屋久島旅行記

屋久島に恋しました・・・。

最後の最後で・・・

2006-06-30 | 2006年6月
ホテルに戻って、荷物を受け取り、安房港へ。
ついに屋久島とのお別れである。
安房川の向こうに見える山を何度も振り返り振り返り、船に乗り込んだ。

とっぴーを利用するのは今回が初めてだったけれど、高速船なだけあって揺れないし、危惧していた船酔いも起きなさそうな感じ。
船の窓からは屋久島がずいぶん長いこと見えていた。
また鹿児島の近くまで来るにつれて名前は判らないけれど、他の島も見えたりして、かなり楽しめた。
時間はかかるけれど安いし、これからは船もいいかもしれない。

2時間をちょっと押して、鹿児島に到着。
さあ、ここから鹿児島空港へ行かなければならない訳だけれど・・・。

港に到着したのは15時ちょっと過ぎ。
ところで、私が乗る飛行機は16時25分の便だった。

ちょっとギリギリかなぁ、と思い、バスターミナルまで急ぐ。
リムジンバスが出てる筈なんだけれど、ちょうど行ってしまったのか、バスの気配は無い。
いつ出たのかは定かではないが、すぐに次が来るだろう・・・と思っていたのだけれど。

何と、リムジンバスは20分に1本しか来ないと言う。

そんなに少ないの!?

バスでここから鹿児島空港までは1時間弱はかかる。
じりじりとしばらくバスを待ってみたが、一向に来る気配が無い。
時間は15時15分になろうとしてる。

16時25分の飛行機に乗るためには少なくとも10分前には着いて搭乗手続きを済ませなければならない。
15時20分にバスが来たとしても空港に到着するのは16時20分頃。
いや、交通状態が悪かったらもしかしたらもっと遅れるかもしれない。

バスを待ちきれなくなったのか、旅行客らしいグループがタクシーに乗り込むのが見えた。

飛行機に乗り過ごしたら、間違いなく定額でチケットを購入しなおさなければならない。
万が一乗り過ごした時にかかる航空代金ウン万円と、タクシー代金はいくらか判らないけれどバスで1時間なんだから、まぁ5,000円くらいとして、両者を天秤にかけた一瞬後。

私は荷物を掴むと、タクシーに走り寄った。

「あのっ、鹿児島空港までお願いします!」

「はいはい」

「あ、あのぅ・・・飛行機の時間がギリギリなんで・・・ちょっと急いでもらえないでしょうか・・・」

「えっ、何分の飛行機?」

「25分なんですけど・・・」

「25分・・・・ギリギリかなぁ・・・。まぁ大丈夫でしょう」

いや、そんな呑気に言われても困るのだ。
こっちはウン万円がかかってる。

「あ、あの・・・お願いします!すみません!」

「うん、大丈夫ですよ。飛ばしますから」

とは言いつつ、丸っこい顔をした運転手さんは呑気な表情で車を走らせる。
はぁ・・・大丈夫かな。

「お客さん、どこから来たの」
などとお決まりのおしゃべりが始まった。

「あ、東京です」
「そうなんだ。おじさんも昔、東京にいたんだよ。引退してこっちに戻ってきたの」
「そうなんですかぁ」

そうこうしてる間に道が詰まってきた。
おじさんの指が苛立たしそうにハンドルを叩いてる。
な、何か心配になって来た・・・。

「あ、あの、大丈夫でしょうか・・・」

「ウン。今ちょっとね。ここを抜ければ大丈夫。あ、そうそう、高速使いますからね」

・・・・うっ。
言われてしまった。

もう背に腹は変えられない。
お願いします、と頭を下げた。

で、乗った時から実はずーっとメーターをチェックしていたのです。
トッピーは身障割引で4,000円。
タクシーを使っても5,000円位までなら、エアコミューターを利用したのと大して変わらないので、「まぁエアコミューターを使ったと思えばいいか」と自分の中で諦めがつく。
つまり、自分的にタクシー料金が5,000円より上に上がらないようにチェックしていたのである。
別にこっちがチェックしてたって、走行距離次第では料金はいくらだって上がるんですけれどね・・・。
何て言うか、「上がってくれるな」と念じていた訳です。

高速に入るまでは結構道が詰まっていてじりじりさせられたけれど、高速に入れば早かった。
結局、16時5分過ぎには空港に到着。

が、しかし。

メーターは最終的に、8,800円まで上がってしまった・・・・・( ̄□ ̄;)!!

高速代金も加えればほぼいちまんえん。

・・・・・・エアコミューターを使うより高くついてしまった・・・・。

畜生、こんなことならケチらないで帰りもエアコミューターに乗っとくんだった。
も、もう二度と船なんか使うもんかいっ。

でも、とりあえず間に合った。
寂しくなったお財布を握り締めて、空港へ飛び込む。

自動チェックイン機で搭乗手続きを済ませる。
ああやれやれ。
さて、搭乗口はどこかな。
16時45分発だから、16時半には搭乗口にいればいい訳ねよしよし、え?何?16時45分!!!???






・・・・・・・(-◇ー;)!!


じ、じ、時間を勘違いしてた・・・・・。

25分発だと思い込んでましたが、ホントは45分発でした・・・・・。

・・・・・・・・。

多分、15時20分にバスが来てたとして、それに乗ってても間に合ったんだろう、な。・・・・。

消えた一万円。

いちまんえ~~~~~~~ん!!!!

いや前向きに考えよう。
あの一万円がきっとあのタクシーの心やさしい運ちゃんの今夜のちょっとリッチな夕食につながったかもしれない訳じゃないか。
最近不況だし、タクシー運転手ってリストラされた人の転職先ナンバーワンだって言うし、ひょっとしたらあのおじさんは借金で首が回らなくなっていたのかもしれない、家に帰ればパートで働いてる奥さんがいて奥さんはパート先の若い男性と浮気中、子供2人は反抗期真っ只中で家の中には居場所なし、自分は糖尿病で薬代を稼ぎ出すだけでも精一杯な日々なのに肉体的にも精神的にも決してラクではないタクシーの運転手なんてやってて、「いいことねぇなぁ・・・もう自殺でもしちゃってもいいかもしれないなぁ・・・」なんて今朝までは考えていたのかもしれない、そこにやって来たカモ、つまり私。
きっと今頃、「頑張ってるとこういうこともあるもんだなぁ・・・よしっ、今晩は久々にあのフィリピンの女の子がいるバーに行ってみるか!何だか希望が沸いて来たなぁ」なんて思ってるかもしれない。
そうっ!前向きに考えれば、私のどぶに捨てたみたいな一万円がそうやって回り回って誰かの心に命の灯りをともす役目を果たしたのかもしれないじゃないか。
そう考えれば一万円くらい、たいしたことないわね、あははははは。

あ~~~~~~~~畜生!!!!
もう二度と船なんか使うもんかーーーー!!

