MY LIFE AS A DOG

ワイングラスの向こうに人生が見える

アメリカメディアが見た日本

2004年08月30日 01時37分37秒 | 雑感
普段アメリカのメディアを見ている限り、日本に関する報道を見かけることはあまりありません。
しかし、時折取り上げられる日本のニュースを見ると、欧米ではどのようなニュースに関心が持たれているのかを窺い知ることが出来ます。

2日前の新聞には“Geeks Shall Inherit the Earth(変人達が地球を相続する)”という見出しで、東京で開かれたWorld Hobby Festivalに押し寄せる“Otaku”と呼ばれる若者達が創り出す経済効果について報じられていました。記事によるとOtaku達は取り憑かれたようにマンガ本や、アニメフィギュアを買い漁り、年間20億ドル以上にも上る経済効果を生み出しているのだそうです。新聞にはご丁寧に、アニメ主人公のフィギュアの周りに群がって写真をとるオタク達の写真まで添えられていました。
このようなオタク文化は、海外でも興味をひくのでしょう。

最近目にしたその他の日本関連のニュースを思い返してみると、先日の美浜原発事故のニュース。これはそれなりに大きく報じられていました。あと、少し前になりますがイラク人質事件については、その後の自己責任論争も含めて扱いはそう大きくはなかったもののしっかり報道されていました。それから、例のジェンキンズさん帰国のニュースや、オウム真理教の元教祖麻原章晃に対する一審での死刑判決のニュースなどもそれなりの紙面を割いて報じられていたように記憶しています。

しかし、なかでも最近個人的に目を引いたのが、皇太子妃雅子さまに関する報道です。

先日、あるヨーロッパ系の新聞に、
「日本の皇太子妃が皇太子との別居を希望している」という記事が載りました。
これには、正直驚きました。なぜなら、そのような内容の報道を日本のメディアで見聞きするということはまずありえないからです。

記事の真贋はともかく、このような報道が海外メディアで堂々と取り上げられているのをみると、日本の皇室報道のありかたを改めて考えずにはいられません。
我々日本人が皇室内の出来事について知るのは、海外メディアを通じてもたらされる情報がきっかけになる場合が多いというのはよく言われることです。このように、実際に欧米メディアで堂々と報じられている内容が、日本では意図的に矮小化されたり、もしくは全く報道されないという事態はしばしば発生します。

天皇制について語ること、あるいは皇室の問題を報道することは現在の日本ではタブーに触れる可能性がありますから、日本のメディアが皇室報道に消極的になるのは分からなくもありません。

最近休刊になった「噂の真相」という雑誌があります。以前この「噂の真相」において雅子さまの記事を掲載した際、敬称を省略して“雅子”と表記したところ、この記事に怒った右翼が編集部に乱入し、編集長と副編集長がボコボコにされたという事件がありました。
このように、天皇制、および皇室に関する報道は一歩間違うと、報道する側の人間に生命の危険が及ぶ可能性すらあるのです。

民族派右翼「一水会」の元代表である鈴木邦男によれば、民族派といえども天皇制に関する真摯な議論に対しては直ちに暴力に訴えるようなことはないそうですが、このような物言いをもってしても民族派という存在が、メディア側にとってみれば報道を躊躇させるに十分な影響力を未だ持っているということは想像に難くありません。

では“タブー”とはそもそもなんでしょうか?

宮台真司によると、“聖性”という概念に支えられている存在(天皇)に対して何らかの違背が起こった場合、一部の人間達の間に激烈な反応(パニック)が生じるという事実は社会学の世界では古くから認知されていたのだそうです。そして、何故このような反応が起こるのかははっきりと意味付けが出来ないのだそうです。逆にいうと、意味付けできないからこそそれが“タブー”になるのだとか。つまり、激烈な反応の理由がはっきりしないので論理的反駁が困難となり、従って敢えてそれに言及すること自体が“タブー”であるとされるのだそうです。

まあ、なんだかよく分かりませんが、どうやら日本においてはこのタブーとやらを解消するのはとても難しいことのようです。
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3 コメント

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結局 (ダイアン)
2004-09-01 15:24:28
海外に居ると日本の情報は皆無に等しくなるとき、

日本ってちっちゃい国なのかなって

ふと思うんですよね・・・・。
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ちっちゃい国ですね (kazu-n)
2004-09-02 13:32:57
こっちで世界地図みると本当に日本って世界のはずれにあるんだなーと実感します。

しかも、本当にちっちゃいです。

まあ、それが実感できただけでもこっち来て良かったかなーとも思います。
返信する
自分が Otaku なもので・・・ (Pow on !)
2004-09-02 15:30:18
・・・といっても、漫画やアニメに夢中ということは

さすがに今はないのですが。学生時代は結構なゲーマー

であったので、Otakuの端くれかも、と思うわけです。

 自宅に程近い秋葉原を歩いていると、電気街であった

面影が徐々に失われ、漫画・アニメ関係の店が急速に

増えているのは確かです。ほとんどが独特の雰囲気を

かもし出し、ちょっと普通の人が入店するのが

ためらわれるほどです。自分も入ったことはありません。

 店が増えるということは需要があるということであり、取り憑かれたようにマンガ本や、アニメフィギュアを

買い漁っている人は確実に増えているように思います。

 経済効果については、あまりに日本が不景気なので

このようにお金使いの派手な人種が目立つという

だけではなかろうかと・・・

(その分、食費とか削っていそうなので消費の底上げには

じつはあまり貢献していないのでは?などど偏見を。)

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