんだけど……
 お客さんの子供が最近元気ないって聞いて
 じゃあ自分と年齢が近いし様子見がてら、
 話し相手になってこようかな、って」

「へえ……」

「それで、彼のアパートに行って
 様子を見に行ったんだけど……」

「うん」

「結論から言うと、
 天井から吊り下がってた


いわゆる第一発見者。

大家さんが隣にいなかったら、
そのまま悲鳴をあげて逃げ出したと思う。


「頭の中、真っ白になってさ
 結局自分は何も出来ずに終わったんだ
 通報や手続きも全部、大家さんがやったし
 だからお礼って言われてもねぇ……」

「でも……まぁ……
 お前が見に行くって申し出たからこそ、
 彼を発見できたわけだから……」

「最初はお金を包まれたんだけど、
 流石にそれは受け取れなくってさ
 そうしたら、かわりに果物を
 送ってくれたみたいなんだよ」

「へえ……
 それで、柿ねぇ……ふぅん……」


指先で柿を突きながら、
どこか含みを持った物言いの母。

なんだか嫌な予感……


「柿の花言葉って知ってる?
 一般的には『恵み』とか『優美』とか、
 素敵な意味合いのものが多いんだけど」

「うん?」

「その中のひとつにね、
 『広大な自然の中で私を永遠に眠らせて』
 ……っていう穏やかじゃないものがあるの
 彼、ちゃんと成仏できてるのかしら?」


母さん……
唐突にホラー要素を入れないでくれ……

ホラー耐性がゼロどころか、
マイナスの父さんが涙目になってるよ?


「だからさぁ……
 2人とも──……
 話の内容が怖いんだよッ‼︎

うん
魂の叫びっぽいね


「あなた──……どんまい♪」

ホラーやサスペンスが大好きな妻と、
オカルト事件に巻き込まれがちな我が子。

この2人に挟まれる、
ホラー耐性マイナスの父──……

うん
なんと言うか


……頑張れ、父さん……


アットホームな職場です

2023-10-14 01:29:00 | 日記
会社の倉庫にある仕事道具や備品は、
申請すれば社員が自由に使う事ができます。

自分も時々お世話になっているのですが……


「社長、ハシゴとチェーンソーを
 借りたいんだけど良いかい?」


ある日の仕事あがり。

倉庫にある中で1番大きなチェーンソーと
1番高いハシゴを指さした同僚。


「それは構わないけど……
 そんなに大きなやつ、何に使うの?」

「庭の枯れ木が日増しに傾いてきてね
 それがまた、わりと大きな木でさ
 倒れたら家が潰れちゃうから、
 細かく切って片付けちゃおうかなって」

家が潰れるって……
軽く言うけれど、結構深刻では⁉︎


「大木の伐採だなんて、大仕事じゃないか
 1人でやるのは大変だし危ないよ
 明日は皆で伐採の手伝いをしよう」

社長の提案で、
皆で同僚の家に行くことに。

色々と緩い会社だけど、
このアットホームさは嫌いじゃない。



そんなわけで

本日は同僚の家に集合。
ピサの斜塔のようになった枯れ木が、
遠くからでも目立っています。


「ずいぶんと傾いたね」

「雨で地盤が緩んだみたいでね」

「風が強い日も多かったしね」


のんびりと雑談を挟みながら、
それでもテキパキと進む作業。

力仕事が得意な自分は、
細かく切られた枯れ木を運ぶ役割りです。


「ご近所さんが薪として持っていくから、
 玄関先に積んでくださいな」

「はい」

出迎えてくれたお孫さんの指示に従って、
どんどん積み上げられてゆく枯れ木。

なかなかのボリュームです。


「祖父からミルさんの話はよく聞いてます」

「へえ……

「社長が頼めば何でもするって」

やらされてるんだよ

社長の無茶振りには毎回、
大変な思いをしているんです。

嬉々として挑んでいるとは思われたくない。


「祖父が褒めていました
 実に多芸だと

芸って言うな

「前の会社では才能が埋もれていたって
 ミルさんが、こんなに面白い人だとは
 思わなかったって言っていましたよ」

芸人としての才能かな?

自分では芸人ではなく、
職人だと思っているのですが──……


もしかして、自称?

