いずれにせよ死語にならないなら御の字である。旧聞に属するが、文化庁が平成30年に実施した「国語に関する世論調査」に拠れば、御の字を「大いに有難い」だと答えた人が36.6％だったのに対し、「一応納得出来る」と答えた人は49.9％に上ったとの事である。御の字を日常会話で使う人が少ない上に、使ったとしても皮肉めいた言い回しになる状況が大抵である事を考えれば、仕方ない結果とも言える。次回調査の頃には国語辞典の方が先に折れて、両論併記しているかも知れない。ビジネスマナー用語集が毎年それなりの売上を維持しているのも、そう云う言葉の揺らぎと無関係では無いからだろう。「平素より大変お世話になっております」が最大級の皮肉になってしまう可能性はゼロでは無いのである。故に常識のアップデートは欠かせないのであるが、寄って立つ基軸が無いと云うのも心許ない。世間の動向を横目にフラフラ揺らぎながらも進めれば、それで御の字なのである。
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