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私の「死ぬまでにやっておきたいこと」のひとつに「宗教について学び、自分なりの考えを持ちたい」というのがあります。
何でも神頼み…が良いとは思わない。
勿論、過激なカルトに走るなんて論外。
でも「だから宗教って怖いのよねぇ」で一生を終えるのは何か寂しいと思い始めたのが数年前。この映画で、その思いがさらに強くなりました。
映画の一場面…
「翌朝」、羊の放牧場に戻ったイニスは、獣に襲われて無残な姿を晒す羊を目の当たりにします。
「羊」を迷える民の一人(=イニス)だと解釈すれば、彼も群れから外れて、事実上、命を失ってしまった存在として俗世を生きていかなければならない事を暗示しているといえます。
一方、羊を神の子羊(=キリスト)のメタファーとして解釈すれば、イニスとジャックの罪をキリストが引き受けてくれたことによって、彼らは赦されたことになります。
私には、だんだん後者の方が「正しい」と思えるようになってきました。(あくまでも私の解釈です。)
実際、ブロークバック・マウンテンからは「アニミズム」的な世界観も感じ取ることができるような気がします。(最初に観たときは、正直、これアメリカ人に分かるのかなぁ…と思ってしまった。)
あらゆる所に「神性」が宿っているような山の大自然。山を降りれば、「風」の描写が印象的です。平原を吹く風、小さな街を吹きぬける風、窓から部屋に入る風。どの人間にも風は同じように吹きつけています。
そして、神の楽園を喪失した人間と(本当はそうではないのかも知れないけれど…少なくともイニスはそう感じていた。)、どんな人間も無差別に包み込む森羅万象のコントラストが美しくて悲しくて切ない。
イニスがジャックの両親を訪ねるシーン。
殺風景な平野に建つ貧しい農家。
家の中いっぱいに喪失感が漂っています。
ただ、イニスは映画中で一番穏やかな表情をしています。
ダイニングルームの場面。
イニスの背後の擦りガラスの窓から穏やかな陽光が差していて、まるで後光が射しているような…彼が「祝福された人間」のように映し出されています。
そして、お母さんの背後には必ず壁に掛けられた十字架のレプリカが見えるのです。映画の中では、お母さんはペンテコスタ派の教えを信じているというジャックの台詞がありますが。十字架には何かの絵と文言が書かれているのですが、判読は不可能でした。
お母さんとお父さんは目を合わせることがないのです。ジャックのために墓地を買うと言ったお父さんの言葉も背後から聞いています。
思い出のシャツを持ってジャックの実家を後にするとき、イニスは遠い目をして、まるで風の声に耳を傾けるような仕草をして車に乗り込みます。
エンド・クレジットの最後にTHE MAKER MAKESという曲が流れます。
これはDVDでも字幕が出ないのと、(映画館ではどうだったでしょう?古い話で(笑)忘れました、)私があまり好きではないC&Wの曲だったので気にも留めませんでしたが、
この曲が「語って」います。
ネットで歌詞を調べてみました。
The Maker(大文字のMで始まる場合)は「創造主」「神」の意味なのですが、このオリジナルの詩ではthe makerと小文字で始まっている。
つまり、一般の人間とも取れるんですね。2行目のthe makerは「神」と考えることが出来ますが、後は微妙です…
とりあえず「神」とします。
One more chain I break, to get me closer to you
One more chain does the maker make, to keep me from bustin' through
君に近づくためにもう一つの鎖を壊せば
「神」は道を外さないようにもう一つの鎖をつける
One more notch I scratch, to keep me thinkin' of you
One more notch does the maker make, upon my face so blue
君を想ってもう一つの傷をかきむしれば
「神」は私の蒼ざめた顔にもう一つの傷をつける
One more smile I fake, 'n try my best to be glad
One more smile does the maker make, because he knows I'm sad
もう一つの微笑を取り繕って喜びを感じようとすれば
私の悲しみを知っている「神」はもう一つの微笑をくれる
Oh Lord, how I know,
Oh Lord, how I see, that only can the maker make a happy man of me
ああ主よ、私にはわからないのです
「神」が私を幸せにしようとしているだけだということが
Get along little doggies, get along little doggies, get along
それでも生き抜くしかないのだ…小さきものたち
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