自称、職人っていう扱い?
他称は芸人だったり……?

ああ……

なんだか急に、
秋風が冷たいな……



「ははは……
 秋空が目に染みる……」

「すっかり秋になりましたからね」

「秋っぽいこと、何かしてみた?」

「私は読書の秋を満喫していますよ
 漫画喫茶で漫画を読んでいるだけですが」

マンガか……
最近、読んでないな……


「でも私って漫画の内容にも
 リアル感を求めるタイプで……
 矛盾点やご都合主義な部分があると、
 急に冷めて楽しめなくなっちゃうんです」

「へぇ……
 例えば、どんな?」

「主人公の設定でよくある、
 『ごく普通の学生・社会人』ってやつです
 平凡で目立たないはずのヒロインなのに、
 なぜか注目を浴びまくるんです‼︎」


まぁ……

主人公に親近感を抱かせるためには、
そういう普通っぽさも必要なのでしょう。

最近ではチート系の、
強い主人公の話も多いらしいけれども。


「私が特に解せないのが、
 『おもしれー女』扱いしてくる、
 癖のある俺様系彼氏の存在っ‼︎」

「え、あ、はあ……?」

「ヒロインは平凡で地味なんですよ⁉︎
 特徴がないのが特徴なタイプなんです‼︎
 なのに少し関わっただけで、
 『お前といると退屈しないな』とか、
 『お前みたいな女は初めてだ』とか、
 『気になって目が離せない』って‼︎
 何故か関心持たれまくりなんです‼︎
 明らかに設定と矛盾してるじゃないの‼︎」


一気に言い切った

ヒートアップするお孫さん
いや、言いたいことはわかりますが……


「しかも次から次へとトラブル続き‼︎
 一難去ってまた一難の繰り返し‼︎
 何故か執拗に巻き込まれるヒロイン‼︎
 目立たない女をピンポイント狙い‼︎」

「ま、まあ……
 何かしら起こらないと、
 そもそも話が進まないから……」

特に何も起こらないような、
日常系ストーリーも嫌いじゃないけれどね


「そして大抵の場合、
 何故か目を褒められるんです‼︎
 『いい目をしている、気に入った』とか、
 『その瞳の輝きを信じてみよう』とか‼︎
 平凡地味子に特殊な眼力なんか無いっ‼︎」

アルコール、入ってます?

だんだんお孫さんの姿が、
飲み屋で愚痴る客に見えてきました……


「なんか、もう……
 そういうご都合主義な部分が気になって、
 素直にストーリーを楽しめなくて……」

「ま、まあ……うん……」

「それを祖父に愚痴ったら、
 すごく的確なアドバイスをくれたんです
 主人公をミルさんだと思えと

何故⁉︎

なんの脈絡もなく、
突然巻き込まれたよ⁉︎


「それ以来、主人公の姿を
 ミルさんに脳内変換しています」

「……お、おう……?」


ええと

言いたいことや、
突っ込みたいことが山ほどあるけれど

とりあえず──……

爺さんや、
妙なアドバイスするな



「ごく普通(自称)の主人公で、
 地味で目立たないタイプ(願望)だと」

なんか一気に物悲しい

「私がどうしても解せなかった、
 『おもしれー女(男)』発言も、
 ミルさんが言われてると思えば、
 妙なリアリティがあって納得できますし」

芸人的面白さかな?


「話を聞いてるだけで面白いですから
 絶対に見ていて飽きないだろうし、
 次の展開が気になって目が離せない‼︎
 むしろ私が俺様彼氏の立場になって、
 ミルさんをガン見したいまであります

見せ物じゃねぇ……

そして爺さんよ
一体何を、どんな風に話したんだ……


「相次ぐトラブルだって
 主人公がミルさんなら、
 『また社長に無茶振りされてるのね』
 ってお約束の展開で納得できるでしょ?」

納得は出来ねぇよ⁉︎

こっちは毎回、
解せぬ思いで一杯だよ⁉︎


「目を褒められる展開も、
 ミルさんの目力なら説得力あるし」

実際には目力で得をしたことよりも、
苦労したことの方が多いです

この無駄に眼力があるせいで、
やたらと不機嫌に思われたり、
睨んでいると思われたり……

そして誤解を生まないように、
必要以上に笑顔を意識するせいで、
今度はチャラい印象を持たれるんだ……



「ミルさんのおかげで、
 最近は漫画を楽しめています」

素直に喜べねぇ……

「昨日読んだ学園モノの漫画も、
 主人公が乗っていたバスが
 不運にも事故に遭うのですが──……
 たまたま布団を持っていたおかげで、
 無傷で助かるというオープニングで」

さすがに無理がありませんか⁉︎


大丈夫なの?

