愛媛のおいしいみかん 青い樂園

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          ☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆橘中之樂

そばと自信と丹波哲郎

2006-09-29 | 味覚
かつて、私は、東京の蕎麦屋で修行をしていました。とても短い間でしたが、今思えば、貴重な体験をたくさんさせてもらったと思っています。

 うまいそば屋になることを決意し、飛び込んだ世界。親方の計らいで、そば粉に水を差して混ぜ合わせ、まとめて玉にする作業工程を、まかされておりました。

 (うどんが、「こねる」のに対し、そばは「もむ」といいます)

 新そばの季節ですが、本当に新そばの香りの強いのは、収穫したての1週間ぐらいだったりします。そばをもんでいる人間には、その香りの違いが、とてもよくわかります。水を差した瞬間に、むせ返るほどの香りが立つ、これが、本当の新そばです。

 天候にもよりますが、北海道産なら、9月中がいいのではないでしょうか。お気に入りのおそば屋さんを見つけたら、気軽に、聞いてみるのもいいかと思います。
教えてくれるかどうかは、わかりませんが、教えてくれるお店だったら、信頼してもいいかと思います。そばに自信を持っている証拠でしょうから。

  そばをもむ仕事のほかは、玉子焼きを焼く仕事をしておりました。

 カツオだしの香りも高い、焼きたての甘口の玉子焼きは、人気メニューのひとつでした。私は、注文が入り次第、これを焼くという毎日でした。

 玉子焼きをまかされて間もない頃、まだ上手に焼けるとまではいえないけれど、店の人気メニューとして恥ずかしくない程度の玉子焼きが焼けるようになったとき、とある人がお店にやってきて、玉子焼きを注文されました。

 私の修行していたおそば屋さんは、テレビ局が近かったため、有名人がしばしば訪れました。この日は、丹波哲郎さんがご来店。私の焼いた玉子焼きを食べてくれました。

 特に会話をしたわけでもなく、厨房からは見ることの出来ない顔の表情を、勝手に想像しながら、自分の仕事に、とても自信がついた瞬間でした。

 蕎麦屋になる夢は、修行の半ばで挫折してしまいましたが、食べ物を作ると言うこと、そして、農産物を作りたいと言う夢に変化していって、現在に至っていることからしても、修行の経験は、決して無駄ではなかったと思っています。

 そんな丹波さんが、先日亡くなられました。亡くなられてなお、私の心の中に、強く輝いて、存在しています。

 これが「死後の世界」なのかな!?
 

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4 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
修行 (地理佐渡..)
2006-09-30 06:44:12
おはようございます。



絶え間ない修行の歩み..。

現場が変わろうとも、どこか山の高み

をめざすのに似て、上をめざすのは

人の習いですね。



さて、間もなく出勤。

今日も頑張るぞぉ~。



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蕎麦屋といえば・・・ (白あずき)
2006-09-30 10:08:31
日本酒ですよね・・・

ツマミがまた、居酒屋とは違って、

蕎麦屋の酒は、大人の酒という感じです。

そばがき、蕎麦味噌、そして、卵焼き。

卵焼きって、かなりその店の顔だと思うなぁ。

そんな卵焼きをまかされていたアベッカムさんの卵焼き、

さぞ美味しいことでしょうね。
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Unknown (kazuyoo60)
2006-09-30 11:10:08
昨晩テレビで亡くなられたのを知りました。存在感のある方でしたね。

お蕎麦も卵焼きもプロでいらっしゃったんですか。それなら、自炊はお茶の子さいさいですね。
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お返事です。 (アベッカム)
2006-10-03 00:02:31
地理佐渡さんへ





 生活が急速に便利になってゆく中で、日常生活に技術が問われなくなってしまうとしたら、実にもったいないことだと思っています。



 自分から物事のコツを探し続けることは、飽きることのない楽しみですね。





白あずきさんへ





 玉子焼きの担当になってすぐに、料理長からこんなことを言われました。



 「もっとうまいものを目指せ。」



 修行には終わりがないのだと言う事を、教えてくれたような気がします。



 単純作業では、ないんですよね。何事も。



 

kazuyoo60さんへ





 自炊ですが、自分で食べるものには、どうしても妥協がついて回ってしまいます。

 

 やっぱり、誰かに食べてもらうことをしていくことが、料理の上達の秘訣ですね。



 ときどき、そういうことをしています。

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