屋久島のことは変わらず好きです。
正直に言えば、貴方様のもとに嫁ぎたいとさえ本気で思っています。

ああでも何故、貴方に会いに行く時は、決まって交通事情でオチが発生するのでしょうか・・・。






安房川のほとりで

2006-06-30 | 2006年6月
名残惜しさ100%で安房に戻ってきました。

一旦宿に寄って預けてある荷物を受け取ったりしなきゃならないのだけれど、まだ船の時間まで2時間ほどあるので、安房川沿いにのんびり歩いてゆくことにする。

安房のバス停から、まんてん橋へ向かう脇道へ出て、安房橋の下から川沿いに港へ向かう堤防の道は実は昨日も帰りに通った道。
初日にも雨の中歩いたし、この3日間、ホテルへ戻る時はこの道をてくてく歩いていくのがすっかりお気に入りになった。

昨日の夕方は仕事が終わったばかり、と言う感じの地元の人たちがたむろしていた安房橋の下も、平日の真昼間の今日はだーれもいない。
ここは安房橋がちょうど日陰になって、川と海の境目で、ちょっと気持ち良い憩いの場所なのです。

堤防によいしょと座ってしばらくぼーっとしていた。

去年の今頃も同じように良いお天気で、この道を歩いた。
雨でやや透明度が落ちていた川の水も今日はすっかり澄んで、美しい。
さらさらと海へと向かう水。
そばには山がそびえ、すぐ向こうには海。

帰りたくないなぁ。
またそんな気持ちになってしまう。
何でだろう。
屋久島はいつも満足して帰ったことがない。
まだまだ足りないっていつも思う。
もっと、もっと、って。

この気持ちがあるから、また屋久島に来てしまうんだろうな私は。

今回もまた色々と回ったけれど、やっぱり、安房川の川べりは大好きだ。
どこか懐かしくて、ホッとする。

よいしょと立ち上がって、少し歩き、川沿いにある「スマイリー」と言う小さなカフェレストランに入った。
ウッド調の店内はホントにこぢんまりとしていて、お客さんが2組も入ればいっぱい、と言う雰囲気だ。
テラス席もあって、そこからは川と海を一望出来る。
そこもまた気持ちが良さそうだったけれど、暑いので、店内に入ることにした。

このお店は今回、旅の計画を立てている時にネットで見つけたお店で、マフィンやケーキがとても美味しそうだったので是非来てみたかったのだ。

作りたてで熱々のイングリッシュマフィンとバナナジュースで昼食となった。

お店の人は店長らしい綺麗な女の人がひとりできりもりしている様だった。
お会計の時に、ネットでHP見たことを話した。
店長さんは見るからに嬉しそうな表情になり、綺麗な笑顔を見せた。

「実は体調を崩していて昨日までお休みしていたんですよ」
「あ、そうだったんですか。じゃあ今日、来て良かった。
とっても美味しかったです。また来ますね」
「はい、どうもありがとうございます」

短い会話を交わして、店を出た。
何となく、その時が今回の屋久島の旅で、お別れを言った瞬間だったな、と言う気がする。

宿の人たちとは朝、チェックアウトをした時にもう既にお別れを告げていたし・・・後は本当に船に乗ってしまうだけだから、屋久島に住んでる人と交わす会話はきっとこれが最後だ、と思ったのかもしれない。

大好きな安房川のほとりをまた歩いて港へと向かう。

川はさらさらと海へ流れ、潮の匂いが風に乗って運ばれてくる。

ばいばい、屋久島。
ありがとう。
また来るね。


念願のヤクスギランドへ

2006-06-30 | 2006年6月
最終日は朝から快晴。

ああ~・・・・こんないいお天気なのに午前中だけしか森にいられないなんて・・・。
ケチらずに3泊4日にしておけば良かった。

えのっきーさんももらったカメラとタオルをしっかり持って、いざ、森へ。

でも、今回は船の時間の都合で森に着いたら1時間後のバスには乗らなければならない。
1時間・・・短すぎる・・・。
(念のため言っておきますが、今回私が歩こうとしてるのはヤクスギランドの30分コースです)

もうこれで3度目となった、お馴染みのヤクスギランド線をバスでぶるると登る。

ヤクスギランドの出入り口で300円を払ってると受付のおじさんに「ひとり?珍しいねぇ若い女の子が!」と驚かれてしまった。
そう?
若い女の子はひとりでヤクスギランドまで来ないかな?
実を言えばひとりでここまで来るのは今回が初めてだった。
前回まではえのっきーさんやみづえさんと一緒だった。

でも30分コース程度なら、女の子がひとりでふらふら歩いてても全然問題ないでしょう。
新宿の夜の繁華街をひとりで歩くよりよっぽど安全だと思う。

さて、何しろ今回は時間が少ない。
1時間後にはバスが来てしまうので、効率よく回らなければならない(再度書きますが、私が歩こうとしてるのは30分コースです)。

狙いは前回見て、惚れた王冠の形をした杉の木。
そして、もうひとつ、ヤクスギランドの30分コースで一番気に入った場所がある。
とにかくそこまで一気に行ってしまって、残りの時間をゆっくりそこで過ごすつもりだった。

その筈だったのだけれど・・・。

森に足を踏み入れた途端に、すっと空気が変わる。
凛とした木々の佇まい。
昨日の朝まで降っていた雨の空気が森中に残っていて、木々の幹には私の大好きな雨の雫がダイアモンドのように瞬いていた。
森中を包む水の音。

ダメだ・・・・。

つい、つい、足が止まる。
澄んだ空気。
紗がかった緑のヴェール。
純度100%の樹海。

空に向かってすっくと立つ杉の木の枝をカメラに収める。

一度撮り始めるとスイッチが入ってしまった。
気がついたら私の周囲はこれ以上もなく美しい被写体に溢れていた。

気づけば森に入って既に20分も立つというのに、まだ全体の半分も行ってない場所で私は次から次へとシャッターを切っていた。
(何度も書きますが、歩いてるコースは30分コースです)

ひーえーえーえー。
誰か私を止めてー。

カメラを本格的にやっていた訳ではないけれど、もともと携帯のカメラでも気に入った風景をぱちぱちっと撮るのは好きだった。
今回、えのっきー師匠から与えられたカメラは望遠レンズまでついていて、ファインダーをのぞく度に、見える景色は同じなのに、目で見える景色以上の光景を広げることが出来た。

小さな小川の滝をアップにする。
少し引いて、岩に当たる水の流れに焦点を当てると、バックに木が写りこみ、その緑と濡れた岩の濃いグレート、透明な緑のコントラストが思いもよらない風景を見せてくれる。
私の目だけでは捉えられない景色が見えてくる。
しかも、この美しい森の中で。

すっかりハマってしまった。

気づいたら既に30分も過ぎている。
振り切るようにして、くぐり杉まで急いだ。
(繰り返しますが、私が歩いてるのは50分コースではなくて、30分コースです・・・その筈です・・・)

くぐり杉を抜けると、30分コースの中では一番綺麗だなと私が思っている小さな清流が山肌を伝って流れ落ちてくる場所がある。
その向かいに、あの杉の木がいた。

去年初めて会った時とは何一つ変わらない姿で。
相変わらず勇壮で、カッコいい。
惚れ惚れとしながらシャッターを切る。

「もう、アンタ、めちゃくちゃカッコいい!!」とか何とかぶつぶつ呟きながら。

そうしてるうちに、バスが来るまであと10分となってしまった。
こりゃいかん。
慌てて杉の木に投げキスを送ると、ルートを急ぐ。
(・・・だから30分コースだって言うのに・・・)