その突拍子のなさは、
冷める要因ではないの⁉︎

いや、まあ

本人が楽しく読めているのなら、
それに越したことはないのだけれども……

腑に落ちねぇ



全ての薪を積み終えたところで一休み。

庭もずいぶんと見通しが良くなりました。
足元ではヒナギクが揺れています。





手頃なサイズの庭石に座って
伐採を終えた切り株を眺めていると、
秋風が頬と髪を撫でるように吹き抜けて。

というより髪を引っ張るように──……

いや
これ

なんか本当に、
物理的に後ろ髪引かれてるぞ?


「……?」

振り返ると、視界に入るのは毛玉。
ぽわぽわの毛玉が髪にぶら下がっている。


「にゃー」


ああ
猫か

…………。

………………。


いや待て‼︎
なぜ猫が自分の髪に⁉︎


「その子ね、うちの猫
 人懐っこくて可愛いでしょ?」

懐きすぎです


「毛糸や紐で遊ぶのが好きな子だから、
 ミルくんの髪にも反応したのかな?」

「にゃー」


いや
あの

遊ぶというより、
絡まっていますが


「ちょっ……
 これ大丈夫なの?」

「……んなー……」

迷惑そうな顔をするな


「ふしゃー‼︎」

「ちょっ……
 暴れないで‼︎」

荒ぶる猫を騙し騙し、
何とか髪の中から救出──……

と、同時に
顔面にヒット


「わぷっ」

ダイナミック猫吸い

ちょっと痛かったけれど、
ふわふわの感触は、ある意味ご褒美。



「ミルくん大丈夫?」

「ええ、なんとか
 本当に人懐っこい子ですね」

片付けを終えた同僚に、
猫を回収してもらいながら
最後のモフモフを堪能……

猫も犬も大好きです。
この毛の感触がたまりません。


「きゃー‼︎
 ミルさん、血が‼︎
 鼻血が出てる……‼︎」

「え」

触ってみると、
確かに濡れています。

さっき顔面に猫をくらった衝撃のせいかな。


「このくらい大丈夫だから
 確かカバンにティッシュが──……」

「救急箱‼︎
 救急箱っ‼︎」

落ち着け

大丈夫だから‼︎
このくらい、いつものことだから‼︎


「はい、これ使ってください‼︎」


テンパったお孫さんが、
両手で差し出してきたのは──……

絆創膏

いや
気持ちは嬉しいけど

どうしろと


これ、鼻血だから‼︎
絆創膏もらっても困るから‼︎

鼻に詰めるわけにもいかないし……‼︎


とりあえず──……


「可愛い絆創膏だね……?」

社長からもらったティッシュを詰めながら、
絆創膏のデザインを褒めてみる

目にも鮮やかなそれは、
ポップでキュートなキティちゃん柄



「私、サンリオ好きなんです」

「へえ……」

「この絆創膏、
 きっとミルさんにも似合いますよ」

似合うといわれても


勢いに流されて受け取ってしまった、
可愛らしすぎる絆創膏を手にしばし思案。

この柄、わりと目立つな……

まぁ、消耗品だし。
人から見えないところに貼るなら大丈夫‼︎

ありがたく使わせてもらいましょう。





そんなわけで

本日は同僚の家で、
薪積んで漫画の主人公に重ねられて、
猫くらって絆創膏もらった1日でした。



休日は趣味の時間

2023-10-09 17:17:00 | 日記
秋の涼しさを通り越し、
むしろ肌寒さすら感じる今日この頃。

畑仕事に精を出すには、
ちょうどよいかもしれません。

そんなわけで、畑です。




一見すると単なる雑草が生えた土ですが、
この下にジャガイモが実っています。

アンデスレッド


