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Rosalind

気に入っているものをひたすら紹介するHP。そして雑惑。

マリア様がみてる③

2005-08-16 | 小説

マリア様がみてる「いばらの森」
集英社コバルト文庫 今野緒雪作

「マリみて」シリーズ第三巻。
ついに私の大好きな白薔薇様にスポットが!

今まで意味ありげな発言を連発し、どこか謎めいた過去をちらつかせていた
白薔薇さま。
誰よりも飄々としているけど、実はなにかスゴイ過去がありそうな佐藤聖さま。
どうでもいいけど、この「聖」って名前自体が、聖さまを苦しませたんじゃ
なかろうか。
とにかく、彼女の過去が明らかに!

まずは、いつもながら平均点主人公・祐巳が事件の冒頭から分かり易く
読者と一緒に当惑してくれます。
テスト直前で一つでも多くの範囲を覚えようと必死な休み時間に
クラスメイトの噂話が気になる祐巳。
お姉さまである祥子さまのお顔に泥を塗らないよう、せめて平均点以上
取ろうと必死です。
皆様薔薇の館の住人は頭脳明晰なのでますますコンプレックスの祐巳。
次のテストは日本史のようだが、「小谷の方」の絵が祥子さまに似ているとか
言ってる所見ると資料集開いてるね?
直前は資料集なんぞ見ても効果ないよ、祐巳。それより政治史の流れを復習しなさい。
どこまでも要領わるい祐巳

クラスメイトの噂話は、とある単行本の作者が白薔薇さまじゃないかという話。
由乃さんやら祥子さまと話題の単行本を買い、どんな話?ほんとに白薔薇さまが!?と当惑するわけだが…。

祥子さまとブックセンターデートやら、生活指導室前での白薔薇さまに
抱きとめられる事件やらツボはそれぞれあり、
おまけに、この巻てカップケーキだの食堂のラーメンだの、ロイヤルミルクティーだのプチケーキだの素朴だけど美味しそうな食べ物が色々出てくるんだよねどうでもいい話だが。

放課後の薔薇の館のシーン。
ノンケのはずの祐巳が聖さまに「ドキッとする」とか「普段の聖さまとは
薄手のカーディガンを一枚来たか脱いだかのそれくらいの違い」とかえらい
繊細な表現
をしちゃったりして、やたら恥ずかしいなこのシーン。
でも私が祐巳でもドキドキしちゃうよ。

「仲のいい友達がいたんだ。それこそ親兄弟より大事なくらい」
ザ・思春期。
古くさい言い方すれば「エスの関係」ってものですよね。
百合とか同性愛とか吹っ飛ばして、どっちかっていうと(しつこいようだが)
「エスの関係」という表現がぴったりなんじゃないかと思う。
とにかく、このウツクシくも哀しい過去に後輩二人は少々興奮気味。

結局、書いたのは同じリリアン女学園の何十年も昔の生徒だった…。
という結末なんですが、ラストは感動します。
「一生懸命生きていれば、辛い事があっても笑える日は来るよ!」的な。
ガンバレ聖さま!

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「白き花びら」

蓉子は聖のことが好きなの?どうなの?
と、かれこれ10年前から疑問なんですが、どうなんでしょうかね。

このマリみてシリーズの中の登場人物の中で聖さまが浮いているのは
彼女が本当のレズビアンだからだと思います。
肝心の久保栞はバイセクシャルのふりをしたストレートこれが一番タチ悪いよ。
蓉子はストレートの振りをしたバイセクシャルだと思います。

今回は聖さまの苦々しい過去をすべて公開!
「ミルキーウェイか…」と空を見上げてつぶやいちゃう高2の聖さま。かわいーい。
高3の聖さまとは考えられないほど神経質でとっつきにくい愛想のない聖さま。
「なぜ生まれたの?なぜ生きているの?私には価値があるの?」と悩みまくる聖さま、
思春期の誰もが通る「アイデンティティの壁」にぶちあたっております。
集団生活がキライ、他愛ないクラスメイトの会話にもイライラ、私は一人で居るのが
楽なのよでも寂しい。
わかるよわかるよ聖さま。
でも休み時間に一人で単行本読んでやりすごすのもどうかと思うよ。

そこへ救世主・久保栞が登場。
誰もいない朝のお御堂という爽やかな出会いのシーンの後、
一気に惹かれてしまう聖さま。
いつ登校してくるかわからない栞をこっそり待ち伏せする気の小さい聖さま。
そんな自分がおかしいんじゃないかと悩みまくる聖さま。
その気持ちを解明するため、恋愛小説や生物の本を片っ端から読みあさるという
無駄な行為に出たあげく小説嫌いになるという実に空回りな一途
たどるわけだ。
あきらめて恋心だとみとめなさい。
とアドバイスしてくれるオトナのオンナが周囲にいれば結末は変わっていたのかもしれない…。

不幸なことにそんなアドバイス☆をしてくれるオトナがいなかった聖さまに
「もう少し距離を置いた方がいいんじゃない?」と何の解決にもならないが
もっとも的確な意見
を述べる蓉子。
しかし、情熱家・佐藤聖はそんなことは馬耳東風。
可哀想な蓉子。

真夏の温室で雨宿りする二人。
自分の髪と栞の髪を混ぜて一生懸命三つ編みしようとする聖さま。
見ているこっちが恥ずかしい。
自分の生を救ってもらおうと栞にすがる聖さまが憐れでならないよ。

そんなこんなでドンドン泥沼にはまっていく二人ですが、
現代日本に生きるクリスチャンの私からすればあり得ない「マリア様が見ているから」という
えらい時代錯誤な台詞から変化して行きます。

シリーズ中、最も私のカンにさわる女・久保栞。
君はなんなんだい?
あくまでも、最後はヘテロセクシャルでいたいんだね?
シスターのなり手はいくらでもいる。でも私には栞しかいない
私より神様を選ぶの?」という発言は恋愛中ならもっともだよね?
中途半端に聖に優しくして、自分だって好きだったくせに、聖の本当の気持ち
(同性愛的感情)を知った途端突き放してあまつさえキス拒んで
そのあげくに捨て台詞が
「マリア様が見ているから」って
どういうこと????
シスターになるならないとかそんなことは関係なく、聖を拒んだのは
どうしてもヘテロセクシャルから抜け出せなかったから
だよね?
「私がいると聖がダメになる」とかよい子ぶりっこしてないで
ハッキリ怖くなったって言えよこの偽善者。
「あの子はしっかりしてそうに見えてまだ16歳なのよ」という前白薔薇さまの
言葉が聞こえてきそうですが…。


聖のことを心配する余り、真冬の深夜に令の手作りクッキー持参で
聖を待つ蓉子
なんて健気なんだ!!
高校卒業しても聖のこと気になるなら、それは恋愛感情かもしれないよ蓉子。
告白したら聖さまは真剣に考えてくれると思うよ。

聖さまは一人で生きていけるタイプではないので、一刻も早くパートナーを
持つことをお勧めします。
案外、性格の優しい年上の女性とウマが合うと思うな!