ヤクスギランドの30分コースの中では一番大好きな場所。
私の大好きな王冠の杉の木と、出口の中間に清涼橋と言う橋が渡してある川。
この川がとっても美しいんです。

ここを流れる川は全部荒川に通じてるんだと思うけれど、その地点での正式な流れの名称はよく判らない。

この橋から見える清流とその周囲の白い砂、倒木の残骸。
それらが創り出している光景や雰囲気がとても好き。
「風の谷のナウシカ」に出てくる腐海の底みたい。
「もののけ姫」でアシタカとサンが初めて出会った場所にも似てる。

橋を渡りきった処に小さな梯子がかかっていて、川べりまで降りてゆける。
今回は時間がなかったから断念したけれど、この場所だけで1時間くらいはいつまでもボーっと過ごしていられる自信がある。

それ位に何だか気持ち良くて、美しくて、ホントに素敵な場所なのだ。

あまりの美しさにシャッターを押す瞬間でさえも惜しい。
この景色をどうしたら一番美しく残せるんだろう。
息を詰めて、ファインダー越しに一番美しく見える景色を探す。

だけど、探せば探すほど美しさが増すばかりで、どうしたら良いのかさっぱり判らなくなってしまった。
途方にくれて押したシャッター。
じーっと音がして、37枚分のフィルムを使い切った。

おっと、もう後バスが来るまで5分もない。
やばいやばい。

ここまで来れば出口までは100m程度だ。
未練たらしく、橋を渡りきった処で、もう一度、そびえる木々を見上げる。

どうもありがとう。

もうこの言葉しか出てこないんだよね。
ここに来るといつもそうだ。
感謝しか出来ない。
この場所がこうして存在していることや、私が今ここに立っていられることや、いろんな事柄に自ずと感謝の言葉があふれ出てくる。

どうもありがとう。
そして、また来るからね。

30分コースなのに、要所要所、慌てて歩いても結局1時間弱もかかってしまった。
ほら、だから、足りないんだってば。

前回、えのっきーさんとこのコースを歩いた時はカメラを持って無くても結局1時間かかったんだから、カメラ持ってしまったら全然足りないんだよ。
下手したら半日は余裕でいられるかもしれない。

次に来る時はお弁当を持って来ることにしよう・・・。






トローキの滝、そして別れ

2006-06-29 | 2006年6月
お互いさっぱりした処で、女の子2人集まれば必ず出てくるお互いの恋の話題などに花を咲かせながら、バス停近くの童夢と言うレストランでお昼を済ませる。

もうすっかり朝の雨が嘘みたいなお天気になっていたので、「森に行きたいねー」と言う話も出たけれど、時間的に中途半端で安房から出てるヤクスギランドへ向かうバスも午後の便は既に出てしまったので諦めて、トローキの滝を観に行くことになった。

それにしても海沿いの通りは陽射しを遮るものが何もないので、灼熱の太陽がかっと照り付けてホントに熱いです。

トローキの滝は、大通りをそれて木々が生い茂る林道をくぐって行く。
都会みたいに空気まで蒸してる訳ではないので、ちょっと木影に逃げ込めばだいぶ涼しくなる。

林道には沢蟹がいっぱい。
かすかに滝の音が聞こえる。
木陰越しにそれらしき姿は見えるけれど、かなり遠い。
この道はどうも海の方へ降りてる気がするけれど・・・と思ってたら、途端に林道はごろごろ岩が転がっていて、しかもやや傾斜のある、非常に足場の悪い道へと出てしまった。

「な、何だ?何だ?」と思いながらも、よいしょよいしょと這うようにして岩を下ってゆくと、突如として行き止まりの表示。

雰囲気的には崖の先端、と言う感じで、眼下は海が広がっている。
これ以上進んだら危ないですよ、と言うのは言われなくても判った。
見るからに足場が悪そうで怖いもん。

トローキの滝はこの行き止まり地点が言わば展望台。
岩に茂った木々の間からかすかに見える。

観光情報めいたことをちらっと書くと、この滝は海に直接流れ落ちることが珍しくて有名。
一説ではそういうタイプの滝は北海道とこのトローキの滝、日本でも二つしかないんだそう。

千尋の滝が流れ落ちる川が鯛之川で、このトローキの滝は鯛之川の河口となっている。

遠目から見ても、真っ白い水の塊がエメラルドグリーンの綺麗な海へ向かって流れ落ちる光景は景観だった。
かなり遠くからしか見られないのが残念。

バスの時間がせまっていたのでまたもや、2人で岩をよじ登って、てくてく林道を歩いて大通りまで戻る。

日陰がなくなると途端に暑さが戻ってくるので、近くのぽんたん館に避難する。
ここで、私は念願のたんかんジュースを飲んだ。
何回か飲んでるけれど、屋久島のたんかんジュースは美味しい。
オレンジジュース程甘くはないけれどすっきりした甘さがある。

さて、バスに乗って安房まで着いたらお別れだ。

彼女も私も明日帰る予定だけれど、彼女のほうは明日は白谷雲水峡の方へ行くらしい。
私はヤクスギランドだし、きっともう会うこともないだろう。

今回が初めての屋久島体験だったと言う彼女は、何を見ても嬉しそうにはしゃいでいた。
一見大人っぽい彼女がそんな風にはしゃぐと何となく子供みたいになってとても可愛かった。

ひとりでも感動って出来るけれど、誰かと一緒に素晴らしいものを見て感動を分かち合うことはそれはそれでまた楽しいものだ。
そういう気持ちもまた、私は屋久島に来ると思い出す。
都会で現実的に生きてると、感動を分かち合うことなんて滅多にしなくなっちゃうからね。

これから先、大川の滝のことやトローキの滝のことを思い出したり、またそれらの滝を観に来るたびに、彼女のこともまた思い出すのだろう。
名前さえも忘れてしまうかもしれないけれど、それでも風景写真のように私の中にはしゃいでデジカメに滝の姿を納めようとする彼女の後姿と、しぶきを上げて音を響かせてとどろく滝の姿がひとつの絵となって残る。

思い出ってそういう風景写真の積み重ねなんだろうな。






尾之間温泉

2006-06-29 | 2006年6月
滝を見てる間に、雨が止んできた。

バスの運転手さんに勧められて尾之間温泉に向かう前に中間と言う処で途中下車し、ガジュマルを見ていたら、どんどんどんどん晴れてきた。
山のことばっかり書いてるけれど、屋久島はれっきとした亜熱帯の南国なので、海沿いは晴れると灼熱の太陽が照り付けて物凄く暑くなる。
海沿いのバス停でバスを待ってる間に私達は2人ともすっかりバテてしまった。

尾之間温泉にたどり着くまでに一風呂浴びて汗を流したい気持ちが盛り上がる。

さて、今まで屋久島の温泉は楠川温泉にしか入ったことがなかったので、今回初めて新たな温泉にチャレンジと言うことでかなり楽しみだった。

ウッディなログハウスのような内装はむき出しのコンクリートの楠川温泉に比べるとかなり豪華に見えた。
脱衣所も浴槽も広い。

んが。

・・・・・あ、熱い・・・・。

おばあちゃんが江戸っ子で熱いお風呂が好きだったので、昔良く付き合わされたことがある私はこれでも熱いお風呂はそこそこにイケる方だけれど、それでも熱い。
私は何とか浴槽内に浸かることは出来たけれど、連れの女の子は足をつけることも出来ずに、仕方なくたらいにお湯を汲んで身体に浴びせかけていた。

