万葉集ブログ・3 まんえふしふ 巻十一~巻十四

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2381 柿本人麻呂歌集

2007-01-31 | 巻十一 正述心緒
公目 見欲 是二夜 千歳如 吾戀哉

君が目を 見まく欲りして この二夜(ふたよ) 千年(ちとせ)のごとも 我は恋ふるかも


「あなたの瞳を、見つめていたい。昨夜と今夜が、千年のように(感じられるわ)。私は恋にふるえているの」

2380 柿本人麻呂歌集

2007-01-30 | 巻十一 正述心緒
早敷哉 誰障鴨 玉桙 路見遺 公不来座

はしきやし 誰が障(さ)ふれかも 玉桙の 道見忘れて 君が来まさぬ


「愛おしいの! (でも奥さんか)誰かが(カレをアタシの部屋まで)来させないのよ! “玉桙の” (アタシんちまでの)道のりを忘れてしまった(に違いないわ)。カレったら全然来ないんだよ!」

2379 柿本人麻呂歌集

2007-01-29 | 巻十一 正述心緒
見度 近渡乎 廻 今哉来座 戀居

見わたせば 近き渡りを た廻(もとほ)り 今か来ますと 恋ひつつぞ居る


「見渡せば、(あの人が乗った船が)近づくので船着場まで、回ります。(あの人が)今来るのかと、恋しく思って待ち続けます」

●渡り:川などの渡る場所 または、渡り板、渡り廊下、船着場

2378 柿本人麻呂歌集

2007-01-28 | 巻十一 正述心緒
吉恵哉 不来座公 何為 不□吾 戀乍居

よしゑやし 来まさぬ君を 何せむに いとはず我(あ)れは 恋ひつつ居(お)らむ


「ええままよ。(私の部屋に)来ないあなたを、なんのため(に待つの)? (今日も)私は厭わずに、(あなたを)恋しているのよ」

2377 柿本人麻呂歌集

2007-01-27 | 巻十一 正述心緒
何為 命継 吾妹 不戀前 死物

何せむに 命継ぎけむ 我妹子に 恋ひぬ前(さき)にも 死なましものを


「なんのために、命があるのかなあ。あの娘と、抱き合う前に、死ぬかもしれないのだよ」