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アレクサンドリアの興亡 を読む

2019-01-27 15:41:15 | 
「アレクサンドリアの興亡」
著者:ジャスティン・ポラード&ハワード・リード 
日本語版:藤井留美 訳
発行:主婦の友社 2009年
 
 エジプトの都市、アレクサンドリアの盛衰を歴史上の超有名人のエピソードを紡ぎながらを描いた本である。読書前、アレクサンドリアは、マケドニアのアレクサンドロス大王が建設し、図書館で著名なくらいしか思い浮かばなかったが、アリストテレス、エウクレイデス、エラトステネス、クレオパトラ、さらには、コロンブスやニュートンまでと登場し、これまで、独立したものとしてしか認識していなかった歴史上の人物や出来事を見事に関連させてくれる興味深い読み物である。
 
 はずかしながら私が知らなかった興味深い事実(あるいは記述)をメモしておく。
 
・ソクラテスは、死刑宣告され、執行前に毒をあおって自殺した。
 
・プトレマイオス朝を開いたプロレマイオス1世はアレクサンドロス大王の部下であり、東方遠征に同行  した。大王の死後、大王が構想したエジプト・アレクサンドリアに都を建設した。プトレマイオスはギリシャ人であるため、土着のエジプト人の支持も取り付けるためギリシャとエジプトの宗教を融合させセラピス神を生み出した。なお、本書には触れられていないが、インターネットにはセラピーの語源はこのセラピス神にあるとしているものもある。
 
・エウクレイデス、エラトステネス、ヒッパルコス、ヘロン、地図で有名なプトレマイオス、ディオファントスらがアレクサンドリアを舞台に活躍した。

・エルサレムから学者を70人連れてきて、旧約聖書(モーゼ五書)をギリシャ語に翻訳。これは70人訳聖書といわれている。当時、世界のすべての書物、知識をアレクサンドリアに集めようとしていた。
 
・世界の7不思議の一つファロス島の灯台はアレクサンドリアにあり、長く存在していた(14世紀の地震で倒壊したらしい)。
 
・プトレマイオスの地理書「ゲオグラフィア」はギリシャ語の原本は失われたがアラビア語の訳本が13世紀にコンスタンティノポリスで発見され、フュレンツェ、ローマ、リスボンへ伝えられ、コロンブスが西へ向けて航海に乗り出すきっかけとなった(これは多分に著者の想像も含まれていると思う)。
 
・ニュートンは錬金術の研究も行っていた。それはもとをたどればアレクサンドリアで発達した錬金術の研究にたどり着く。錬金術とは単に非金属を黄金に変える技術というだけでなく、抽象的で難解なプロセスが背景にある。宇宙には目に見えない力が働いていて、離れたところにも作用するというのが錬金術の考え方だった。
 
・ローマ皇帝カラカラがアレクサンドリアを訪問し、青年を皆殺しにし、兵士に略奪させた。これを「カラカラの逆上」という。
 

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