2人で苦戦してると、地元のオバさんがひとり入って来る。

この熱いお湯を平然としながらばしゃっ、ばしゃっと身体にかけて、顔色ひとつ変えないでざばっと湯船に浸かっている。

「あの・・・あ、熱くないんですか」
思わず声をかけたら、
「いいえ全然。でも、昔に比べればぬるくなったわね」
なんて返って来た。

そうですか・・・これでぬるいんですか・・・。

ぬるめのお風呂にゆっくり浸かるのが流行ってる昨今。
軟弱な都会っ子にこのお湯はきつかったです。

お風呂上りはさすがにさっぱりするし、脱衣所の側の休憩所もウッディ調で可愛らしくてのんびり出来るけれど、私は何となくいつもの楠川温泉が恋しくなった。
あっちの方が古いし、狭いし、小さいけれど、すぐ側には清流が流れていて、広々とした休憩所はとても気持ち良いんだ。

連れの彼女は楠川温泉の近くに泊まっているとのことで勧めておいたら、何とリニューアル工事中とのこと。
残念だ。
でも、次回来る時はちょっと新しい感じになってるということだし、それもそれで楽しみだ。



大川の滝

2006-06-29 | 2006年6月
バスを降りる。
途端に清涼な空気が肺に流れ込んできた。

雨は相変わらず降っているけれど、朝ほど酷くない。
雨の音は既に滝の音にかき消されてしまっている。

辺りは山。眼下には海。
そして切り立った崖の上からどうどうと溢れるように流れ落ちる水の塊。

一面、濡れた緑に囲まれたこの場所もまた、とても気持ちの良い場所だった。

2人で道を歩いて滝つぼへ向かう。
途中の山肌からも水が流れ落ちていて、小さな小さな滝がそこかしこに出来ていた。
せせらぎの音さえも、滝の音に吸収されてしまう。

滝つぼへ向かう道まで来ると、雨のせいで水量がまして滝が流れ落ちる川の水が滝つぼからあふれ出ていた。
滝を真下から見上げる場所に小さな木の椅子のようなものが見える。
本来ならあそこでゆっくり滝を楽しめるんだろう。
だが、この日はそこまで滝の水がふきつけていたし、そこへ向かう石段も川の水が溢れていて、到底たどり着けそうになかった。

それはそれで残念だったけれど、大川の滝の迫力は素晴らしかった。

行ける処ギリギリまで滝の側に近づいてみる。

雨は既に止んでいるのに、滝の水がまるで雨のようにふきつけて、2人とも傘を差していても濡れてしまった。

細かい水の粒子が霧のように立ち上り、山の緑を透明なヴェールで包んでいた。
流れ落ちる水。水。水。
この場所は辺り一面は、水に包まれている。
滝の袂に立って、山を見上げると、まるでぷるんとした透明なゼリーの中に佇んでいるような気持ちになった。

深呼吸する。
かすかに水の匂い。

身体中に滝の粒子を浴びていたら、まるで自分自身を洗い清めてもらっているような気持ちになって来た。

目を閉じる。
滝の音がいっそう近くなる。
水の音に抱かれて、水を感じる。

ゼリーの中で木々の息遣いを感じる。

ただ、あるがままに。

ふと、そんな言葉が浮かんできた。

透明な水のゼリーの空間の中で、私は「私」であることも忘れて、ほんのちょっとの間だけ、屋久島の息吹の中に溶け込んだような気がした。

「私」はいつも私を演じている。
ホントの私、なんて青臭いことを書く気は無い。
人は皆、多かれ少なかれ、現実と自分をすり合わせる為に、自分自身を演じ続けている。
そのこと自体がホントの私であり、また時々は虚構にもなる。

だけど、この場所でこの瞬間、私はそのことさえもただ忘れて、屋久島と共に呼吸をしていた。
そこには私も「私」もいない。
ただ、あるがまま。

いいな、この場所。
とても気持ち良い場所だと思った。

今回は雨で残念だったけれど、次回は滝つぼの真下まで行って、ずっとゆっくり眺めていたいな。






バスの旅

2006-06-29 | 2006年6月
翌日。
6時ごろは少し晴れ間が出たけれど、すぐにまた雨が降り始めてしまった。

今日は暇だったらえのっきーさんが車を出してくれることになってたけど、どうかなぁ・・・。

と、思ってたらぶるっと携帯が鳴った。

残念ながらえのっきーさん、今日は忙しいみたいだ。
しかも、大雨・洪水警報が出てるとのこと。

何ですとーーーー!!

ヤクスギランドに行きたかったけど、この雨じゃカメラも使えそうにないし・・・。
今日はバスに乗って大川の滝まで行ってみることにしよう。
帰りに尾之間温泉に寄ってお昼を食べようと思ったので、着替えとタオルをリュックに詰める。
昨日はいてたジーパンはすっかりしけっているので、部屋着用にと持ってきたシャカパン(古い・・・)を履いて、さあ出発。

それにしても凄い雨だ。
安房のバス停にたどり着くまでにすでにだいぶ濡れてしまった。
ホテルからバス停までやや坂道になっているので、路面を雨水がざーっと流れ落ちてゆく。
都会でここまで雨が降ってたら電車位は止まっちゃうだろうなぁ。

バス停でバスを待つ間も物凄い雨だった。

やっとずぶぬれのバスがやって来た。
運転手さんに行き先を告げて乗り込む。

てっきり誰もいないと思ってたのに、薄暗い車内に女の子がぽつんの座っていた。

帽子をかぶって首にタオルをまき、ウエストポーチのやや登山系ルック。
明らかに観光客っぽい。

「どちらまで行くんですか」
と声をかけると、大川の滝までだと言う。
なんだ、一緒じゃん。

「あ、一緒ですね。良かったらご一緒しません?」
「いいですよ」

女の子はにっこり笑った。
ノーメイクの顔立ちは大人っぽく見えてたけど、笑った顔は幼い。
年下かもしれない。

こうして今日の旅の道連れが決まった。

2人で並んで降りしきる雨を眺めながら、自己紹介を交わす。
彼女は22歳でまだ大学生だった。
屋久島には大学の卒論の為に来たんだそう。
難しいことは良く判らないけれど、屋久島の生態とかそういうのを調べてるらしい。
若い女の子で、何か珍しいな。
どうも、もともと高校生ぐらいの頃から屋久島に惹かれていたんだそう。
はぁ~・・・・。
いろんな人がいるもんだな。

でも、屋久島大好き!ってなる人って大抵、皆どこか、一種の信仰めいた磁力で屋久島に魅入られてしまう処があるような気がする。
そういえば田口ランディさんはエッセイの中で、屋久島のことを「島自体がひとつの神社のようなもの」と表現されていたっけ。

