20世紀のファッション界におけるカリスマ的スタイリストIsabella Blowをして“今まで見た中で一番美しい”と言わしめた、Lee Alexander McQueenの名門Central Saint Martinsの卒業コレクション
彼をトップにすべく5,000ポンドですべて買い取る程、彼女にとってそれは魅惑的な作風だった
狂暴かつ柔和
モダンかつクラシカル
相反する要素が交錯しつつ調和する、唯一無二の美
心の闇が炙り出された作品とドラマティックなショーの演出
観る者に更なる強烈な印象を残す、相乗効果の妙
母親から人手不足の老舗テーラーの仕事を勧められ、その才能に目覚めるリー
反面、義兄から幼少時にDV被害を受け、タクシードライバーの父親からは機械工の道を嘱望されていたリー
彼を救ったのは、母親とイザベラだった
ところが、リーはGIVENCHYからの抜擢を機にイザベラとの関係を解消してしまう
彼女への反発心 ― 否、母親兼姉のような存在だった彼女に‘独り立ち’している自分を誇示したかったのかもしれない
やがて知る―
彼女の自殺によって、その存在の大きさを
彼女の突然すぎる死は彼を打ちのめした
更なる悲劇が彼を襲う ―
最愛の母の病死で生きる寄る辺を見失う
彼はHIV患者だった
耐え難い孤独の中に彼はいた....
億万長者になっても、彼は幸せではなかった
お金が欲しかったのは、自身のブランドを確立させるため、強いては家族同様の50人のスタッフを養うためだった
GIVENCHYへの参画も、McQueen Houseに投資するためだった
皮肉なことに、息つく暇もない年間10回以上のコレクションのルーティーンが徐々に彼を追い詰めていく....
“これが最後のコレクションだ”
長年苦楽を共にした元恋人に自殺さえ仄めかすことも度々だった
自分の手でブランドの幕引きを図りたいと考えていたリー
彼にとって後継者は、無用の長物だったのだろうか....
生真面目かつ純粋
強靭かつ繊細
天才的な閃きと頑固な職人気質
彼が背中を丸めて床に座したまま、手縫いに没頭する姿が印象的だった
Time Lapse / Michael Nyman
天才なるが故の苦悩と傷心 ―
天職によって悲劇を齎すことになる運命の悪戯が、あまりにも切ない
初めて彼に惹かれたのは、テーラードジャケットの美しさだった
常識を覆す芸術的な曲線ながら均整の取れた定型
その見事なディテールに釘付けだった
それ故に、とある会場で思いがけずGIVENCHY時代のパンタロンスーツを目の当たりに出来たことは無上の喜びだった
彼のデザインしたジャケットを着てみたかった....
彼のDNAを継ぐSarah Burtonがデザインするジャケットを購入できたことが唯一の慰めである
リー
私はサラがブランドを引き継いでくれたこと、有難いと思っている
そのおかけであなたを知ることが出来たから....
映画『McQueen/マックイーン:モードの反逆児』を鑑賞して (13日)
私もそうだった
小学生の時、授業がつまらなくて無意識に少女画を描いてた事がしばしばあった
装いは絵画だ
自身をキャンバスに見立ててイメージや主役となるアイテム(題材)を決め、手持ちの衣類(絵具)でコーディネートする時間が途轍もなく楽しい
2回観た (4月と5月)
同じ作品を映画館で複数回観たのは、初めてかもしれない