こっちは男爵



今年も無事に収穫できました。

小さなサイズのジャガイモは、
皮ごとスライサーにかけて、
ポテトチップスにして食べるのが楽しみ。

大きなサイズは……何にしようかな……

せっかくだから、
お裾分けをしようと親にLINE。

程なくして──……


『あら助かるわ
 肉ジャガでお願い』

料理を所望とな

……まぁ、良いか。
作る手間は大して変わらないし。

大きめサイズを見繕って──……



よし、完成。




実家ではレトルトパックのご飯と、
インスタントのミソ汁が既に準備済み。

最近、体型に気をつかい始めたそうで、
もち麦入りのご飯に変えたそうな。


「ところでミルや、
 最近、仕事はどうなの?」

「残業してスイカを作らされたよ」

「なぜ?」

こっちが聞きたい

でも、とりあえず作れたよ
かなりの長丁場になったけれど……




「ミル、母さんから聞いたけど
 真っ黒にドレスアップしてたって……」

「ああ、ゴスロリのライブね」

「その前は神事の真似事をしていたと……」

「ああ、お祓いや浄化ね
 そう言えば今度、龍を鎮めにいくんだ」

「ミル……
 お前は一体──……」

「ん?」

「何の仕事してるの?」
 
自分でもわかりません



『ご職業は?』と聞かれても、
なかなか即答できない状態です。

仕事内容が幅広すぎる

まぁ、あえて言うなら──……


「技術職……かな……」

「技術、なの……?」

「肩書きは職人だよ」

「そこに匠の技はあるの?」

知らん

社長が何かしらの無茶振りをして、
自分がそれに試行錯誤で応じていく。

最終的には何故かそれっぽい完成度に。
ただそれを繰り返しているだけ。


その結果培うのは、
謎のスキル

そして得られる、
微妙な肩書き

無情にも増え続ける、
黒歴史



「まぁ、色々と不満はあるけれど、
 社畜時代よりは多少マシかな

「以前と比べると顔色も良いし、
 前の会社より合っているんだろうな」

「今の会社は良くも悪くもユルいから
 少なくとも出世争いには、
 絶対に巻き込まれないからね」

ある意味、もっとタチが悪いものに
巻き込まれているような気もするけれど……


「ミルのおかげで話題に事欠かないよ
 また珍しい事件に遭ったら教えてくれ」

言いふらすな

「自分は職人として、
 ストイックに生きたいのだけれど」
 
「生き様は職人というより、
 芸人に近いわよ

言わないで


最近、社長からも『面白い人』という、
不本意な認識をされてることに気づいたんだ

社内の芸人枠にはなりたくない

『面白い』と思われるよりも、
『頼りになる』と思われたいし。


「お笑い担当になる前に、
 イメージを塗りかえなきゃ」

「いや手遅れだろ」

「手遅れね」

言い切るな


「むしろ社長さんからは、
『とりあえず何かやらせとけ面白そうだし』
 って思われてるんじゃない?」

核心を突くな

「仲が良いこと自体は歓迎だけど、
 ちょっと社長の無茶振りが多くて……
 毎回『次は何をやらされるんだ』って、
 身構える自分がそこにあるんだ」

「話を聞いてる分には楽しいわよ?」

「父さんは内心、『いいぞもっとやれ』と
 社長さんを応援しながら聞いているぞ」

我が子に対して容赦がねぇ……


今の会社に勤めはじめて以来、
自分は実に多くの新しい扉を開いたけれど

そして、なおも開き続けているけれど

何も失っていないと信じたい


三人寄れば……?

