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And This Is Not Elf Land

BILLY ELLIOT


近くのシネコンでリバイバル上映がありました。
BILLY ELLIOT(リトル・ダンサー)

まさか、ブロードウェーでミュージカルがオープンしたのを記念して、「うちの地元」でリバイバル上映があるなんてことは考えられませんが(当たり前!…笑)未見の作品だったので観にいってきました。


わっ「全部繋がる」映画だ!

最初から行きましょう…

イギリス北東部の貧しい炭鉱町に住むBillyの家族。冒頭のシーンは、Billyが懐かしいT. Rexの「電気の武者」(兄の持ち物)をかけるところから始まります。懐かしいLPレコードだ…そう、レコードいうものは、針を落とすところを間違えると違う曲がかかるんですよね。ここでかかるのはA面の2曲目のCosmic Dancerです。この曲が物語のテーマと重なっていきます。

その後もChildren of the Revolution、Get It On (Bang a Gong)が流れます。この2曲は日本でもヒットしている有名な曲ですが、Marc Bolanの遺作となった「地下世界のダンディ」からのI Love To Boogieが使われていたのも嬉しい驚きでした。このころのBolanには、原点であるboogieへの回帰が見られるのです。これを発表して間もなく亡くなっているはずですよね。Marc Bolanはミュージシャンとしての実力には常に「?」がつきまといましたが(いや、ホントに)ただ、boogieをやっているシーンなどを見ると、かなり職人的な巧さを感じるのですけどね。

映画では、ガールフレンドのデビーの部屋の壁紙がスワンの模様のものであり、これはバレエの名作「白鳥の湖」につながるのであろうということは想像に難くありませんが、私は「んん~…もしかして、この後にT. Rexの初期の代表曲(日本ではリリースされなかったはず)Ride a White Swanが流れるのか?」と直感したのが、まさに当たりました。エンディングで使ってくれましたね、ありがとう♪

オーディションの面接でBillyが踊っているときの感覚は「体に電気が走るよう」と表現していました。十分に教育も受けていない彼にとってそれが最大限の表現だったのでしょうが、これはT. Rexの「電気の武者」のジャケットからイメージしたのではないかと思えます。


Billyの父は、息子にはボクシングを習うことによって、ひたすらマッチョな男性性を身に着けさせ、貧しい生活から這い上がれるようにと願いますが、彼が興味を持ったのはむしろ女性的と見られがちなバレエの方でした。しかし、Billyと違って男らしい「はず」のBillyの兄もT. Rex(ぎらぎらしたグラム・ロック)が好きだったというのも…深読みすれば面白い。Billyには女性的なものに興味がある友人がいたりして…どことなくgay friendlyな流れがあって、そしてある日、Billyは彼にバレエのチュチュと身につけさせてあげるのでした。

で、25歳のBillyを演じたのはAdam Cooperではありませんか!そして、あの演目は男性版SWAN LAKE!あれは10年ぐらい前に、ブロードウェーのNeil Simon Theatreでもやっていましたよ。(Adamが出ていたはず)男性が全身白塗りにしてチュチュを身に付けるという斬新な翻案として、そのころは、ずい分話題になっていました。せっかくAdamを出すんなら、もうちょっと舞踊シーンが観たかった。

なるほど…こう来るのか~

最後はWilkinson先生がちょっと救われないかな…という気もしましたが、彼女はBillyを最初に車で彼の家へ送り届けに来たとき、貧しい炭鉱労働者居住区に足を踏み入れる勇気がありませんでした。あそこが彼女の「限界」だったのでしょう。あの場面で、Billyの世界に近づこうとする気持ちがあれば、また違った結果になっていたのではないでしょうか?

同じく、貧しい炭鉱の町で夢を追う少年を描いた(アメリカ)映画に「遠い空の向こうに」がありますが、ドラマとしては「遠い空の~」の方がよくできていると思いました。でも、この映画も良い映画ではあります。


さて、これの舞台ミュージカル版がブロードウェーでもオープンしたのですが、私としてはこの舞台版は、音楽がElton Johnというのが気に入らない(!)同じく彼の手によるミュージカルAIDAを見て以来(あれは途中で帰りたくなった)、Elton Johnの音楽は「絶対に舞台向きじゃない!」と思いこんでいるのです。これは、もうどうしようもできないですね(笑)あの音楽を「舞台」でやられるとストレスがたまって、次第に腹が立ってしまうんですよ。

ネット上でミュージカルBILLY ELLIOTの動画も見ましたが、トリプルキャストの子役たちはとても魅力的でしたが、やはり音楽がね~まんまElton節で…勘弁してくれという感じでした。彼は勿論才能豊かな人ですが、その音楽の良さが最大限に伝わるのはライブコンサートだと思います。舞台ミュージカルではありません。したがって、BILLY ELLIOTもリストから外れました。まぁ、しばらくNYに行く予定はありませんけど(笑)
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