今日の漫画:孤独のグルメ/扶桑社文庫[全1巻]
はい、今回突然取り上げるのは「孤独のグルメ」。もう何年も前に買ったこの一冊、なぜいきなりここで御紹介するかというと、先日呑みに行った吉祥寺の居酒屋で原作者の久住昌之氏と隣り合ったからである。そういえばこの店の常連には近隣の漫画家の方々も多かったんだよなあ。ちょっとミーハー気分です。
でこの漫画。ぶっちゃけて言えば中年男が飯を食ってるだけのお話。
以上。
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というわけにもいかないのでもう少し書きます。
さて皆さん、グルメ漫画といえばどの作品をあげるのか。
美味しんぼか。
ミスター味っ子か。
包丁人味平か。
食キングか。
天才料理少年味の助か。
…最後のはスミマセン、グルメ漫画じゃなくて汁系エロ漫画ですね。
上記の漫画と比べ、「孤独のグルメ」が決定的に違う部分。そして、食事をテーマとしておきながらこの漫画を「グルメ漫画」というカテゴリに入れる事を躊躇してしまう理由。それが
「味の感想を語らない」
ということだ。主人公・井之頭は腹が減る。何か食べたい。食べる。食べた。満足(あるいは物足りない)。これで終わる。食ってる最中の彼のモノローグには
うまい
暑い
すごい
注文し過ぎてこんなに食えない(失敗した)
せいぜいこの程度の感想しか浮かばないのだが、これがやけにリアルだ。そう、飯を食うのに蘊蓄も奇を衒った言葉も必要無いのである。
(余談だが、今Googleで、奇を衒った言葉の最高峰
『栗田』『シャッキリポン』で検索すると
5,000件以上もヒットする。これはこれで、まあ、すごいなあと思うんだけれど)
この漫画のファンは多いのだが、どうも作中に登場する食堂(実在の店名を少し変えて登場しています)をさがして食べに行って、主人公と同じオーダーをし、「孤独のグルメだ!」と喜んでいる方がたくさんいらっしゃる様だ。しかしこれには共感出来ない。確かに楽しい行為だとは思うけれど、本作に描かれる食事の清々しさから逆行していないかそれは?