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M,D,J.-Mange, dort, joue-

主に販売品整理。挿絵ナシ。すべて簡易紙媒体です。

【R18】その恋、純情にして異常。

2020-01-18 23:41:58 | 発売中
商品説明
日本最大級のアパレル系企業グループのトップに君臨する須藤雪人(すどうゆきひと)は、三十年越しの初恋を実らせた。そのお相手は近隣の極道を纏めるヤクザの親分、辰巳匡成(たつみまさなり)。
ほだされて付き合い始めたは良いものの…蓋を開けてみれば匡成は予想以上に雪人に振り回される事に!!
オヤジが年甲斐もなくイチャコラするだけの物語です( ´艸`)
番外編に雪人と匡成の付き人、設楽と真崎の恋模様(?)も収録。上司が上司なら部下はその上を行く!?
R18 BL小説です

著者名
ヒトミマサヤ

販売者
M,D,J.

書籍情報
製本サイズ:B6サイズ
ページ数:130
表紙加工:カラー
本文カラー:モノクロ
綴じ方:無線綴じ

【R18】その恋、純情にして異常。


■ちょい読み
 夜景を見下ろす大きな窓が売りの高級レストラン。その窓際の席に須藤雪人すどうゆきひとと辰巳匡成たつみまさなりは向かい合って座っていた。
 予約を取るのも困難と言われるほど人気の店ではあるのだが、この日はフロアに他の客の姿はない。そう、雪人が貸し切ったのだ。
「お前よ…飯だっつうから来てやったが…」
「食事だろう?」
「誰が店貸し切れっつったよ?」
 目の前の皿に乗った食材を切り分ける匡成の手元でナイフがキラリと光った気がするのは気のせいだっただろうか。低い声で囁かれる会話を聞いている者は一人もいない。
 そもそも匡成などは、こんな店に四十七にもなる男が二人で来ること自体理解が出来ない。こんな場所は、女を連れてくる場所だ。
「仕方がないだろう。俺とお前が頻繁に会ってるなんてマスコミにバレたら面倒な事になる」
「あぁあぁそりゃそうだろうよ。だから外で会おうなんて言い出すなって言ってるんだ阿呆」
 どちらも悪びれる様子なく言い合う雪人と匡成である。友人としての付き合いが長い故に、この二人が恋人らしい雰囲気を纏う事はあまりなかった。表向きは。そもそも雪人の言う通り、こんな関係がバレようものなら大騒ぎになりかねないのだ。
 だが、どうしたことか次の瞬間、雪人は手を止めて僅かに俯いた。その顔がほのかに朱に染まっている。
「でも…今日は…」
「ああ? 今日がなんだってんだ」
「っ…やっぱりいい…」
 俯く雪人に匡成が眉根を寄せるのも致し方ないと思うが、今日は特別なのだ。雪人は今日のために今週から今後一カ月以上のスケジュールを調整して時間を空けていた。匡成の、誕生日だから。
 だがしかし、案の定というかなんというか。本人は誕生日である事など気にしていないどころかすっかり忘れている様子で、いつ切り出したものかと雪人は迷っていた。
 そんな雪人の悩ましい様子を、匡成はじっと見つめ、そしてふっ…と小さく嗤うと口を開く。
「はぁん? なるほどねぇ…」
 揶揄うような口調におずおずと顔をあげれば、ニヤニヤと愉しそうに嗤う匡成の顔。匡成は、いつもこうだ。
「今日は何だ? 言ってみろよ雪人」
「っ……気付いたんだったらいいだろう…」
 明らかに気付いているのに言わせたがる匡成は悪趣味だと思う。下手をしたら最初から何もかも分かっていて、雪人を揶揄っている可能性だってある。
 だが、それが辰巳匡成という男で、簡単に引いてくれるような男でもないのは雪人が良く知っていた。案の定。
「駄目だ。ちゃんと言え」
「……匡成の……誕生日…だから…」
 今にも消えてしまいそうな声で言うのが精いっぱいだった。雪人とて年甲斐もないという自覚はあるのだ。恥ずかしくてどうしようもない。
 だが、次の瞬間、温かな手に頭を数度ぽんぽんと軽く叩かれて、雪人は増々顔をあげられなくなる。
「お前は可愛いな、雪人」
「ッ……」
 どんな顔で言っているのかと気になるものの顔をあげられない雪人の前で、匡成は食事を再開した。俯けた視線の先で器用にカトラリーが動き、食材を口許に運んでいく。どうしてこう、匡成の前ではすべてが上手くいかないのだろうと、雪人は頭を悩ませた。
「匡成…誕生日おめでとう」
「ありがとよ。つかお前、明日仕事あんのか」
「午後からだが」
「んじゃ、この後家来い」
「それは駄目だ。部屋を取ってある」
「ったくお前は…」
 呆れたように言う匡成に雪人が問いかける。
「駄目だったか?」
「構わねぇよ」
 さらりと言う匡成に、雪人は嬉しそうに微笑んだ。
 だがしかし、恋人として付き合い始めて数週間。匡成は須藤雪人という男の恐ろしさをまだ知らない。