屋久島は、そうやって島に似た波動を持つ人を引き寄せる神力と言うか、何かそんなようなモノがあるんだろうな。

雨は強くなったり、弱くなったりしながら降り続く。

ところで、私は安房を越えてからは千尋の滝辺りまでしか行ったことがなかったので、バスの車窓から見える雨に濡れた景色もまた見てて楽しめた。
思わず途中下車してしまいたくなるような雰囲気の川にかかる小さな橋や、雑草がもわっと生い茂って、山の方へ向かう小道が見える道端など、心惹かれる光景がいくつもあった。

一度のんびり、屋久島一周なんてのもしてみたいな。

30分も走ると途端に海が近くなる。
タイドプールで有名な栗生海岸が見えてきた。
この海は屋久島で一度潜ってみたい場所だ。

栗生を過ぎると途端に道が細くなる。
草が生い茂った道が海岸沿いになだらかに続く。

バスは栗生までしか行かないモノが多く、終点の大川の滝まで行ってくれるのは一日に午前と午後の2本しか通らない。
ネットで大川の滝を観に行った人の感想などを読んでると、車の運転が出来ない人は大抵栗生から滝まで歩いて行ってる。
しかし、距離にして4キロほどもあるらしく、なかなか大変そうだった。

今回、旅の計画を立ててる時、「でも実際に歩いてる人がいるんだから大丈夫じゃないかな?」と私も始め、栗生から滝まで歩いてみよう、なんて思っていたけれど、実際にバスで走ってみてかなりの距離があることが判った。
うーん・・・歩かなくて正解だったかな。

雨足は弱くなってきた。
雲が流れてる。
もしかしたら、晴れるかもしれない。

そう思っていた矢先に、窓の向こうにそびえる山合いに滝が見えてきた。





幸せに酔いしれる

2006-06-28 | 2006年6月
オーベルジュは、旅行雑誌などでも名前が載っていて、料理がとにかく評判だった。

ぐしょぐしょに濡れて安房川から戻り、軽くシャワーを浴びて着替えて、お楽しみの夕食だ。

ホテルの1階の小さな食堂のような部屋ではテーブルが用意されてある。
私のほかにも2組、お客さんが泊まっているようだが、まだ皆いない所を見ると宿に戻っていないのだろう。
まだ7時前だし、当然か。
私はとにかく午前中の飛行機で酔ってしまった為、お昼を少ししか食べられずお腹が減ってしまったので早めに夕食をお願いしておいたのだ。

テーブル席からは奥の台所が見えた。
丸くてやさしい笑顔のお母さんが手際よく料理を作っている。

ホテルのご主人らしいオジサンが出てきて、挨拶する。

「明日はどこ行くんですか?」
「そうですねぇ、ヤクスギランドとか行きたいんですけど・・・お天気が心配で」
「あー、明日はどうかねぇ」

などと話してるうちにどんどん料理が並ぶ。
お刺身、丸ごとの飛び魚のから揚げ、煮物、焼き魚などなど。

どれもバカ美味かった。

「えー!美味しい!!」
と、思わず叫んでしまったくらい。

今台所から作って出してくれたばっかりなので、とにかくどれもこれも熱々で、美味しい。
このご飯を食べる為だけにここに泊まりたい、とまで思ってしまう。

シメの固めに炊いたご飯も一粒残さず全部たいらげた。

お母さんが恥ずかしそうになるまで「美味しい!美味しいです!!」と褒め称えた。
いやホントに、美味しかったです。

食事の最中に肉体労働系の仕事から帰った、と言う感じのオジサン達がどやどやっと入って来た。
その中のひとり、若い男性に挨拶される。
何かと思ったら、お料理を作っているお母さんとさきほどご挨拶したご主人の息子さんで、メールのやりとりは彼がしていたのだそう。
あの、親しみやすい文章そのままにおおらかな印象の方だった。

料理の美味しさと宿の人たちの感じ良さにつられて、普段飲まないビールまで一缶空けてしまった。
ご機嫌になって部屋に戻る。

やさしいご主人と息子さんに、お料理上手なお母さん・・・いい宿に当たったなぁ。
そういえば、屋久島に来た過去2回とも、泊まった宿の人は皆良い人たちですぐに仲良くなれたっけ。
私ってこういう運は結構いい方だ。

美味しいご飯は人を幸せにする。
突然襲ってきたとてつもない幸福な気持ちにうちのめされて、酔っ払ってたのもあり、ベッドの上でごろごろと転がった。

ああー、ここは屋久島なんだぁ。
明日もお天気は悪いかもしれないけど、すぐそばに大好きな安房川があって、山もあって、ご飯は美味しくて、宿の人たちは皆、いい人で、何て幸せなんだろう。

って言うか、屋久島に嫁入りしてぇ・・・。






雨の安房川を歩く

2006-06-28 | 2006年6月
オーベルジュは思ったより安房川から離れていたけど、ちょっとした散歩気分で歩くにはちょうど良いかもしれない。
チェックインを済ませて荷物を置くと、早速傘を持って、散歩に出かけた。

とりあえず安房川方面へ、と歩き始めて5分もしないうちにちょっとだけ後悔した。
ずっとえのっきーさんの車に乗っていたから実感がなかったけれど、雨の屋久島を普通に歩こうと思ったら都会の雨の日に会社へ向かう、程度のことと同じ感覚でいてはいけない。
都会では傘をさしても濡れる、と言う位凄い雨は、台風や夕立の時くらいだけれど、この島では「普通」の雨でも傘をさしてても濡れる。
そりゃもう濡れまくる。
一応防水スプレーはして来たとはいえ、完全防水ではないスニーカーはすでにびしょびしょ。
ジーパンもすっかり湿気を含んでじっとり濡れている。
傘を持つ手も腕もびちゃびちゃだ。

今度からこの島に来る時は長靴か、せめてカッパを持ってこよう・・・。

それでもどんなに濡れても決して不快に感じない。
むしろ、ちょっと気持ち良かったりする。

何でだろう。
明らかにこの島に降る雨って、都会の雨と違って何だか気持ちが良い。

大通りまで出ると安房橋が見える。
その向こう、緑にちょっと埋もれるような感じでロイヤルホテルが立っている。

安房橋の手前でわき道にそれて安房川の堤防へ降りる。
前回歩いた時に覚えた道だ。
安房橋の下に出ると、安房橋より小ぶりのまんてん橋を渡る道に出る。
まんてん橋を渡りきった処はロイヤルホテルの裏口と通じていて、川べりに降りる小さな梯子もある。
今日は川の水が増水していて、梯子を降りるのは危険そうなので止めておいた。

まっすぐ川沿いに山の方へ向かって歩いてみることにした。

ここまで来ると車もまったく通らない。
晴れた日は堤防に地元の人たちが集まって井戸端会議をしているけれど、今日は誰もいない。

ひとりでとぼとぼと歩いてゆく。

雨は時折止み、しばらくしてまたさあっと降り始める。
その繰り返し。

川の水も今日は底が見えない。
晴れている日のこの川の水は澄んでいてとても美しいのに、と恋しくなった。

そのうち道は行き止まり、目の前は突如として森の入り口があった。
足を踏み入れてみると、急に木の香りが匂いたった。
空気が切り替わる。

この感じ。

森は、木は、不思議だなぁ。

ほんの出入り口程度の場所であっても、森の中へ一歩足を踏み入れると途端に空気が変わる。
酸素が濃くなり、ふっと肩から力が抜ける。

どこまで続いてるのだろうか。
歩いて行ってみたい気持ちもあったけれど、何せ舗道されてない道はどろどろにぬかるんでいて、このスニーカーで歩いてくのはかなり大変そうだ。
雑草も生い茂っているので、ジーパンがもっと濡れてしまうだろう。

