日曜クラスで練習していて、ちょっとレベルが高めなのかどうなのか・・・。
最近リズムに関するご指摘が多いっす。。
そんなことない??「Wash Me」あたりから「リズムにキレが・・。
」とか「ちょっと遅れる
」とか。。挙句に「起声」なんて言葉まで飛び出してきて、ちょっと楽しくなってきた!
(え?!って思ってるのはボクだけ!?
)
そして最近のブーム。「Up Above My Head」を練習するようになり、もっぱらこの手の話題は「swingってワケ分からん!
」っといったところでしょうか。
う~ん、ボクも正直わからん。。なんか感覚で歌っちゃってるし。
そこで、(ちょっと勉強してみっか!)ってことで、用語集でも引用させて頂いたように「swing」についてちょっと説明をしたんだけど、やっぱりもうちょっと自分なりに噛み砕いてみようと思い、今回は「swing」でウンチクしちゃいます。
リズムって楽しい!-音楽ジャンルとリズム-
「swing」の前にもっと大きなところの話、「リズム」というところから書いてみようかな。。
音楽を改めてよ~く聞いていると、色んなリズムの曲があることに気づきます。でもって、普段の生活で発する音も、よ~く聞いてみると、どことな~く、リズムを刻んで聞こえるものがたくさんある。
例えば、電車の車輪が線路のつなぎ目を通過するときの音。いわゆる「
ガタンゴトン」。これ実は、路線によって刻むリズムが違うって知ってました??
つまり、電車の車輪の間隔と、使ってる線路の長さによって、構成されるリズムが変わるんです。
これを電車マニアの方に聞かせると「これは○○県の××線!」な~んて言えちゃうくらい違うらしい。
音楽もジャンルが変わると、リズムも変わっていたりします。
良く分かるのはダンスミュージック。ダンスというだけあって、リズムは個性的です。
テクノ・ユーロ・トランスなどはよく聞くでしょう。でもって、ガラージ・アシッドジャズ・グランドビート・プログレッシブロック・レゲエ・ジャングルなんてのも面白い。ダンスとPOPでよく聞く、R&B、ソウルなんてのも味がありますね。こんなカンジで、ジャンルからイメージするリズムって結構違うんですね。
皆さんの持っていそうなCDでもそんなことがあるかも。CDシングルのB面によく入っているリミックスや、リミックスアルバムなんてのがそれ。Misiaの「Everything」や、宇多田ヒカルの「Distance」など、リズムのアレンジが変わり、ダンスバージョンとしてクラブやディスコでよくかかっていました。
オリジナルはバラードだったり、ミディアムバラードだったりしたのが、踊れる曲に変わってしまうほどリズムの曲に与える影響は強い。それほどリズムが曲に与えるインパクトって強いんですね。
リズムって楽しい!-楽譜とリズムのビミョ~な関係-
全く違うリズムに変えるということをしないまでも、曲の一部の表現を変たい、なんて時にもこうしたことは利用されます。
クラッシックの世界でよくあるのが、演奏するオケと指揮者の組み合わせが変わることで、曲の印象が変わるというものです。
例えば、あるフレーズをAという指揮者は「早く・アグレッシブに演奏する」のに対し、Bという指揮者は聞かせどころと考え、「スロウにじっくり演奏する」と言った具合です。
指揮者も奏者も楽譜を見て、色々解釈をしてフレーズやリズムを変えて少し味付けや肉付けみたいなことをしてるんですね。
また、同じ拍子の曲でも、曲によって奏法を変えるのが基本!という場合もあります。
よく聞いた話として、三拍子の曲の話かな。曲が三拍子で書かれてるからといって、かならずしも楽譜に書かれている音符どおりには演奏しないことがあります。
たとえば、ウィンナーワルツのリズムとワルツのリズム、そうでない三拍子の曲では少しリズムを変えるそうです。ウィンナーワルツは踊りやすい、ウィーン特有のリズムで、それ以外のワルツもその国特有の踊りのリズムで、それ以外も解釈のしかたで少し揺らぎ感を変えるなど。演奏法を変えるわけです。
