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And This Is Not Elf Land

THE SUNSHINE BOYS


Neil Simon(ニール・サイモン)の『サンシャイン・ボーイズ』
ニール・サイモン戯曲集に収められていたものを読みました。ツボでした(笑)

これ、もうすぐ日本でも上演されるようですね。ニール・サイモン72年の作品。ボードビルの面白さを残しながらも、キャラクターの人物描写といい、台詞といい、構成といい、いずれも非常に完成度が高く、単なる「軽い出し物」に終わっていないのが、さすが…脂の乗り切っていたときの作品と言えるでしょう。

調べてみますと、Broadwayでは、72年の初演が1年半続いたあと、97年にもリバイバルとして約6か月上演されていたようですね。

老境に差し掛かった元コメディアン、ウィリーは今でもアッパー・ウェストのアパートに住んで、かつて大人気を誇った日々を思い、再び活躍する日を夢見ています。しかし、寄る年波には勝てず、日常生活も「恍惚」とし始めてきています。

かつては「サンシャイン・ボーイズ」として、アルという相棒とのコンビで大人気を博していたのですが、エド・サリバン・ショーへの出演直後に、アルは一方的にコンビ解消を言い出しウィリーの元を去って行きました。

昔から、ウィリーはアルのコメディアンとしての才能には一目置いていたのですが、それでも、今となっては、思い出の大部分は「どれほど嫌なヤツだったか…」というエピソードが占められてしまっている。(でも、それって仕方がないかも…時間が経つにつれて、事実が歪曲されたりしてる部分があるわけで…人間の記憶なんてそういうものでしょう~)

ウィリーは偏屈で頑固だけど、根は真面目な努力家タイプ。本人は「ギャグを心から楽しんだことはなかった」とも言っています。一方のアルは天才肌。そこはウィリーも認めるところであり、アルに対して、昔から屈折した思いを抱いていました。

ところが最後のエド・サリバンショーでは、アルは何故か本来の力が出せなかったようであり、そのまま「引退宣言」をして娘夫婦のいる田舎へ引っ込んでしまっていたのでした。一方のウィリーはマンハッタンに残り(小さなアパートではあるけれど)今なお、時代の流行と人々のエネルギーを直に感じながら生活をしていることを誇りに思っていました。

そんなある日、ウィリーのマネージャーをしている甥が、久しぶりにアルとウィリーのサンシャイン・ボーイズとして「喜劇の歴史」というTVに出演するという仕事をゲットしてくるのでした…



これ、本を読んでるだけでも笑えます。舞台なら大爆笑は間違いなし☆


ウィリーが言うには「k」の付く言葉は笑えるんだって~

chickenは笑える。Pickleは笑えるし、cup cakeも笑えるけど、tomatoやroast beefは笑えない。

そうなのか…(笑)

そして、アルとウィリーの「持ちネタ」でもある「病院長と税務監察官とナース」を久しぶりに披露することになるのですが…この「劇中劇」、メル・ブルックス張りのべたべたギャグとお約束なお下劣ネタが可笑しい!

久しぶりに再会した、この二人の御老人…再会自体もお互いのプライドと頑固がぶつかり合って気ぎこちないものだったのだけれども、この持ちネタのリハーサルに取りかかれば…やれ“Come in!”と言うべきところを”Enter!”と言ったとやら、それから先へ進まない。

それでもって、taxで始まる「t」が連発するセリフでは相手が唾を飛ばしたと食ってかかるわ…こんな感じで、すったもんだしているうちに、興奮しすぎて一方の持病が悪化して~


日本公演があるようなので、筋書きはこれ以上詳しく書きませんが、最後のオチも見事です…

これ、20年後のジェイソン・アレクサンダーとマーティン・ショートがやってくれないかな。そしたら、私も20年後にBroadwayに行くよ~(大丈夫なのだろうか…笑)
(これは一度映画化されています。ウディ・アレンとピーター・フォークで。しかし、評価は芳しくなかったようです。確かに、そんなキャスティングではね…)

これを読んで、あるユダヤ・ジョークを思いだしました。

ある男がラビに「パンにバターを塗って落としてしまったとき、必ずバターを塗った面が下になるのはどうしてですか?」と尋ねる。ラビが「じゃあ、試しにやってみましょう」とパンにバターを塗って落として見ると、塗ってない面が下になった。男はつかさず言った。「ラビ、バターを塗る面を間違えましたね!」

人生で生じる「不都合」はすべて仕組まれた陰謀なのだ。不都合に展開する運命があるのなら、結局はそうなる…という。こういうセンスはSEINFELD(となりのサインフェルド)ではGeorgeがしっかり請け負っています。(そして、私もこれに近い…笑)
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