内田康夫
鯨の哭く海
祥伝社
さて今回の「鯨の哭く海」のテーマは鯨の保護問題が中心になっています。
2月18日の中日新聞の夕刊に「調査捕鯨妨害で中止」と記載されていました。反捕鯨団体「シー・シェパード」の妨害行動によるものとのことです。
嘗て日本は鯨を捕って食料にしていた時代が有りました。特に終戦直後の物資が不足の時は重要なタンパク源として盛んに捕鯨し食べました。
私も随分食べました。缶詰の大和煮は大好物でした。又鯨のベーコンも美味しいです。
しかし、何時の頃からか、捕り過ぎて数が極端に少なくなった事からか、世界的に鯨の保護活動が盛んになります。オーストラリア、フランス、スペイン、アルゼンチン、ブラジル、ニュージランド、等多くの国が捕鯨に反対しています。つい最近はグリンピースやシやシュパードの暴走で話題になっています。
これに対し捕鯨推進国は日本、ロシア、ノルウェイ、等34カ国ですが、鯨は海に棲む哺乳類で殺すのは余りにも可哀想!!と言う心情論を含め推進国の旗色は悪いです。
日本も生態系調査を名目に「調査捕鯨」をして鯨を捕獲、各店に流し、細々と営業をしている店も有るには有ります。
しかし、学者の中には全人類が食べる水産類が年間9千万トン、それに対し鯨が食べる量は5倍以上、しかも鯨の保護活動が効を奏して鯨の数は年々増えている。このままゆけば人間の食べる魚も鯨に脅かされる・・・鯨はドンドン捕るべし、堂々と論陣を張っているそうです。
因みに鯨の種類を列記してみると イルカ・ミンク鯨・ツチ鯨・コク鯨・イワシ鯨・ザトウ鯨・マッコウ鯨・セミ鯨・ホッキョク鯨・ナガス鯨・シロナガス鯨等々
イルカは体長4m以下の物を言います。れっきとした鯨の仲間なのです。
さて此の作品の物語は秩父夜祭りで、有名な埼玉県の秩父で一人老人が死体となって発見されます。此の老人は新宿で路上ホームレスをしていました。昔は和歌山の太地で腕利きの鯨の銛打ちでした。
此の事件、たまたま、鯨の捕鯨問題のリポートの資料収集中の浅見光彦の耳に入る事になり此の事件の解決にのめり込む事になります。
勿論若い美人も登場します。物語も面白いです。浅見青年相変わらず格好良いです。颯爽としています。