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And This Is Not Elf Land

George Carlin (1937-2008)

過激政治ネタジョークで知られるコメディアンGeorge Carlin(ジョージ・カーリン)が22日に亡くなりました。先日のLARRY KING LIVEでは、彼を追悼する特集が組まれ、Jerry Seinfeld(ジェリー・サインフェルド)もゲスト出演しました(…というか「したそうです」…見てないよ~泣)

番組の中でJerryは、「Georgeとの会話はいつもとても奇抜なものだったし、亡くなったというニュースを聞いた時は本当にびっくりした」と言っています。また「彼は『コメディアンはこうあるべき』という全てのスキルを持っている人だった。彼は、ありきたりで当たり前の事柄を見つめる視線を鍛えているような人だった。政治・宗教・生命倫理…どんなトピックも解剖して素材としていたし、彼に料理できないネタはなかった」

そして、「顔の表情も体つきも、彼の全てが可笑しかった。一生のうちで、彼ほど面白いコメディを創りだせる人に出会えることはないだろう。彼はstand-up界の手の届かない巨人」とも…

さて、24日付のNew York TimesにJerryのエッセイ”Dying Is Hard. Comedy Is Harder”が載っています。(Jerryについての記事が載っているのではなくて、Jerryが書いた記事が載っているのです←シツコイ)彼の文章というのは、やたらと仰々しい言葉を使うし、ユニークな比喩に富んでいて、行間にも意味が込められてるし…かなりノン・ネイティブ泣かせなんですが…ファンの義務でもあるかと(?)以下、拙訳でございます。




コメディアンとしての真実を正直に告白すれば、「死」でさえもジョークの素材になり得るのだ。何故なら、9日前故George Carlinと電話で話した際に、僕たちは人が死ぬことについてのジョークを口にしていたからだ。僕たちがTim Russet やBo Diddleyの話をしていたとき、彼は言った。「僕は、もう暫くは大丈夫だと思う。きっと、次なる休止を追いかけて奴らがやってくる前にも、何らかの休止があるものなのだよ。僕は飛行機が墜落した直後でも、空を飛び続けていたいといつも思っているんだ。そう思うことが違いを生むんだ」

僕はHBOの彼の一番最近のスペシャル番組の敬意を表するつもりで電話をしたのだった。70歳の彼は小一時間、次々と面白い新ネタを口にしていた。丁度、ラスベガスのホテルでショーの準備をしていたときだったのだが、彼はまさに怪物だった。

Georgeは、様々な方法で、アメリカのstand-upを生み出したと言える。どのコメディアンも少なからず彼の影響を受けた。これまでに、他のコメディアンとジョークのことを話しているときに、相手が「それはCarlinがやってるよ」と言ったことが何度あったことか。「Carlinがやってるよ」「それ、Carlinが既にやってる」「Carlinが8年前にやったよ」などと人が言うのを、僕は自分のキャリアの中でずっと聞き続けている。

でも、彼はただ「やる」のではなかった。彼はダイアモンド・カッターとか天使、光の反射のネタを何度も書き直していた。コメディアンになりたいと思う人がいても、彼のそういう苦労を見ると、やめようと思っただろう。彼は鳥ガラをしゃぶりながら列車で移動している浮浪者のようだった。彼が仕事を終えれば、後には何も残っていなかった。

しかし、彼の才能は多くの偉大なコメディアンに影響を与えた。僕は、個人的には「テレビで言ってはいけない7つの言葉」や「FM&AM」など、特別気に留めたことはないけれど、彼のやること全ては、機知に富んでいて、素晴らしく緻密でオリジナリティーに溢れていた。

60年代、僕は彼に嵌るようになった、George Carlinのお陰で、子どもだった僕には、世界中が面白く見えた。彼の演ずるときの声は、不敬な言葉に縁どられてはいたけれど、彼が子どもを楽しませようとしているかのようだった。この世で一番の悪戯好きで面白い大人がベッドのわきで話を聞かせてくれているかのように思ったものだ。

Georgeは天国も地獄も信じていなかった。死と同じく、それらもコメディの素材にすぎなかった。僕が自分の最期に近づくときでさえ、現存するどんな破壊的な渦の中でキリキリ舞いしていても、そんな中でも僕は「Carlinは既にこれをやっているのだ」と考えなければいけないのだと思うと、一層悲しみが増すのだ。

コメント一覧

master of my domain
ファイアーさま、こんにちは。
晩年のカーリン氏はアニメの声優としても活躍していたようです。
話は変わりますが、今日TVを見ていたら、「今年の上半期の流行語は?」なんて特集をやっていて、「3」「グー!」などが取り上げられていましたが…
こんなんでいいんでしょうか~!?
それと比べると"yada yada yada"とか"master of my domain"とか"not that there's anything wrong with that"なんて「豊かな」表現だな~と思わずにはいられませんでした。
ファイア-
翻訳ありがとうございます。Jerryの文章をはじめて読みました(考えてみれば、はじめてだ・・・)。カーリン氏への尊敬、コメディへの想いがすごくつたわってきました。
カーリン氏についてもはじめて知りました。欧米にはやはり政治や社会諷刺の伝統がしっかりあるのでしょうか、こういう偉大なコメディアンの方がいるのですよね。
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