2023-10-06 23:07:00 | 日記
今日も雨。

現場の環境もよくないだろうと、
社長の家にあつまって仕事道具のお手入れ。

職人にとって仕事道具は、
大切なパートナーともいえる存在。

地味で根気のいる作業ですが、
道具のメンテナンスは大切です。


「ミルくん、気をつけてね
 切れ味が鋭いから危険なんだ」

「はい」

「ミルくん、工具箱とって」

「はい」

「ミルくん、何か面白いことして

無茶振りするな

わかるよ?
気持ちはわかる。

ヒマなんだよね


「作業が地道すぎて飽きるんだよ」

「ワガママ言わないでください」

「何か起こらないかな……」

嫌なフラグを立てるな

今は草刈り機のメンテナンス中です。

うっかり指を切ってしまいそうになる、
わりと危険な作業の途中なんです。


「社長、集中させてください……」

「スイカゲームって知ってる?
 妻が強くて全然勝てなくてね
 ミルくんも、ちょっとやってみてよ」

集中させろってば

「ミルくんってば、
 さっきから黙々と仕事ばかりして……
 ちっとも一緒に遊んでくれないんだから」

仕事しに来てるんだよ

突っ込みどころしかない会話をしていると、
社長夫人がお茶を手にやって来ました。



「今日は賑やかで嬉しいわ」

いつもは夫と2人だから、と。
満面の笑みを浮かべる社長夫人。

あの

その──……

脇に挟んだゲーム機は何?



「ところでミルくん、
 パズルゲームはお好き?

あっ……
これ、仕事は口実のやつだ。

こっちがメインだな?


振り返ると社長と目が合った。
ペロッと舌を出した社長と。

「…………。」

その頭
この草刈り機で、

刈り尽くしてやりたい


「スイカゲームって言うのだけど、
 ちっともスイカを作ることができなくて」

「これはもう、
 ミルくんに頼むしかないよね?」

その頭、
スイカみたいにしてやろうか





社長夫妻と何故かゲームをすることに。

このゲーム。
同じ果物をくっつけて、
より大きな物に育てていくという内容。

最終的にスイカになるってことだね。


うん
あの

ごめん

自分、パズルゲーム下手なんだ

基本的に脳筋だからさ。
レベルを上げて物理で殴る戦法が得意なの。


そしてそれは、
社長夫妻も同じなんだね

社長夫妻に挟まれながら、
プレイすることしばし。


「凄い‼︎
 初めてメロン見た‼︎

「ハイスコア更新した‼︎
 2,000点を超えたよ‼︎

3人揃ってこのレベル

社長……
いつまで続けます?