こういった感じで、楽譜に書かれるリズムと、実際の表現には少し違いが出てくる。これは実は今回のスイングでも似てることが起きているんです。
実はプロも楽譜どおりに演奏していないという事実。でもそれは滅茶苦茶やっていいというわけではありません。楽譜に書いてあることはあくまで演奏の基本であり基準として、その解釈は演奏者で作り上げていてくといったことを行っているんですね。なので、まずは楽譜どおりに練習することが第一です。
「swing」を楽譜で読もう!
ということで、「Up Above My Head」の楽譜から少し、「swing」のリズムを紐解いていこうと思います。(三連符オタク本領発揮?!
)
①分かりやすく考えよう!
厳密な意味での「swing」やリズムの考え方とは異なるので、「分かりやすく考えるなら」という前提でお話します。楽譜にあるリズムの定義をそのまま訳すとこんな感じです。
「八分音符二つを、三連符表記で前二泊・後一拍のリズムで演奏しなさい。」
(・・・??なんのこっちゃ?!
)これだけ読むと、チョ~難解なリズムに感じます。書いてる本人も顰め顔
になってきます。でもコレをもう少し分かりやすい表現であらわしてみましょう。
「四分音符を三連符のリズムで演奏しなさい。」
「・・・?!なんで~?!
」「ますます分からん
」
こんな声が聞こえてきそう。。でも考え方はそんなに難しくない。。こんな感じです。
・八分音符二つ=四分音符一つ
・三連符表記で前二泊・後一拍のリズム=三連符
と訳したわけです。前二泊・後一拍のリズムについては三連符が出来れば、慣れで出来るようになります。楽譜が苦手という人のために、感覚でもう少し分かりやすく。リズムを交えて書くならこんな感じです。
「楽譜上で一小節は(タタタ・タタタ・タタタ・タタタ)のリズムで書いてます。」
ということになります。コレが分かれば、「swing」に一歩前進です。
②「swing」が難しい。。三連符で3拍子?!
ここで三連符っていうものをもうちょっと追っかけてみます。(オタクにはたまらな~い。。
)
楽譜でもあまり三連符って見かけません。どちらかというと、四分音符や八分音符といったものがほとんどです。その上リズム上割り切れない。四分音符などは偶数分割できるのにこいつは分割しようにもしようがない。。四分音符=1拍の場合、八分音符=0.5拍ですが、三連符は0.333・・・拍となってるんですね。
出没率も低い上、リズム上「ココ!」って割りきれない。そんな音符なので、リズムを取るのが難しいんです。ですが、三連符もそこだけに着目すると、3/8や3/4といった三拍子系のリズムと似ています。そう考えると、四分音符一個(タン)の間に三拍子(タタタ)が言えれば、それほど三連符は怖くない。あとはそれが一小節二小節と続いていく。そんな感じです。
でも、言うのは簡単ですが三連符を見て、3/4のような三拍子感をもてるか。そこが難しさの一つでしょう。ただでさえ多くの人が「三拍子系のリズムって取りにくい」と感じているかと思います。日本人が「3拍子の曲を2拍子や4拍子で手を叩く」なんてのが、いかに三拍子を苦手としているか、の表れじゃないでしょうか。だから、三連符っていうと、ちょっと苦手感が先行してしまう。そうした取りにくいリズムだから難しく感じるのだろうと思います。
③「swing」が難しい。。四拍子なのに三拍子?!
そこで「Up Above My Head」の楽譜ですが、実際は「4/4」と表記がある。つまり普通にリズムを取れば「1234」でリズムでとることになる。でも実際にカウントするときは、「タタタ・タタタ・タタタ・タタタ」でリズムをとらないとスイングっぽくならない。ということは、4拍子でとってはダメなんですね、この曲。三拍子のリズム感で4/4を演奏しなければならない。な~んかややこしい!