申し訳程度に森の入り口に佇んで、流れる安房川をしばらくぼーっと眺めていた。

雨がやんで、次にまた降り始める時の空気が面白い。
最初のうちはぱら、ぱらぱら、って感じで落ちて来る雨粒が、ある瞬間、細い糸のような雨に変わる。
その時、安房川の川面にまるで風が吹くように雨の影がさあっと走るのだ。

首筋がじっとりと汗ばんでいる。
ここに来る途中、ついいつもの癖で早歩きしていた為、汗をかいてしまった。
湿度が高いので、汗はなかなか蒸発しない。

都会では常に時間に追われている。
特に何も予定が無い日でさえも、何かしら時間に追われている。
だからいつも早足で歩く。

だけど、この島では時間は間延びする。
早歩きしたって無駄なだけだ。
時間が余るだけ。

不思議だね。
流れてる時間そのものは、都会でもこの島でも同じな筈なのに。

雨は降り続けてる。
時間はゆっくりゆっくり過ぎてゆく。

だんだんと気持ちが静かになってゆく。
ああ、ここでは急ぐ必要がないんだなぁ。

雨は雨の筈なのに、都会に降る雨とこの島に降る雨はやっぱり違う。

そして、私は私なんだけれど、この島に来ると明らかにちょっとだけ違う自分になるんだ。
私は私でありながら、私が醸し出す空気が変わる、と言うか。
きっと、この島にいる時の方が私の命そのものに近い顔をしているかもしれない。

雨足が弱まった隙に、道を引き返す。
とは言っても、どうせまたすぐに降り出す。

帰りは安房橋の下を歩いて、海へ向かう道なりにホテルまで戻ってみることにする。
港の近くにAコープがあったので、そこで軽く飲み物などを買っておこう。

港が近くなると途端に潮の匂いが濃くなる。
振り返れば相変わらず濡れた緑が静かにそびえている。

明日も一緒だね。
まだ側にいられる。
ここにいられることそのものの幸福さに、心がじんわりと嬉しくなった。




雨の中のドライブ

2006-06-28 | 2006年6月
それにしても今回の屋久島の雨は凄い。

車のワイパーが弾くたびに、フロントガラスに降りしきった雨が何と言うか、しぶきになって飛び散るのですよ。
それ位に本気で降ってます降ってます。

えのっきーさん曰く、「屋久島の本気の雨はまだこんなモンじゃない」らしい・・・。

今回えのっきーさんからサプライズがあった。
と言うか、私が単に忘れてただけなんだけれど。

11月に風邪でキャンセルした際、えのっきーさんのお古であるフィルム式カメラを譲ってもらえると言う話があったのだ。
えのっきーさんはそのことをちゃんと覚えていて、今回、まずそのカメラをプレゼントしてくれた。

それが物凄いカッコいい、ちゃんとしたカメラなの。
カメラ初心者の私がタダでこんなものもらっちゃっていいのかしら・・・と思うような。
何か、真面目に写真やってるカメラ小僧が聞いたら怒られそうだな。

でも嬉しい。
この天気じゃ3日間のうち、いつ行けるか判らないけれど、ヤクスギランドに行ったらいっぱい写真撮ろう、っと。

えのっきーさんは午後から用事があるということで、とりあえずお昼だけ一緒に、の予定だったけれど、「ちょっと遠回りしてもいい?」と言いながら、車でぐるっと私の好きなわき道を軽くドライブしてくれた。
さすが師匠だ。
「ちょっとドライブしようか」じゃなくて、「ちょっと遠回りしていい?」と入っていくあたりがツボを心得ている。

雨に濡れた屋久島は相変わらず美しかった。
激しい雨に打たれて、植物達は悲愴な感じではなくてむしろ生き生きと色彩を放っていた。

山も海も空も、木々も土も道路も、ずっしりと水を含んでいる。

途中、千尋の滝へ寄ってもらった。
ここは車を駐車場に停めて、5分ほど歩く。
外に出ると途端に澄んだ空気が肺を満たした。
ふわっと肩が軽くなる感覚。
屋久島に来ると何故かいつも、肩が軽くなる気がする。
きっと空気が軽いんだろう。

昨日から降り続いてる雨のお陰で千尋の滝は通常の倍にも膨れ上がって、どうどうと水を放っていた。
ここの滝は有名だけど、滝からかなり離れているのがちょっと残念だ。
昔は滝つぼまで遊歩道で行けたらしい。
恐らく危険だからと言うことで、今はもう行けなくなってしまった。

相変わらず名前のついてるモノよりも「そこら辺」が好きな私は、千尋の滝そのものよりも、駐車場から滝まで向かう5分間の散歩道がすっかり気に入った。
去年みづえさんと来た時とは、全然雰囲気が違っていた。
あの時は晴れていたのでただただ暑かったけれど、今日は雨を含んでしっとりと重くなった木々の葉が垂れ下がり、道の奥へ続く緑の森が透明感を増してとても気持ち良さそうに佇んでいた。
その澄んだ緑達を眺めているだけで、何だか安らいでくるような気持ちになった。

紛れもない屋久島の空気だった。

ああ来れて良かった。
来て良かった。

軽くお昼を済ませてえのっきーさんに宿まで送り届けてもらって別れた。














VS雨

2006-06-28 | 2006年6月
目覚めたら雨が降りしきっていました・・・。

あーあ。

今回はダイビングがないので、いつも連れて行ってたキャリーはお留守番である。
小ぶりの旅行バッグに、リュックを背負ってビニール傘をさして出発。
ちなみに荷物になるので、このビニール傘は駅に寄付してしまいました(早い話が置き捨ててきた)

今回はチケットレスなので、航空券を忘れる心配もなし。
予約番号も控えたし、身障手帳も持ったし、万端の態勢である。
これで後は飛行機が飛んでくれるかどうか・・・。

と、気を揉んでいたのだけれど、いざJALに着いたらあっさりと「エアコミューターですか?今日は飛んでます。大丈夫ですよ」と言われてしまう。

ああ良かった~。

およそ半年振りではあっても、空港にもすっかり手馴れて来た感じです。
今回はちゃんと乗り継ぎ指定にして、エアコミューターのチェックインも済ませる。

これは、前回屋久島に行って、飛行機が壊れて帰れなくなった翌日、えのっきーさんが心配してわざわざ空港まで見送りに来てくれたんだけれど、その時のチェックインでえのっきーさんが「乗り継ぎで羽田まで」ってやってたのを見て覚えたのだ。
それまで私は乗り継ぎ指定を知らなかったのである・・・・。
つまり、鹿児島に着いたら一度ゲートを出て、荷物を受け取って、またカウンターに行ってエアコミューターのチェックインをして、またゲートに入って、と面倒なことをしてた訳。