【R18】蜜月に愛は謀られる

2020-01-18 00:47:45 | 発売中
商品説明
辰巳&フレデリックの甘々新婚旅行編。
ヤクザ&マフィアなオッサンふたりが豪華客船『Queen of the Seas (クイーン・オブ・ザ・シーズ)』で織りなすラブアクションです!
R18 BL小説です。

著者名
ヒトミマサヤ

販売者
M,D,J.

書籍情報
製本サイズ:B6サイズ
ページ数:166
表紙加工:カラー
本文カラー:モノクロ
綴じ方:無線綴じ

【R18】蜜月に愛は謀られる


■ちょい読み
  【プロローグ】
 世界中に豪華客船は数あれど、その中でもトップクラスの規模を誇る大型客船『Queen of the Seas (クイーン・オブ・ザ・シーズ)』。その美しい姿は見る者を魅了し、そのもてなしは最高の船旅を約束するという噂がある。
 街ひとつを全て移植したような規模と設備を誇り、最高のもてなしをするクルーやスタッフ、それに物腰柔らかで優雅と評判のキャプテンをはじめ、常に冷静沈着なチーフオフィサー、一流のカジノディーラーなどなど。この船のクルーは見目も麗しく大変優秀な人材を取り揃えていた。
 だがその実、船を所有する会社の大元は何を隠そうマフィアである。ついでに言うならセキュリティースタッフもすべてが息のかかった人間だ。もっと言うならキャプテン自身がマフィアの次期後継者という、非常に危険な船である。
 もちろん、危険地帯(一部の人間)を除けば他のクルーたちは”一般”の、大変優秀な人材たちではあるのだが。
 しかしご安心頂きたい。今回のクルーズは『Queen of the Seas』を所有する会社の創設を記念した特別なもので、たいへん真面目でクルーからの信頼も厚いマイケルというチーフオフィサーが代理でキャプテンを務めている。
 正規のキャプテンはいったいどこへ行ってしまったのかと言えば、もちろんこの船に乗っていた。但し、乗客として。
 フレデリック《Frederic》略称はフレッド、三十八歳。身長、百九十一センチ。体重、七十七キロ。国籍はフランス。
 金糸の髪と碧い瞳は天然のもので、現在休暇中だが普段はこの大型客船『Queen of the Seas』のキャプテンを務めている。
 柔らかな微笑みは見る者を思わずうっとりさせてしまう程に魅力的だが、中身はマフィアだ。その肉体には無駄なものなど一切ない。ついでに言うなら、トラブルが起きると面倒が嫌いなのでさっさと相手を始末してしまうという、実に恐ろしい性格をしている。
 さて、いったいこの男が何故乗客であるかと言えば、何を隠そう恋人もとい”旦那様”との優雅な世界一周の新婚旅行を愉しむためである。
 辰巳一意たつみかずおき三十八歳。身長、百八十八センチ。体重、七十二キロ。国籍は日本。
 黒髪に黒く深い闇を湛えた瞳は日本人独特のものだが、その体躯は日本人離れしたもので、惚れ惚れする程に美しい筋肉を纏っている。
 ヤクザの跡取り息子であり、本人もその家業に身を置いている事もあって些か強面である事は否定しないが、その容貌はとても整ったものだった。性格はそう荒くないが、マフィアを嫁扱いする為にそのボスを脅す程度には肝が据わった男である。
 そう。何を隠さずともこの二人はヤクザとマフィア。しかもどちらも次期後継者という、大変恐ろしく頗る危険な新婚さんなのである。
 そんな二人がこの『Queen of the Seas』で宿泊している部屋は、この船でも最上級のグレードを誇る船室だった。それは広さ、設備共に、ホテルのスイートルームに匹敵する。もちろん、サービスも。