これはクラッシックでも似た話があります。
「4/4であっても、実際のリズムカウントは、16分音符でカウントしなさい。」
といったもの。今回の「swing」と目的は若干違いますが、リズムを正確に取るためには「1.2.3.4」のリズムではいい加減になる。特にテンポの早い4/4の曲で、16分音符の連続フレーズや、一音だけ突然出てくる音の場合では、そこで「一音をきちんと出す」といったタイミングが計れなくなるからです。
この曲の「swing」も同じ。スイング感をもった4/4なので、リズムは「タタタ・タタタ・タタタ・タタタ」でとらないとスイングじゃなくなるというわけです。
4拍子なのに3拍子感をもった三連符でリズムをとる。それが二つ目の難しいところでしょう。
「Up Above My Head」でも、「楽譜swing」と「演奏swing」にビミョ~な関係
ココまでのお話は、「楽譜でのswingの記述はこうなってますよ~」というお話でした。ところが、コレだけでは収まらないのが本当のswing。。
もう一度楽譜を見てみましょう。。最初に「swing feel」とあります。なにやら、音楽用語には似つかわしくない、イ~かげん
な表記です。言うなれば・・・。
「swingみたいな~ぁ」
っておまえは女子高生かぁ

とでも言わんばかりのいい加減サ。。
でもここが重要で「swing」に対する表記が二つあることを意味します。
・楽譜上の「swing」は音符記述方法で表記
・演奏時の「swing」は「swing feel」
ことを意味しているのだと思います。つまり、
「楽譜表記ではスイングを音符でこう定義するので、それを「swing」っぽく歌ってくださいね。」
と指示しているのです。でもこれ楽譜が奏者に「swingは自分で考えろ!
」って、音楽の表現については、奏者に丸投げしているようなものです。「表現をちゃんと伝えないなんて、なんとも失礼な楽譜!
」ちょっと怒りたくなってきます。
でも楽譜書いた人の立場からすると、仕方がないっちゃあ仕方ない。許してあげてください。というのも、「swing」のリズム自体、実は三連符で書いたリズムどおり演奏してもスイングしないんです。逆にいうと、黒人さん特有のswing感のあるリズムを楽譜で表現できない、楽譜の限界なんです。そこであえて楽譜に落とし込むなら・・・。三連符表記が妥当
ということで、苦肉の策で無理やり4/4の楽譜に三連符を持ってきているというワケです。実際にはスイングの場合、大抵16分音符と三連符の間に、三連符の三つ目がくるのではないか?とも言われていて、そんな細かい所まで表記したら奏者が混乱します。
そしてコレには時代背景もある。というのも、楽譜は西洋で発達したものゆえに、西洋人のリズムを表現することには長けている。逆にこの曲は黒人さんのスイング。だから、西洋の曲と共に発達した楽譜では、このリズムを正確に表現できない、というわけなんですね。
音楽は国の数以上に色んなのがあります。昔はその地域だけで演奏されていました。でもそれがグローバル化の波で、色々なところで色々な地域の曲が演奏されるようになった。そんなとき、その曲の伝達手段として楽譜を利用したのです。おかげでコレを見れば誰でも、その曲を演奏できるようになった。
でも細かい表現はやっぱり本場のヒトにはかなわない。そこでその穴埋めとして、奏者の解釈や、奏法を用いることで、それに近づける作業が必要になった。というわけです。汎用性はあっても、特殊なことには向かないってことです。特殊な部分は奏者の職人芸というわけですね。
ですが、そんな楽譜も、(もう少し忠実に音楽を伝えよう!)ということで、いろいろ注釈なんかを使ってその曲の雰囲気を伝えようとしているんですね。
今回のような「swing」の曲もそうした曲の一つでしょう。日曜12クラスでセンセが最後に「スイングは聞いて覚えるしかない」と言っていたと思います。これはこうした背景から、楽譜だけを宛てにしていては本当のスイングにはならないからなのだと思います。
いかがでしたか??リズムの奥深さがわかってもらえたかな?
練習中にこんなことまで考えて、楽譜を見る必要はないですが、スイングのリズム感をつかみたいのであれば、とにかく曲を聴きましょう。
音楽やる人にはこんな言葉がオススメです。「百見は一聞にしかず!」ってな。
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ウンチク。。Index 音楽ウンチク講座⑫-2




(え?!って思ってるのはボクだけ!?

そして最近のブーム。「Up Above My Head」を練習するようになり、もっぱらこの手の話題は「swingってワケ分からん!


う~ん、ボクも正直わからん。。なんか感覚で歌っちゃってるし。
そこで、(ちょっと勉強してみっか!)ってことで、用語集でも引用させて頂いたように「swing」についてちょっと説明をしたんだけど、やっぱりもうちょっと自分なりに噛み砕いてみようと思い、今回は「swing」でウンチクしちゃいます。

リズムって楽しい!-音楽ジャンルとリズム-
「swing」の前にもっと大きなところの話、「リズム」というところから書いてみようかな。。
音楽を改めてよ~く聞いていると、色んなリズムの曲があることに気づきます。でもって、普段の生活で発する音も、よ~く聞いてみると、どことな~く、リズムを刻んで聞こえるものがたくさんある。
例えば、電車の車輪が線路のつなぎ目を通過するときの音。いわゆる「