はい、アホですね。

最初に屋久島に行った時も、羽田で「乗り継ぎ」ってやっておけば慌てふためいて鹿児島空港中を駈けずり回る羽目にならなかったんだけれどねぇ・・・・。
(参照記事→http://blog.goo.ne.jp/mahachohan_2006/e/1c7f81d0a9903992fd82f793a668ec84)

まぁ、こういうことが手際よく出来るようになったあたりに自らの成長を見たりする訳です。

鹿児島までは10分押し位で到着。

到着したのはいいけれど、エアコミューターの搭乗口までは相変わらず遠かった。
空港の端と端かって位に。
今回もエアコミューターへの乗り継ぎ時間がぎりぎりだったけれど、まぁチェックインも済ませてあるし、気持ちは余裕でざっざっざっ、と歩いて搭乗口に辿り着く。

と、あれ。
もう搭乗手続きが始まる時間なんだけれど、まだランプがついてない。
聞いてみると、飛行機の到着が遅れてるとのこと・・・。
何となくいやーな予感。

何しろ鹿児島は予想通り雨がざんざん降り。
屋久島の方ではどれだけ天気が悪いのか想像に難くない。
あのプロペラエンジンの小型ジェット機が、右往左往してるのも納得したくなんかないけど納得出来る。

それでも、10分も待ってると飛行機も到着し、何とか乗ることが出来た。
結局20分くらい押して鹿児島空港を飛び立つ。

飛び立ったのはいいけど、飛び立つ寸前、スチュワーデスさんから「只今悪天候により、鹿児島空港へ引き返すかもしれません・・・」などと言われてしまう。

おーい!!

私の前に座ってたオジサンも、「えぇ~・・・行けるのかなぁ・・・」とぼやきながら窓を見ている。
ホントだよ。しっかりしてくれよ。
ここまで来て帰るなんて嫌だよ。

エアコミューターに乗るのも3度目になるけれど、今回はさすがにこれまでの2回みたくスムーズに島へ進めないことがありありと判った。
だって、いつまでたっても窓の下が鹿児島なんだもん。
普段なら飛んで5分もすれば海の上に出るんだけれど今回は一度海の外に出た・・・と思ったらぐいぃぃんと斜めになって、また鹿児島上空に戻ってしまった。

お~いお~い・・・。

偉く機体が斜めにかしいでますけど・・・。

あまりにも悲愴な表情で窓の外を眺めていた気配が伝わったのか、前の席のオジサンが「行けるのかねぇ」と声をかけてきた。

「ねぇ・・・ホントに・・・」
と返事も上の空で拝み続ける。

神様すみません、もうビニール傘を駅に置き捨ててきたりしません。
どうか、屋久島まで導いてください。
お願いしますお願いしますお願いします・・・。

多分、大学の合格発表の時でさえもここまで真剣に祈らなかったんじゃないだうか。
それ程全身全霊をかけて祈った。
祈りまくった。

機体は風に翻弄され、始終ななめにかしいだ状態で、それでも何とか屋久島へ向かう。
見慣れた濃い緑の島がぽっかりと見えて来た時は、安堵の余り汗が吹き出た。

よーし、よーし、このままこのまま。
行けっ!今だー!!
神様、頼みますーー!!

祈りが通じたのかどうか、とにかく飛行機はよろよろっと屋久島空港に降り立った。
いつも空港が近づいてくると海面すれすれを飛ぶんだけれど、今日は風を避けて急降下しているせいか、いつもに増してすれすれ感があって、恐ろしかった。

タラップを降りると、むわっと独特の南国の風がふきつけてくる。

雨がざーざーと降っていた。

それでもいい。
屋久島だー!
半年振りの屋久島だー!!
会いたかったよー!!

と感涙にむせんだのもつかの間。
ただでさえ揺れる飛行機の中で、全身全霊をかけて祈ることに体力を使っていた私は、珍しく酔ってしまっていたのだ。

うえぇぇ。
気持ち悪ぃ。

ちょっと遅れたえのっきーさんはやってくるなり、空港内のベンチでぐったり沈んでる私を見てドン引きしていた。
すみません・・・。






屋久島前日(夜)

2006-06-27 | 2006年6月
去年の6月末の屋久島はちょうど梅雨明けにあたって、3日間ずっと快晴だった。
何となくそれにあやかって、今回も同じ時期に行くことにした。

2週間前に奄美が梅雨明けし、屋久島の方もお天気が続いてるようで、「よ~しよし」とほくそえんでいた。

・・・んが!

よりにもよって1週間前になって、なんと九州地方に梅雨前線が停滞してしまった・・・。

出発を翌日に控えた今日、気になってJALのHPをチェックすると。

何と、鹿児島から屋久島へ向かうエアコミューターが欠航となっていた・・・(-◇ー;)!!

鹿児島は大雨。
当然、屋久島にもしっかりと雨のマークが光る。

はぁ~・・・。

何か私、屋久島行く前っていっつも何かしら、心配してるなぁ・・・。
たまには「よしっ。明日は快晴!航空券も持った!飛行機もOK!」ってな感じで、晴れ晴れと屋久島へ行く日を迎えたいんですけど。

とにかく、明日の飛行機が飛ぶかどうかはJALに行かないと何ともならないので、今夜はさっさと寝よう。

一応、友達何人かにメールを送っておく。
「九州地方大雨だってー!
明日飛行機、ヤバいかも・・・。
祈っててください」

皆さんも祈っててください(マジ)


屋久島前日

2006-06-27 | 2006年6月
今回はダイビング無しで2泊3日の予定にした。

詳しくは書かないが、去年の後半、ダイビングで関係してる人たちとトラブル、と言うか仲たがいが続いて起こった。
AさんとBさんがいたとして、この2人は私のダイビング関係の知人であるが、AさんとBさんはお互いを知らない。
にも関わらず、まずAさんと私の間でトラブルが起き、続いてBさんとも仲たがいが生じた。
そんな感じで、連鎖的にダイビングを通して知り合った方々との間で嫌なことが続いた。

その殆どはブログやメールでのやり取りが原因となったので、当時やっていたブログも閉鎖し、メールも次々と受信拒否設定に入れて、どんどん彼らとの関係を断っていった。
ダイビングそのものに対しても嫌気が差してきた、と言うか、ヤル気が沸かなくなってきた。

もともと気管支喘息を患っている人は医師の診断書がなければダイビングをしてはいけない。
私は主治医から「大丈夫」とサインをもらっていたのだけれど、11月に引いた風邪をこじらせてかなり悪い所まで行ってしまった。
そういうこともあって、いい機会だからダイビングの世界からもしばらく遠ざかっておくことに決めた。
もしまた始めるチャンスがあれば否が応でもやってくるだろう。
二十歳になってダイビングを始めてから7年間潜り倒していた。
ここらへんが区切り時なのかもしれない。

とは思っても、えのっきーさんは一連の騒動には関係してないし、正直、私の中で屋久島にここまでハマることが出来たのはえのっきーさんがいたから、と言う思いがある。
海ももちろんだけれど、陸でもえのっきーさんが車でいろんな処に連れて行ってくれて、その時々で屋久島の楽しみ方を伝授してくれた。
私は縄文杉も見てないし、太鼓岩も行ってないけれど、屋久島って楽しい!大好き!な気持ちになれたのは、えのっきーさんが「そこら辺」にある自然との遊び方、楽しみ方を教えてくれたからに他ならない。