 二人が宿泊する船室には、つい今しがたまでチーフオフィサーで今回キャプテンを務めているマイケル《Michael》の姿があった。こういった大型客船になると、上客にはキャプテン自らが挨拶に訪れる事も稀にあるが、だからという訳ではない。偶々、食事をしに出掛けようと辰巳がドアを開けたそこに、キャプテン・マイケルが立っていたのである。しかも、どこか悩ましい様子で。
 フレデリックにとってマイケルは弟のような存在だった。船乗りたちは船を”家”と呼び、クルーを”家族”と呼ぶ。その中でもチーフオフィサーであり次期キャプテンのマイケルは、フレデリックにとってとても大切で可愛い弟だ。
 このクルーズが終わって幾月もしないうちに、フレデリックはこの『Queen of the Seas』を降りる。そして辰巳の元へと”嫁ぐ”予定だ。そのため、ナーバスになっているマイケルを放置しては置けないフレデリックである。
 悩みを聞き、励ましてやるのも兄の仕事とばかりに部屋に引っ張り込んであっという間にマイケルの調子を取り戻させた。…のは、フレデリックではなく実は辰巳の言葉であった。だが、そんな事はどうでもいいのである。
 ともかく、マイケルは晴れ晴れとした表情でこの部屋を去って行ったという結果が重要なのだ。
 一仕事終えたとばかりにフレデリックは、頼んだルームサービスが届けられるまでのひと時を定位置である辰巳の隣で過ごしていた。
 フレデリックの定位置は、常に辰巳の左側である。それは辰巳が右利きであるからに他ならない。緊急時に、辰巳は必ず右手で銃を抜く。その邪魔にならないためにフレデリックは常に左側にいるのである。フレデリックは左右どちらの手でも扱えるからだ。
 常日頃から些細な事に気を配り、旦那様をサポートする良き妻であろうとフレデリックは心がけているのである。まあ、時折暴走したり屈折したりはするのだが…。
 とは言え、先にも記載の通り、この夫婦は嫁の方が躰が大きい。フレデリックは稀に大型犬のように辰巳に飛びついては押し潰してしまう事もしばしばある。甘えるにしても旦那の方は気分屋なので”稀によく”顔を顰められる事もある。夫婦生活というのはなかなかに大変なものだと、そう思うフレデリックなのだ。
 そしてフレデリックには、何としてでも叶えたい野望がある。それは旦那様である辰巳を骨抜きにし、自分がいなくては生きていけない躰にするという壮大なる野望だ。つまりは歪んでいる。とてもとても歪んでいる。
 それはもう溺愛というレベルを遥かに超えて、独占欲と執着心の塊のようなものだ。
 辰巳が一歩間違えて怪我でもしようものならば、相手を絶対に許さないと豪語するのは当然の事。それは時として旦那である辰巳自身にも向けられる程にフレデリックは辰巳を愛している。
 とは言え、辰巳ももう慣れていた。何せこの二人はそろそろ十二年の付き合いになるのだ。もっと言えば、この半年近く、辰巳とフレデリックは殆どの時間を共に過ごしているのである。慣れない筈がない。
 そもそも辰巳自身、やくざの跡取り息子として生まれてからこれまで、身の回りの世話を誰かに焼かせるのには慣れている。むしろ世話役がいない生活などまっぴら御免だと言い放つ男なのだ。
 かくしてこの二人は夫婦のような関係にある。そのためにフレデリックの養父であるマフィアのボス、アドルフを脅し、辰巳はフレデリックを攫ってきた。つまりはどちらも似たようなものなのだ。
 人様から忌み嫌われるのには慣れている。元より他人の目など気にもしない。この二人は自分たちさえ幸せになれればそれでいいのだ。
 旦那様命のフレデリックと、嫁が何よりも可愛い辰巳である。この二人は互いを信頼し合っている。そして互いを知り尽くしていた。心も、躰も。


