背中合わせの二人

有川浩氏作【図書館戦争】手塚×柴崎メインの二次創作ブログ 最近はCJの二次がメイン

ジェラピケのお仕置き

2023年12月25日 14時06分43秒 | CJ二次創作
「ごめーん。お待たせ。ようやく髪乾かし終わったわ」
バスタオルを肩から提げた格好で、アルフィンがリビングにやってくる。
風呂上り。髪を結い上げてジェラピケを纏って。ドリンクのボトルも腕に囲っている。
男所帯なんだから、ふらふら薄着で出歩くなよと何度もジョウが念を押した成果だ。アルフィンが上下長ものを身に着けているのは。
「いいよ、温まったか」
「うん」
ソファに胡坐をかいているジョウが、脚を崩して彼女を迎える。ジョウは寝巻というか、グレイのスウェットの上下に着替えてすっかりくつろいでいる。ビールを飲んで待っていたのか、プルリングの開いた缶がテーブルに置かれている。
ん? アルフィンは彼の前で躊躇した。座るところは、えーと……。
ジョウは表情を崩さず、「ん」と目で自分の座っている場所を示す。
「え? 隣りじゃなく?そこ?」
「うん、ここに」
ジョウが空けているのは、彼の身体の前ーーつまり、脚と脚の間だ。
懐に入れと言っているのだと分かって、アルフィンは「えー……」ともじもじする。
「なんだよ」
「だってえ照れくさいよ。映画に集中できないもんきっと」
「いいから」
ジョウは彼女の手を引いて、身体の前にアルフィンを強引に座らせた。腕に囲ってテレビのリモコンに手を伸ばす。
スイッチを入れて、操作をした。動画配信のプラットフォームに入る。
今夜は話題のアクション映画が新作で降りてきたので一緒に見る約束をしていた。お互いに好きな飲みものを持ち寄って、21時になったらリビングで、と。
アルフィンはジョウにバックハグされながら、こんなので2時間なんて心臓がもたないわと内心どきどきしていた。
ジョウはアルフィンの頭を顎の下に挟みながら、
「この俳優最近よく見るかけるな?」
とモニターに映し出された主演の役者を見て言った。
「こないだ、一緒に見た動画にも出てたじゃない。ほら、スパイ役で」
「あああれか。そうか」
手を伸ばしてビールを取ろうとするから、アルフィンが代わりに取って渡してあげる。
さんきゅと短く言って、一口飲んだ。こくっと喉を通る音がセクシーでアルフィンは身をすくめる。
頭に映画のストーリーが全然入ってこないよ。ジョウってば……もう酔ってるのね。
すると、ちゅ、とうなじのあたりにジョウがキスを落とし込んできた。ビールを含んだばかりなので、わずかに湿った唇で。
「ひゃ、」
思わず声を上げてしまった。び、びっくりしたあ。
持っていたサイダーのボトルを取り落としそうになるほど。
くくっ……、ぶ、っ。
ジョウが堪えかねたように吹き出した。
アルフィンは肩越しに彼を見やる。真っ赤になって、
「な、何よ」
「いや……。ひや、って、その、声」
ツボったらしい。くつくつ、ずっと笑っている。おかしそうに。
「な、何よう。自分で仕掛けたくせに。びっくりさせないでよ」
抗議すると、ジョウはふーんと意地の悪い目つきになって、
「じゃあするって宣言すればいいのか? キスするよって」
するよ。そう言ってまたぴとりと口づけを降らせる。今度は一度ではなく、何回も。うなじに首筋に、ジェラピケの後ろ襟をずらされて。
あ……。アルフィンの頭がぼうっとしてくる。サイダーを口に運ぶのも忘れ、防戦一方でジョウのキスをしのいだ。
「もう、ジョウ、映画観るんでしょ。邪魔しないでよ」
さすがに我慢も限界とばかり、アルフィンは肩越しに再度抗議。
ジョウは肩をすくめた。
「邪魔ねえ、そいつはどうかな」
「?」
「風呂上がりのいい匂いさせて、ふわふわのジェラピケ着てうなじ全開で俺のところ来るなんて、どうぞ召し上がれって言ってるようなもんじゃないか」
タロスの生まれのテラに、かもねぎという諺があることをジョウは知らないため、例に出せない。知っていたら確実に口にしていただろう。
「なーー何それ」
ただのいちゃもん、難癖じゃない。
アルフィンがそう言おうとしたところで、とうとう唇を塞がれる。
後ろ向きに、顎を押さえられて。
「~~……、ん」
んんんん、と、押さえ込むジョウの腕を叩いてギブのサインを出す、アルフィン。
息さえまともにさせてもらえないほどの情熱的な口づけにじたばたしても、彼の力には到底かなわず。
結局、ジョウが離すまで彼の自由にされた。
「ひどい」
映画が見逃したまま先に進んでしまったことに対してか、それとも有無を言わさぬキスに対してか、アルフィンが涙目でなじると、ジョウはけろりと返した。
「邪魔とか言うから、お仕置きだよ。
悔しかったら、俺とここで映画見るときはジェラピケとまとめ髪はよすんだな」
そうしてまた彼女を腕の中に閉じ込め直した。
アルフィンは亀甲縛りされた亀みたいに手も足もでないまま、ぐぬぬと歯を食いしばって撃沈するしかなかった。
ただし、沈んでも結局彼の腕の中だったということも付け加えておく。

END
XmasのイチャイチャSSが間に合いました。滑り込みセーフ笑

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