気まぐれ徒然かすみ草Ⅱ

近藤かすみの短歌ブログ
遅れてきた私
留守電に聞きなれぬ声ご予約の「大人の友情」取りおいてます

今日の朝日歌壇

2010-07-11 17:36:09 | 日記
「あたたかい会館」とある葬儀社の看板の前電車待ちおり
(和泉市 星田美紀)

だんだんと足の弱りし母さんは百円ショップにタクシーで行く
(横浜市 滝妙子)

郭公の声に送られ山鳩にさよならをして畑仕舞ひ来つ
(伊那市 小林勝幸)

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一首目。「あたたかい会館」とは葬儀社のことらしい。「あたたかい」気持ちで葬儀を行うという意味なのだろうが、微妙。調べてみると「セレモニー」「メモリアル」といったカタカナの名前が多い。渡英子の歌に「信濃町ゆふあかりして駅前の帝都典礼を出づる白百合」がある。帝都典礼はかっこいい。
二首目。いつからか百円ショップがあちこちに出来て、ふつうの雑貨屋より百円ショップで買いものをすることが増えた。食料品も文房具も靴下もタオルもなんでもある。タクシー代がいくらかかるかわからないが品ぞろえのいい店ならば、タクシーで行ってもいいかもしれない。足の弱ったお母様ならなおさら。「母さん」という言い方が庶民的で好感を持った。
三首目。畑仕事を共にしてきた郭公にも山鳩にも別れを告げるところを見ると、もうこの畑を二度と耕さない覚悟なのかもしれない。この次はなさそうだ。それならなおさら切ない。

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