つまり、電車の車輪の間隔と、使ってる線路の長さによって、構成されるリズムが変わるんです。
これを電車マニアの方に聞かせると「これは○○県の××線!」な~んて言えちゃうくらい違うらしい。
音楽もジャンルが変わると、リズムも変わっていたりします。
良く分かるのはダンスミュージック。ダンスというだけあって、リズムは個性的です。
テクノ・ユーロ・トランスなどはよく聞くでしょう。でもって、ガラージ・アシッドジャズ・グランドビート・プログレッシブロック・レゲエ・ジャングルなんてのも面白い。ダンスとPOPでよく聞く、R&B、ソウルなんてのも味がありますね。こんなカンジで、ジャンルからイメージするリズムって結構違うんですね。
皆さんの持っていそうなCDでもそんなことがあるかも。CDシングルのB面によく入っているリミックスや、リミックスアルバムなんてのがそれ。Misiaの「Everything」や、宇多田ヒカルの「Distance」など、リズムのアレンジが変わり、ダンスバージョンとしてクラブやディスコでよくかかっていました。
オリジナルはバラードだったり、ミディアムバラードだったりしたのが、踊れる曲に変わってしまうほどリズムの曲に与える影響は強い。それほどリズムが曲に与えるインパクトって強いんですね。
リズムって楽しい!-楽譜とリズムのビミョ~な関係-
全く違うリズムに変えるということをしないまでも、曲の一部の表現を変たい、なんて時にもこうしたことは利用されます。
クラッシックの世界でよくあるのが、演奏するオケと指揮者の組み合わせが変わることで、曲の印象が変わるというものです。
例えば、あるフレーズをAという指揮者は「早く・アグレッシブに演奏する」のに対し、Bという指揮者は聞かせどころと考え、「スロウにじっくり演奏する」と言った具合です。
指揮者も奏者も楽譜を見て、色々解釈をしてフレーズやリズムを変えて少し味付けや肉付けみたいなことをしてるんですね。
また、同じ拍子の曲でも、曲によって奏法を変えるのが基本!という場合もあります。
よく聞いた話として、三拍子の曲の話かな。曲が三拍子で書かれてるからといって、かならずしも楽譜に書かれている音符どおりには演奏しないことがあります。
たとえば、ウィンナーワルツのリズムとワルツのリズム、そうでない三拍子の曲では少しリズムを変えるそうです。ウィンナーワルツは踊りやすい、ウィーン特有のリズムで、それ以外のワルツもその国特有の踊りのリズムで、それ以外も解釈のしかたで少し揺らぎ感を変えるなど。演奏法を変えるわけです。
こういった感じで、楽譜に書かれるリズムと、実際の表現には少し違いが出てくる。これは実は今回のスイングでも似てることが起きているんです。
実はプロも楽譜どおりに演奏していないという事実。でもそれは滅茶苦茶やっていいというわけではありません。楽譜に書いてあることはあくまで演奏の基本であり基準として、その解釈は演奏者で作り上げていてくといったことを行っているんですね。なので、まずは楽譜どおりに練習することが第一です。
「swing」を楽譜で読もう!
ということで、「Up Above My Head」の楽譜から少し、「swing」のリズムを紐解いていこうと思います。(三連符オタク本領発揮?!

①分かりやすく考えよう!
厳密な意味での「swing」やリズムの考え方とは異なるので、「分かりやすく考えるなら」という前提でお話します。楽譜にあるリズムの定義をそのまま訳すとこんな感じです。
「八分音符二つを、三連符表記で前二泊・後一拍のリズムで演奏しなさい。」
(・・・??なんのこっちゃ?!


「四分音符を三連符のリズムで演奏しなさい。」
「・・・?!なんで~?!


こんな声が聞こえてきそう。。でも考え方はそんなに難しくない。。こんな感じです。
・八分音符二つ=四分音符一つ
・三連符表記で前二泊・後一拍のリズム=三連符
と訳したわけです。前二泊・後一拍のリズムについては三連符が出来れば、慣れで出来るようになります。楽譜が苦手という人のために、感覚でもう少し分かりやすく。リズムを交えて書くならこんな感じです。
「楽譜上で一小節は(タタタ・タタタ・タタタ・タタタ)のリズムで書いてます。」
ということになります。コレが分かれば、「swing」に一歩前進です。
②「swing」が難しい。。三連符で3拍子?!
ここで三連符っていうものをもうちょっと追っかけてみます。(オタクにはたまらな~い。。