この不毛な泥試合を





「スイカの気配、微塵もしねぇ……」

「大丈夫だよ、ミルくん‼︎
 まだまだ夜は長い‼︎

夜までやらせるつもりですか


「お夕飯、食べていくでしょ?」

「…………」

長丁場確定

あー……

これ、もしかしなくても、
スイカ出すまで帰れない可能性あるな。


以前にも『ボスが倒せない』と、
社長夫妻に頼まれたことがあるのですが。

あの時はまさかの、
お泊まりコースに突入

さも当然とばかりに
来客用布団を敷き始めた社長の姿に、
ある種の感動すら覚えた自分がいました……


いや、しかし

サンズを倒すよりは、
難易度が低いと信じたい

あの骨は強すぎる


そんなわけで

しばらくの間、
果物と戯れています……


海苔巻きは物理属性武器

2023-10-04 22:39:00 | 日記
本日も無事に仕事を終え。

お客さんから誘われるがままに、
お茶の時間を楽しんでいました。


「僕は海苔巻きづくりが趣味なんだ
 体をうごかしてお腹がすいたでしょ?
 遠慮せずに、どんどん食べてね」

お茶請け……というよりも。

もはやこっちがメインとばかりに、
止めどなく出てくる海苔巻きたち。

その勢いたるや。

わんこ蕎麦ならぬ、
わんこ海苔巻き状態


「中のカンピョウも僕が煮たんだ」

「ふふ……アナタったら、
 朝から張り切っていたものね」

「基本的に在宅ワークだから、
 家族以外と話すことが滅多になくてね
 今日は久しぶりに人がくるから嬉しくて」


おっとりとした、優しそうな老夫婦。

場に流れる時間も、
なんだか穏やかに感じられます。

平和だなぁ……

目の前の海苔巻き以外は


「さあ、どんどん食べてね‼︎」

「ははは……」

あの
お客さん……

自分、もう4本目なのですが
あと何本、出てくる予定ですか


『丸かじりが1番美味しいんだよ』と。

季節外れの恵方巻きのごとく、
大皿に乗った黒光りする海苔巻きたち。


恵方巻きは海苔巻きを、
鬼の金棒に見立てて食べる儀式らしいけれど

納得した。
いま、すごく納得しました。


確かにこの破壊力、
金棒レベルのダメージあるわ

胃が張り裂けそうだもん……

しかも翌日にひびく、
胃もたれという継続ダメージ付き。


「海苔巻き……というか……
 太巻きだね、具沢山でさ……」

「社長、大丈夫ですか?」

この海苔巻き。
とにかく具が大量に入っています。

このズッシリ感……
まさに鈍器

初めて見ましたよ、
キュウリ丸ごと一本入り海苔巻き

その中に、さらに玉子焼きやカンピョウ、
カニカマやシーチキンまで入ってるんだ……



「よく巻けましたね、キュウリ……」

「出来るだけ、まっすぐなキュウリを
 選ぶことがコツなんだよ
 あと、軽く浅漬けにしてるんだ

「へぇ……」

「こうやって野菜が多いと、
 サッパリと食べられるでしょ?」

限度があるわ‼︎


「ここ数年、孫を預かっていてね
 夜遅くまで勉強を頑張る孫に、
 栄養がある夜食を作ってあげたくて

「孫は大学で音楽をやっているのよ
 作曲家志望なんですって」

「それは凄いですね」

「作曲しながら食べられるような
 夜食を考えた結果が海苔巻きなんだ
 おむすびだと栄養が偏るし、
 パンはパンくずが気になるからね」


ああ、なるほど。
だから具沢山なんだ。

野菜、玉子、魚に米、海藻……
確かに海苔巻きなら一度に食べられる。

思ったより、いい話だった。




「おじーちゃん、お腹すいたー」


パタパタと階段を降りてくる足音。
噂をしていたらご本人の登場らしい。

祖母似かな?
優しそうな雰囲気がよく似ています。


「あっ……お客さんきてたの⁉︎
 やだ、恥ずかしい……‼︎」

「今ちょうど、お前の話をしていたんだよ
 せっかくだから一緒に食べないかい?」

「え……でも……」

もじもじしながら、
うつむくお孫さん。

どうやら内気な性格のようです。
しかし、我々にとっては救いの女神。


頼む
助けてくれ

具代的に言うならば、
食ってくれ

目の前の海苔巻きを、
一本でも多く減らしたい。


「「どうぞ」」

自分と社長の声が綺麗にハモった瞬間でした



「作曲は順調なの?」

「ちょっとスランプかも
 何か新鮮な刺激がほしいな……」


スランプか……

何かを生み出すという行為に、
必ずといって良いほど立ちはだかる壁。

自分も物作りを手がける身として、
少なからず共感できるところがあります。


「お嬢さん、良かったら、
 ミルくんと話してみない?
 見た目よりも面白い人だよ」

どういう紹介の仕方だ


「黙っていると怖そうに見えるけど、
 意外と体を張ってネタに走るタイプでね」

主な元凶は社長ですが


「ほらコレ見て
 先日のミルくんなんだけど、
 ゴスロリだって着こなすの

何見せてんの⁉︎

失敗した。
社長に写真を送ったのは間違いだった。

これ、今後もネタにされるやつだ……‼︎


「あはは……
 ギャップ萌え」

そこに萌えられても困る


「他にもあるよ、ミルくんの写真」

だめだ……っ……‼︎

このままだと社長の口から、
更なる黒歴史が飛び出す

なんとかして話題を変えないと……‼︎



