人生の正午、中年期の危機、
心理的なカウンセリングを少しでも学んだ人にとっては、あまりにも有名な言葉。
一番最初にこの言葉を発したのは、ユング(1875-1961)だという。
人生を太陽の一日の動きになぞって、中年の時期をそう表現したんですね。
子どもから成長して成人期を迎え、そして30代を過ぎるころまでは、上りつめる午前の太陽のように、いろんな学びがあったり、出会いがあったり、経済的に安定してきたり。
あとは、運命の人とであって結婚して、そっくりな子どもが生まれたりして・・・
「これがオレの・アタシの人生なんだろうなあ・・」
そんな風に、自分というものを自覚していく。
よくいう、「アイデンティティ」ってやつですね。
それが、40代に差し掛かるころには、人生の正午を迎え、太陽は一気に下降しはじめる。
【人生の正午に経験すること】
- 親や身近な人と死別する
- 子どもがひきこもる、非行に走る
- 管理職に登用される
- 人間関係がうまくいかない
- 昇格がストップする
- 夫婦関係が気まずい(不倫がバレる)
- 親の介護が始まる
- 子供が巣立っていく、巣立っていかない
- リストラにあう、転職する
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ほかにもいろんな経験が重なる時期
そして、これらの経験をすることで、正午までに積み重ねてきた「自己」が、一気に崩れ落ちる。
ユングは、これを「人生最大の危機の時期」と表現し、「誰もが、重いノイローゼになってもおかしくない」と。
彼は、多くのカウンセリングの経験から、このような表現をしているのだけれども
、ユング自身も「人生最大の危機期」があったようですね。
「危険なメソッド」って映画見れば、ユング自身の「中年期の危機」がよくわかります。
自分自身も、40代の頃にはいろんなことが重なりました。
いつかこのブログで語ってみたい、自己開示したいと思います。
とういわけで、人生最大の危機には、とても共感できるものがありますね。
だからこそ、これを論文執筆のテーマにしたわけです。
つづく
【参考文献】
Jung, C.G. (1946). Lebenswende Seelenproblem der Gegenwart (ユング, C.G. 鎌田輝男訳(1979). 人生の転換期 総特集ユング 現代思想<臨時増刊> 青土社)
Jung, C.G. (1948). Über die Psychologie des Unbewußten,(ユング, C.G. 高橋義孝訳(1980). 無意識の心理 人文書院)