楽譜でもあまり三連符って見かけません。どちらかというと、四分音符や八分音符といったものがほとんどです。その上リズム上割り切れない。四分音符などは偶数分割できるのにこいつは分割しようにもしようがない。。四分音符=1拍の場合、八分音符=0.5拍ですが、三連符は0.333・・・拍となってるんですね。
出没率も低い上、リズム上「ココ!」って割りきれない。そんな音符なので、リズムを取るのが難しいんです。ですが、三連符もそこだけに着目すると、3/8や3/4といった三拍子系のリズムと似ています。そう考えると、四分音符一個(タン)の間に三拍子(タタタ)が言えれば、それほど三連符は怖くない。あとはそれが一小節二小節と続いていく。そんな感じです。
でも、言うのは簡単ですが三連符を見て、3/4のような三拍子感をもてるか。そこが難しさの一つでしょう。ただでさえ多くの人が「三拍子系のリズムって取りにくい」と感じているかと思います。日本人が「3拍子の曲を2拍子や4拍子で手を叩く」なんてのが、いかに三拍子を苦手としているか、の表れじゃないでしょうか。だから、三連符っていうと、ちょっと苦手感が先行してしまう。そうした取りにくいリズムだから難しく感じるのだろうと思います。
③「swing」が難しい。。四拍子なのに三拍子?!
そこで「Up Above My Head」の楽譜ですが、実際は「4/4」と表記がある。つまり普通にリズムを取れば「1234」でリズムでとることになる。でも実際にカウントするときは、「タタタ・タタタ・タタタ・タタタ」でリズムをとらないとスイングっぽくならない。ということは、4拍子でとってはダメなんですね、この曲。三拍子のリズム感で4/4を演奏しなければならない。な~んかややこしい!


これはクラッシックでも似た話があります。
「4/4であっても、実際のリズムカウントは、16分音符でカウントしなさい。」
といったもの。今回の「swing」と目的は若干違いますが、リズムを正確に取るためには「1.2.3.4」のリズムではいい加減になる。特にテンポの早い4/4の曲で、16分音符の連続フレーズや、一音だけ突然出てくる音の場合では、そこで「一音をきちんと出す」といったタイミングが計れなくなるからです。
この曲の「swing」も同じ。スイング感をもった4/4なので、リズムは「タタタ・タタタ・タタタ・タタタ」でとらないとスイングじゃなくなるというわけです。
4拍子なのに3拍子感をもった三連符でリズムをとる。それが二つ目の難しいところでしょう。
「Up Above My Head」でも、「楽譜swing」と「演奏swing」にビミョ~な関係

ココまでのお話は、「楽譜でのswingの記述はこうなってますよ~」というお話でした。ところが、コレだけでは収まらないのが本当のswing。。
もう一度楽譜を見てみましょう。。最初に「swing feel」とあります。なにやら、音楽用語には似つかわしくない、イ~かげん

「swingみたいな~ぁ」

っておまえは女子高生かぁ


とでも言わんばかりのいい加減サ。。

・楽譜上の「swing」は音符記述方法で表記
・演奏時の「swing」は「swing feel」
ことを意味しているのだと思います。つまり、
「楽譜表記ではスイングを音符でこう定義するので、それを「swing」っぽく歌ってくださいね。」
と指示しているのです。でもこれ楽譜が奏者に「swingは自分で考えろ!


でも楽譜書いた人の立場からすると、仕方がないっちゃあ仕方ない。許してあげてください。というのも、「swing」のリズム自体、実は三連符で書いたリズムどおり演奏してもスイングしないんです。逆にいうと、黒人さん特有のswing感のあるリズムを楽譜で表現できない、楽譜の限界なんです。そこであえて楽譜に落とし込むなら・・・。三連符表記が妥当


そしてコレには時代背景もある。というのも、楽譜は西洋で発達したものゆえに、西洋人のリズムを表現することには長けている。逆にこの曲は黒人さんのスイング。だから、西洋の曲と共に発達した楽譜では、このリズムを正確に表現できない、というわけなんですね。
音楽は国の数以上に色んなのがあります。昔はその地域だけで演奏されていました。でもそれがグローバル化の波で、色々なところで色々な地域の曲が演奏されるようになった。そんなとき、その曲の伝達手段として楽譜を利用したのです。おかげでコレを見れば誰でも、その曲を演奏できるようになった。
でも細かい表現はやっぱり本場のヒトにはかなわない。そこでその穴埋めとして、奏者の解釈や、奏法を用いることで、それに近づける作業が必要になった。というわけです。汎用性はあっても、特殊なことには向かないってことです。特殊な部分は奏者の職人芸というわけですね。
ですが、そんな楽譜も、(もう少し忠実に音楽を伝えよう!)ということで、いろいろ注釈なんかを使ってその曲の雰囲気を伝えようとしているんですね。
今回のような「swing」の曲もそうした曲の一つでしょう。日曜12クラスでセンセが最後に「スイングは聞いて覚えるしかない」と言っていたと思います。これはこうした背景から、楽譜だけを宛てにしていては本当のスイングにはならないからなのだと思います。
いかがでしたか??リズムの奥深さがわかってもらえたかな?
練習中にこんなことまで考えて、楽譜を見る必要はないですが、スイングのリズム感をつかみたいのであれば、とにかく曲を聴きましょう。
音楽やる人にはこんな言葉がオススメです。「百見は一聞にしかず!」ってな。
ウンチク。。Index 音楽ウンチク講座⑫-2