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echo garden

基本的に読書感想文です。

ナルニア国物語 ライオンと魔女 6

2006-03-04 18:25:03 | Weblog
 どうも読みにくいので、また色をかえてみます。
 
 3 エドマンドのばん

 廊下に走って飛び出すと、ピーターたちはすぐそこにいました。しかし不思議なことにルーシィを見てもなんとも言いません。
 「ほら、帰ってきたわ。あれは魔法の衣装だんすよ。森につながってて何時間もそこにいて、お茶をいただいて・・・」
 「ばか言わないで、わたしたちは今、その部屋から出てきたばかりじゃない」とスーザンが言いました。
 「ここがいかれたな、」とエドマンドは自分の頭をちょんちょんと叩いてみせました。
 ルーシィは憤慨して3人をたんすに連れて行きましたが、なぜかコートのうしろはただの壁になっていました。
 どんなにルーシィが説明してもだれも信じてくれませんでした。
 それからエドマンドは、引き出しや扉のあるごとに開いて、「別の世界はどこにあるんだろう」などとルーシィをからかいました。
 いっそのことあんなことがなかったたなら、とルーシィは思い始めました。
 それからしばらくして、土砂降りの雨の日に兄弟は屋敷の中で鬼ごっこを始めました。スーザンが鬼です。
 ルーシィがたまたま例の空き部屋の前に来ると、足音が聞こえたので、とっさに部屋に入りました。
 思い出すのはいやなので、たんすには隠れたくない、と思いながら、ドアノブが回るのが見えたのでしかたなく入りました。
 ところがそれはエドマンドでした。
 エドマンドはルーシィの後ろ姿が見えたので、思う存分からかってやろう、と思い、たんすに入りました。
 ところが、どれだけ呼んでも、手を広げてもルーシィの気配がないのにはたまげました。
 それどころか、どれだけ奥に進んでも壁に当たらず、足元がさくさくして、急に寒くなってきました。
 不安になってきたところで遠くに明かりが見えたので、歩いていくと、街灯のランプでした。
 足元にはさらさらにかわいた雪があり、木々の枝にはふかぶかと雪がかぶっていました。頭のうえには冬ばれの朝によくみかける、青みがかった空がのぞいていました。おりからエドマンドの目の前に木々のあいだから日がのぼるところで、それは真っ赤であざやかな朝日でした。
 「ルーシィ、疑ってごめんよ、出ておいでよ」エドマンドは叫びました。
 しかし、ルーシィどころか生き物はエドマンド以外いないかのように静まりかえっていました。
 そのとき、どこからともなく、しゃんしゃん、と鈴の音がきこえてきました。音はだんだん近づいてきてとうとう目の前に二頭のトナカイのひく金色のそりが現れました。
 長いひげを伸ばした、小人の御者と、座席に雪よりも白い、堂々とした女の人がのっていました。美しい顔立ちでしたが、表情は氷のように厳しいものでした。
 「とまれ、」とえらそうな女の人がいいました。小人がきゅうにトナカイをひきしめたので、トナカイはしりもちをつきそうになりました。でも、すぐからだを立て直して、くつわを噛み、鼻息をたててたたずみました。きんきんする寒気のなかで、鼻息はけむりのようにふきだしました。
 「これ申せ、そちは何者じゃ」
 「ぼ、ぼく、ぼくはエドマンドです」
 「それが女王に対する口のききかたか」女の人はきっ、とにらみつけました。

 
 
 
 
 
 

 

ナルニア国物語 ライオンと魔女 5

2006-03-04 02:01:13 | Weblog
 ちょっと配色変えてみました。
 2 ルーシィのしったこと

 「・・・ああ、失礼しました。」フォーンはあたふたと荷物を拾いながらいいました。
 「こんばんは!」
 「ええ、よいお晩で。わたしはフォーンのタムナスと申します。」
 「わたしの名はルーシィですわ。」
 「ああ、初めてお会いしました・・・。イヴの娘さんですね。こんな雪のなかで立ち話もなんですから、これからわたしの洞窟にきてお茶でもしませんか。」
 ルーシィは遅くなるのが心配でしたが、
 「すぐそこです。わたしのところにはぼんぼん火がもえています。油付けの小イワシもトーストもありますし、お菓子もあります。」」
 「・・・うかがいます。でもあんまりながくはいられないわ。」
 ルーシィはタムナスさんに導かれて洞窟に来ました。
 そくには暖炉があって、赤い絨毯の上に木製のテーブルや椅子が置かれていました。ルーシィはこんな素敵なお部屋はは見たことが無い、と思いました。
 タムナスさんは素敵なご馳走と不思議なお話でもてなし、ルーシィはすっかりいい気分になりました。
 しかし、はっと気づいて、もうそろそろ帰らないと、と言うと、タムナスさんの顔は一瞬固まりました。そして手で顔を覆っておいおい泣き出してしまいました。
 「タムナスさん、一体全体どうして泣くの?」
 ルーシィは自分の白いハンカチをかしてあげました。
 「わたしは悪いフォーンだからなくんですよう」
 ルーシィはとてもそうは見えない、と言うと、わたしの正体は白い魔女の手下なのだ、といいました。白い魔女?
 「ナルニアじゅうをがっちり抑えてるのがそいつです。ここをいつも冬にしておくのがその女なんです。いつもいつも冬なのに、けっしてクリスマスがこない。なんてゆうことだろう。」
 そして、その魔女の命令にしたがって人さらいをしているのだ、といいます。
 「・・・そうは見えませんか、わたしになんにもしていない小さな子、かわいそうな無邪気なこどもに、森のなかでであうと、さも親しそうなふりをして、わたしの洞窟へその子をさそいこみ、いろいろとあやして眠らせてしまってから、白い魔女にその子をひきわたす。そんなものには見えませんか?」
 「見えませんわ」
 「でもそうなんです。そのかわいそうな子とはあなたのことです。」
 やっとルーシィにも事態がのみこめました。
 「おねがい、やめて、わたしを家に帰して。」
 「ええ、もちろんですとも、たとえ魔女にばれて石に変えられようとも、あなたとこうしてお話したあとでは、自分がどんなに愚かなことをしでかすところだったか、よおく分りました。」
 ルーシィはタムナスさんに街灯のところまで送ってもらいました。
 「あのハンカチいただけますか、イヴの娘さん、」
 「どうぞ」ルーシィは言って元きたほうへ歩いていきました。
 やがて、真っ暗ななかでつるつるした感触をほっぺたに感じると、たんすから空き部屋にもどってきました。
 「ここよ、みんな、帰ってきたわ」