気まぐれ徒然かすみ草Ⅱ

近藤かすみの短歌ブログ
遅れてきた私
留守電に聞きなれぬ声ご予約の「大人の友情」取りおいてます

短歌人7月号 同人のうた その4

2010-07-17 00:20:41 | 日記
足洗えばわずかに白き部分ある俺の貧しき土不踏にも
(八木博信)

けまん草をゆすりて風の通りゆくもうこの辺で切りたき電話
(藤澤正子)

万華鏡まわせばかしゃり絵が変る廻せば変る人生なきや
(野地千鶴)

効率性えらばずどんな所へも余生といふは列車にて行く
(三井ゆき)

庭に咲くフランネル草三四本剪(き)りてもちゆく誕生日の母に
(小池光)

***********************************

一首目。八木博信さんは密かに敬愛している歌人。毒のある歌に魅力がある。「俺の貧しき」という表現に彼らしさが出ている。
二首目。上句と下句は、そんなに関係はない。下句、だれもが経験のあることだ。
三首目。この歌から連想したのが、斎藤史の「おいとまをいただきますと戸をしめて出てゆくやうにゆかぬなり生は」。だれもが、こういう気持ちを持つだろうし、共感できる。
四首目。そうか、列車というのはゆったりしていて、余生にふさわしいのかと納得させられた。
五首目。小池さんの今月の一連は、九十九歳のお誕生日を迎えられたお母さまを見舞ったときの歌。どれもしんみりと身に滲みる。フランネル草には赤が多いらしいが、やはりこの歌には白のフランネル草が似合う。

最新の画像もっと見る