
個人的な話になりますが、最近の私はあんまり社交的ではなく(昔はそうでもなかったんですよ)、「旧交を温める」なんて”Forget it!”な人生を送っているのでありますが、盆とお正月になると少しは「普通な」こともしてみたくなって、先日も古い友人と1時間ぐらい電話で話し込んでしまったのです。知的で感性の豊かな彼女なのですが、今いろいろ悩みを抱えているようでした。ま、最近の私は人の神経を逆なでするような言動が多いもんで(?)彼女はどう思ったか分かりませんが、私は彼女の中に「フラニー」を感じて(年代はかなり違いますよ…笑)ちょっと切なくなりました。
サリンジャーの最も有名な『キャッチャー・イン・ザ・ライ』は少年の不安定な心と思春期の少年特有の「攻撃衝動」のようなものが巧みな言葉で表されたものだといえます。一方、この『フラニーとゾーイー』は非常に女性的で(あくまでも私の見方なのですが)実際、読んでいても辛かった。『キャッチャー…』の方は距離を置いて、ひとつの物語として読めるのですが、『フラニー』はそうはいかない。
フラニーはグラース家の5人きょうだいの4番目、東部の名門大学に通っていて、同じく学生のレーンとはステディな関係になっています。グラース家のきょうだいたちはみな類まれな才能を持ちながら(あるいは持つがゆえに)それぞれが波乱に満ちた人生を歩んでおり、特に圧倒的な知性を持ちながら自らの命を絶った長兄のシーモアに対する思いを受け止めきれずにいます。また、ボーイフレンドのレーンとの交際も順調ではあるけれども、フラニーは彼を取り巻くスノッブで衒学的な空気に息が詰まるようになってくるのです。
彼女が見つけた古い宗教の本にあった「絶えず祈れ。無心に祈れば理論は後からついてくるもの」との言葉に引き寄せられて、その本にのめりこむようになります。また、聖書の中の一節に激しい疑問を感じ、人間の命も獣や虫けら等の命も分け隔てしない仏教の教えに癒されるようになります。
このあたりなどは、私にとっては「危ういくらい」女性だな…と思えてなりませんね。
楽しいはずのレーンとのデートも話がかみ合わず、帰宅した彼女は憔悴しきって起き上がることさえできなくなってしまうのでした。そして、フラニーの弟で俳優をしているゾーイーが手を差し伸べるのです。
サリンジャーがゾーイーに語らせていくような展開になっていきます。このあたりは、いつかもっと丁寧に書きますね(考えが上手くまとまれば)
フラニーの感性豊かな優しい心、しなやかな考え方を讃えようと思えばいくらでもできるけれど、でも、これを読んで思ったのは…フラニーを本当に救うのは、やはり「もう一度『知』と向き合うこと」それしかないのでは…ということでした。
今もその考えは変わっていません。
逃げないで
向き合って
負けないで!
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