「い、今、学校では何が流行ってるの⁉︎」

「今ですか?
 ん〜……内輪でですが、
 アバター作りです」

「アバター……
 似顔絵とか?」

「はい、アプリによって、
 個性が出るから面白いんです
 好きなアニメやゲームのキャラを、
 色々なアプリで再現するのが楽しくて」


笑顔で語ってくれるお孫さん。

良かった……
話題が逸れてくれた……


「そうだ、ミルさんを作りましょうか」

「え」

「さっき見たゴスロリ姿を参考に──……」

それだけは勘弁してください


「ぜひ今の姿でお願いします」

「そうですか?」

「せっかくだからミルくんも、
 彼女をモチーフに作ってあげたら?
 スマホのアプリで出来るやつでしょ?」

「無料アプリですからミルさんもぜひ‼︎」

「あ、はい……」


そんなわけで

何故かお互いのアバターを作って、
交換することに……

まぁ、きっかけを作ったのは自分です。
ここは頑張って挑みましょう。

とは言え。
難しい……


初見のアプリ。

しかもアバターそのものを、
自分は作りなれていません。


「うーん……
 何というか、新鮮な体験……」

「ミルくんは自分で描ける分、
 逆にこういうのに縁がないんだね」

「縛りがある創作そのものは、
 わりと好きなのですが……」

「あえてマイナーなアプリで作るのが、
 最近の私たちのブームなんです
 荒削りなアイテムや微妙な操作性に、
 なんだか中毒性を感じてしまって……」

初心者に厳しいよ


「数少ないパーツをいかに駆使して、
 キャラを再現するかという挑戦も好きで‼︎
 アバター作りも奥が深いんですよ」

極めてる……⁉︎

お嬢さん……

初心者の自分にとって、
その縛りはキツいです。

意外と容赦ない


そして

慣れないながらも、
なんとか完成したのがこちら。





いやぁ……難しいね。

何が大変って、
目の前にモデルがいるプレッシャー‼︎

ちなみに

彼女が作ってくれたのが、
こちらになります




仕事で来たからね
思いっきり作業着だね……

なんか、ごめん
飾りっ気がなくて……

でも
ゴスロリ再現は回避したかった



「あはは……
 ミルくん、なかなか似てるよ
 目力の強さとか癖毛っぽいところとか」

「作曲をする上で曲の中に、
 物語を盛り込むことが大切なんです
 情景をリアルにイメージするためにも、
 アバターを使うことが良くあって……」

「確かにこのアプリなら、
 絵が描けなくても人物像が浮かぶね」

「アバターアプリで塗り絵も作れるんです。
 あえて自分で彩色することで、
 初めて気づくこともあるんですよ」


なるほど……

そう聞くと、確かにアバター作りには、
なかなか奥深いものが感じられます。

自分には難易度高めですが……


「ミルさんもぜひ楽しんでください」

「ははは……」

「初心者向けで手軽なのは、
 キャラットがおすすめです
 ダウンロードすら必要ないですし、
 有名なだけあって使いやすいですよ」


いや、待て

そんなオススメがあるなら、
最初に使わせてください

なんで初っ端から、
マイナーなアプリで作らせるの……



「今作曲している曲なんですが──……
 パフォーマーを目指すはずが間違って、
 パフューマーになってしまった内容で」

ギャグかよ


「首をかしげたり頭をかきながら、
 慣れない作業と格闘する姿……
 まさに私が求めていたものです‼︎」

鬼ですか


「しょうがないよ、ミルくん
 だって彼女は──……
 新鮮な刺激を求めていたから

客観的に刺激を得るな


「今出されている課題が、
『禍を転じて福となすサクセスストーリー』
 というもので、それを曲で表現します」

「そ、そうなんだ……」

課題を出した先生も、
こんなオチは想定外なんじゃ……?


「優秀作品は演劇部などで、
 使ってもらえたりするんです
 私もいつかコラボしたいな……」

落ち研の方が採用率高そう


「お2人のおかげで、
 スランプから抜け出そうです
 どうもありがとうございます……‼︎」

作曲に取りかかります、と。
海苔巻きを手に階段を駆け上がるお孫さん。

彼女の脳内で今、
どんな曲が生み出されているのか──……

本気で想像できねぇ……


「孫がごめんなさいね
 あの子、音楽のことになると、
 ちょっと強引になっちゃうから……」

「いえ、お役に立てたなら光栄です」

「一度やる気モードになると、
 部屋で缶詰めになるんだよ
 あれはしばらく出てこないかもね」


あー……

漠然としたイメージだけど、
確かに芸術家ってそういう一面がありそう。

時間も忘れて仕事部屋に延々と、
こもり続けるシーンって良くあるね。


お孫さんの退出に便乗して、
帰りの車に乗り込んだ社長と自分。

おっとりとした雰囲気とは裏腹に、
わりと高ダメージを与えてくる3人でした。

それにしても──……


「あのお孫さん……
 海苔巻きを皿ごと持っていったけどさ
 いったい何日、缶詰になるんだろう?」

「まだ半分以上、残ってましたからね……」


本数もさることながら、
食べ飽きないのだろうか

それが今日1番の疑問かもしれません……