【R18】同期と部下に狙われました。

2020-01-18 00:45:46 | 発売中
商品説明
これといって取り柄もなく、容姿も至って平凡な内海庸二(うつみようじ)三十二歳、独身、男。そんな俺に突然告白してきたのは、部下の高槻薫(たかつきかおる)二十四歳。名前は可愛らしいが、高槻もれっきとした男である。しかも、今年一番のイケメンと言われる新入社員。
仕事帰りに飲みに誘われ、同期で同い年の浅丘肇(あさおかはじめ)と一緒でよければと逆に誘ってみたものの、蓋を開けてみればトンデモナイ事に!
天然平凡なサラリーマンの身に降りかかる困難や如何に。
R-18 BL小説です


著者名
ヒトミマサヤ

販売者
M,D,J.

書籍情報
製本サイズ:B6サイズ
ページ数:32
表紙加工:カラー
本文カラー:モノクロ
綴じ方:無線綴じ

【R18】同期と部下に狙われました。

*2020/06/05 誤字の一部を修正しました。

■ちょい読み
 『好きなんです』と、そう言ってはにかむような笑顔を見せたのは、今年新卒で俺の部署に配属されてきた新人の高槻薫たかつきかおる二十四歳、独身、男。今期の新入社員の中で一番かっこいいと、女性社員たちがはしゃいでいたのを覚えている。
 だがしかし、好きとはいったいどういう事だと、そう思う。尊敬しているとか、憧れてるならまだしも。俺は男で。どうしてそんなナチュラルに男に告白されなきゃならんのだと、そう思う間もなく高槻はあっさりと踵を返して部屋を出て行った。思わずその場にへたり込む。
 ――好きです…って…。マジか?
 内海庸二うつみようじ三十二歳、独身、男。至って平凡な、目立つところも何もない冴えないサラリーマン。ちなみに身長は百七十センチ…という事にしてあると言えばお分かりいただけるだろうか。大学を卒業して高槻と同じ二十四の時にこの会社に入社し、今では一応この部署、営業部第三課の課長である。
 話の流れ的に、その前に何が好きだなんだという名詞が出てきたかと思い返してみても、それらしいものはなく。思い出せる範囲での遣り取りは明らかに俺の話。
『内海課長って女性にモテそうですよね』
『嫌味かお前。女にモテてたら今頃結婚してるだろ。子供は二人くらいかな』
『じゃあ、彼女さんとかもいらっしゃらない?』
 そう、確かそんな話。どうしてそんなに俺の事を聞くのだと、そう言った俺にあいつが言った言葉。
『好きなんです』
 ごく自然にもたらされた言葉が頭の中をぐるぐると回る。デスクの真横に座り込んだまま頭を抱えていれば、いつの間に戻ってきたのか、二課の課長で同期の浅丘肇あさおかはじめの声が降ってきた。
「何してんだお前」
「ぉわっ!? っな、何でもない」
「ふぅん? その割に顔真っ赤だけど、女にでも告られた?」
「こっ、告白なんてされてないっ」
「アヤシイねお前…」
 浅丘は、高槻に負けず劣らず入社時から女性社員株を総ざらいにしている男である。男の俺から見ても、仕事も出来るし男らしいと、そう思う。ついでに言えば実家が金持ちだ。
 ニヤニヤと口角を歪ませて顔を覗き込んでくる浅丘の額をぐいっと手で押しやる。どうしてこう、この男はいつも揶揄ってくるのかと渋い顔をしながらも、俺は口許を手で押さえた。そんなに、赤い顔をしているだろうか。
 だが浅丘は深く突っ込んでくる訳でもなく、俺の隣にある自分のデスクへとあっさり戻って行った。