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いっぽずつ。~慢性離人性障害と生きる~

心理士とともに、慢性的な離人性障害の自助グループ設立を目指すブログです。※2014/5/5~公開しました

離人症とは??

2014-02-19 | 離人症とは
離人症って、耳慣れない名前だと思います。

“人”を“離れる”と書いて離人症。
え、何これ?ってなりますよね。
…余談ですが、私はこの日本語表記の字面がどうしても、好きになれません。
妙なインパクトがありすぎますし、誤解を生みやすい気がします



離人症とは、いったいどんな病気なのか?
ざっくり言うと、現実感を感じられなくなる病気です。
この特異な症状を言葉で説明する事は、
なかなか難しいです。



①まず、国際的な病気の定義をご紹介します。

■DSMによる定義■
DSM…精神障害の診断と統計の手引き
Diagnostic and Statistical Manual of Mental Disordersの略称。
精神科医が患者の精神医学的問題を診断する際の指針を示すために
アメリカ精神医学会が定めたガイドライン。



DSM-Ⅳ-TR

離人症性障害(Depersonalization Disorder)

A.自分の精神過程または身体から遊離して、
あたかも自分が外部の傍観者であるかのように感じる
(例:夢の中にいるように感じる)
持続的または反復的な体験

B.離人体験の間、現実検討は正常に保たれている

C.離人症状は、臨床的に著しい苦痛、または社会的、職業的、
または他の重要な領域における機能の障害を引き起こしている

D.離人体験は、統合失調症、パニック障害、急性ストレス障害、
または他の解離性障害のような、
他の精神神経疾患の経過中にのみ起こるものではなく、
物質(例・薬物乱用、投薬)または一般身体疾患(例:側頭葉てんかん)
の直接的な生理学的作用によるものでもない。


■ICDによる定義■
ICD…疾病及び関連保健問題の国際統計分類
International Statistical Classification of
Diseases and Related Health Problemsの略称。
死因や疾病の国際的な統計基準として
世界保健機関 (WHO) によって公表された分類。
死因や疾病の統計などに関する情報の国際的な比較や、
医療機関における診療記録の管理などに活用されている。


ICD-10

離人・現実感喪失症候群(Depersonalization-derealization syndrome)

A.次の(1)、(2)のうち、いずれかがあること。

(1)離人:患者は、疎遠な感じ、または「現実にここにいる感じがない」と訴える。
例えば、自分自身の感情や感覚または体験を,疎遠で親しみが薄く、
自分自身のものではなく、不快に失われたものと訴えたり、
自分の感情や行動は誰か他の人のもののようで、
何か芝居の役を演じているかのように感じると訴える。

(2)現実感喪失症状:患者は実感のなさを訴える。
たとえば、周囲や特定の対象の見え方が、
奇妙・歪んだ・平板・色彩のない・生気のない・荒涼とした・おもしろくないもののようで、
皆が演技している舞台のようだと訴える。

B.患者は、この変化が自分自身のものであり、
他者や外的な力によって外部から強いられたものではない
という洞察力を保持していること。


以上が代表的な定義です。


②症状の表現

症状としては、“現実感”という感覚が感じられなくなるものですが、
この違和感を患者さん(私自身も含め)は

“生きている感じがしない”
“夢の中にいるようだ”
“自分がロボットになったような感じ”
“膜が一枚張ったように世界が見える”

などと表現し、うったえる訳ですが、
どうしても症状を説明しようとすると、
このような文学的な表現になってしまいます。そこに誤解が生じるように思えます。

“気のせい・ものの考えようだ”
“漫画や小説の読みすぎなんじゃ”
“中二病をこじらせたんじゃ…”

と思われる事もあるでしょうし、それに無理はないと思います。
私が離人症じゃなかったら、そう感じるかも知れません。

しかし、
憂鬱な感情を抱えといたり、惰性で過ごす毎日に嫌気がさして、
“生きている感じがしない”
と訴える事と、

脳の機能に何らかの問題が起き、
そのために生じた違和感や異常感を説明する比喩的表現(たとえ)として
“生きている感じがしない”
と訴える事とでは、
意味合いが全く異なります。


患者が訴えようとしているのは
“思考のありよう”ではなく“体感的な症状の問題”という事なのです。
くり返しますが、体感的な異常・違和感なのです。



③他の疾患と混同しやすい部分

カテゴリー的には解離性障害となるわけですが、

DSMの
B.離人体験の間,現実検討は正常に保たれている

ICDの
B.患者は,この変化が自分自身のものであり,
 他者や外的な力によって外部から強いられたものではないという
 洞察力を保持していること。


という所が、この病気のミソだと思います。

現実感が感じられないという症状のために
“夢の中にいるようだ”という表現をしますが、

現実と夢、または妄想との区別がつかない訳ではありません。

自分を取り巻く世界が変わったのではなく、
あくまで自分自身の体(脳)に異常や違和感が生じただけである、
と客観的に認識しています。

また、記憶が抜けおちるという事もありません。
(記憶力がニブるという事はありますが)


これらは別の疾患であり、
またこれらの疾患と併発して、離人症の症状が出る事もありますが、
しかし離人症そのものにこういった要素はありません。

それ故に、
患者である私自身も、離人症の患者さんを見破る事は
ご自身が名乗りでもしない限り、できないと思います。

良くも悪くも、表に症状が出ないため、
患者の抱える困難が伝わりにくい病気だと思います。



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