皇室は政府の機関ではない「親善」と「外交」

2009-12-14 19:25:04 | 怒爆

vol.189 中国副主席の天皇陛下御会見の問題
-皇室の教科書-
日本側が困惑することを知りつつ、強引に天皇陛下の御会見を要求する中国の態度は、国際社会の一員として最低限の礼節を欠いているというべきでしょう。

 十二月十一日の羽毛田宮内庁長官の会見によると、平野官房長官から御会見を実現するように二度要請があり、長官が一ヶ月前のルールを説明したにもかかわらず、官房長官は「日中関係は重要だから」という理由で、特例による御会見の設定を求めたといいます。
 この「日中関係は重要だから」という理由は、それ自身が既に政治的ではないでしょうか。
 これを政治的と言わずして一体何を政治的と言うのでしょう。

 重要なのは、皇室がこれまで諸外国を国の大小や、政治的重要性を考慮せずに、全て平等に国際親善を積み上げてきたことです。
 諸国を平等に扱ってきたことにより、皇室の国際親善自体は天皇の政治利用に当たらないのです。
 しかし、もし皇室の国際親善が特定の国を特別扱いしたものであったなら、それは天皇の政治利用に当たると考えなくてはなりません。

 「親善」はあくまで文化的交流ですが、「外交」は政治的交流であって、特定の国を特別扱いする皇室の国際親善は「親善」を超え「外交」の領域に達することになるからです。

 そもそも、日本は「陛下は副主席とお会いにならない」などと言っているのではなく、あくまで一ヶ月前というルールに反する御会見は認められないと述べただけです。
 中国も国際社会の一員ならば、日本のルールを尊重し、一月以降に来日すれば済む話です。

 宮内庁は政府の機関ですが、皇室は政府の機関ではありません。

 私は問いたい。なぜ羽毛田長官は体を張って止めなかったか。
 皇太子殿下の参内が少ないと皇太子殿下を何度も諌めたと豪語した人物が、天皇の政治利用を目の前にし、なぜ粘り強く総理を諌めなかったか。
 本来であれば、辞表を胸に忍ばせてでも、憲法違反の天皇の政治利用を阻止すべきではなかったでしょうか。

 皇室の利害と政府の利害が対立した時に、簡単に政府の立場に立つような宮内庁なら、存在意義は殆どないといえましょう。