「そこら辺」とはズバリ、普通の観光客が行かないような場所である。
名前すらもつかない。
だからこそ、自分だけが知ってると言う気になれる。
誰にも教えたくないような自分だけのスペシャルな場所が屋久島には溢れている。

ヤクスギランドでさえ、有名な杉の木を見て佇むよりも、どの木にもある苔に付着した雨の雫の美しさを見て歩くことの方が遥かに楽しい。
そういう目線もえのっきーさんから教わった。

自分の中では勝手にえのっきーさんの弟子入りまでしている。

そんな屋久島の師匠ではあるけれど、あくまでもダイビングショップのオーナーなので、何となく今回の旅行が決まってからもなかなか連絡が出来ずにいた。
ダイビングしないのに連絡して、「ちょっと一緒に遊べないかなー」なんて図々しいと言うか、おこがましいと言うか、失礼なんじゃないか・・・と根が生真面目な私は悶々としていたのである。

アホみたいなんだけど。
何ていうか、ダイビングショップのスタッフとダイビング以外の目的で会うのはあんまり、好ましくないんじゃないか・・・とか懸念していた訳です。
真面目だなぁホントに。

そんな話を、友達にした所、「連絡してみればいいじゃん」とあっさり言われてしまった。
そら、そうだな。
つーか、悶々してた処でどうしようもない。

気軽に行ける伊豆と違って、屋久島なんて半年に一回行けるか行けないか、位に遠いのだから、行ける時に連絡すべし!

ということで、恐る恐るメールをしてみたら、拍子抜けする位さくっと返事が来て、結局、当日は空港まで迎えに来てくれることになった。

なぁんだ。
なるようになるもんじゃん。

そうやって自分の内側で考えて事態を自ら難しくするのはホントに良くない癖だよなー。
とほほ。
案ずるより産むが安しってことだ。



準備-宿編-

2006-06-02 | 2006年6月
これまで屋久島の宿は割りと人任せだった。

初めて行った時は旅行会社のツアーだったので、宿も旅行会社のほうで手配してくれていた。

二回目と三回目はYMSさんの方でダイビングと宿泊をセットにしているパックがあって、それを利用することになっていたので、これまた手配はYMSさん任せ。

でも、今回で正式に島に行くのは3度目になるのだし、そろそろ自分で宿を開拓してみようじゃないか。
旅行会社にお願いしなくとも自分で飛行機も手配出来るようになったのだから、宿も自分で探してみよう!

まぁ、今回はダイビングをしないので、YMSさんにお任せ出来ないなどの事情もあったのだけれど、そんな訳で、次は宿探し。

相変わらず免許がない私は、島での交通手段はバスのみとなる。
バスは1時間に1本。
それでなくてもデカイあの島内をバスで動き回るのは時間もお金もそれなりにかかる。
となると、2泊3日という短い旅行期間の中で効率良く回る為に、まず拠点を決めよう、と思った。

今回は最初から私は、安房を拠点にするつもりだった。
まず、絶対行きたい場所がヤクスギランドだったので、ヤクスギランドまで直接行けるバスが通るバス停が近くにあることを第一条件としてあげると、そのバス停がが安房周辺に固まっているのだった。
それから、去年の今頃、初めて屋久島に行った時に泊まったロイヤルホテルが安房川のほとりにあって、川からの眺めや最終日に歩いた安房川の川べりの道などがとても印象に残っていて、あの辺りは自分の中でもお気に入りの場所だったので。

安房付近にあって、バス停が近くにある所を条件にしてネットで検索をかけた。

これが結構難航した。
前回2回ともホテルだったので、今回は民宿もいいかな、と思っていたのだけれど、民宿でHPを作っている処がなかなかみつからない。
最終的に屋久島情報サイトとして有名な屋久島リアルウェーブ(http://www.realwave-corp.com/index2.htm)から、探し出すことにする。

いくつかの宿をピックアップしてメールを送ってみる。
メールアドレスを持ってない処もあったので、そういう処は残念ながら選択範囲から外さざるを得なかった。
何しろ電話が出来ませんので。

翌日にはいくつかの宿からお返事が返って来ていた。
ほとんどの宿はメールを送ったその日のうちに返事をしている。

ところで、私は電話が出来ない分、メールにうるさい。
電話での応対同様にメールでの対応にもその会社なり、企業なりのイメージが問われてくるものだ。
これまでいろんな会社とメールのやり取りを交わしてきた経験から、必要以上にメールの返信に対して神経質な位にぴりぴりするようになってしまった。

返事の早さが出来るだけ早ければ良いのは、当然のこと。
でも、例えば翌日以降の返信になったとしても、丁寧な謝罪の言葉があれば良し。
この辺は常識レベルだろうけれど。

文章もこちらが質問したことに簡潔かつ判りやすく、親しみの持てる文章で受け答えしてくれているかどうかが重要。
最後に「また何かご質問などございましたらご遠慮なくメールしてください。ご来島を心よりお待ちしております」などの一文が添えてあるだけで、相手への印象が断然ポイントアップする。
意外とこの最後の一文が無い返事が多くてガッカリした。

また、車の免許が無いことで何やかんや言ってくる処が結構ありました。

免許が無い旨を告げて、宿から歩いて行ける距離にバス停があるかどうかを質問事項として書いておいたのだけれど、いくつかの宿から「屋久島は免許がないと不便ですよ」と忠告を受けた。
そんなもん、端から知ってるわい。
だからバス停があるかどうかって聞いてるのだ。

経営者がエコガイドだったりするような宿からは、他のお客さんとカップリングでのエコツアーの参加も勧められた。
屋久島がまったく初めてだったら、そういうのも乗ったかもしれないが、前回白谷雲水峡エコツアーに参加して、それはそれで楽しいけれど自分の中ではもういいかな、と言う気がした。

もともと私は複数の人数で行動することが苦手なのだ。

縄文杉を見たい!とでも言うのであればガイドを雇っても良いかもしれないけれど、白谷雲水峡やヤクスギランドの30分コース程度であれば、ひとりで気ままに回った方がのんびり楽しめると思う。
それに、高いお金を払ってガイドを頼むくらいならえのっきーさんにダイビングついでに車で裏道を回ってもらった方が遥かに面白い。

そんな訳で、結構宿探しは難航した。
民宿は確かに安くなるけれど、泊まり客同士が親しくなるチャンスが高い分、宿の雰囲気が問われる。
もともと人見知りで、気を遣うタチなこともあって、皆でわいわいと言う雰囲気があんまり好きじゃない。
たまたま知り合った人と1対1で仲良くなるのは楽しいけれど、何人もいるのはちょっと疲れそうで嫌だなぁ。

としたらやっぱり、ホテルか。
ホテルになるとどうしても高くつくけれど、その分プライベートは確保されている。

安房港からほど近くにあるオーベルジュと言うホテルを見つけ、メールを送ってみたら、これがドンピシャだった。

丁寧かつ親しみのある内容のメールで、最後に「お身体ご自愛ください」とあるのも何だか可愛らしかった。
免許が無いことについても、「屋久島はバスの運行が非常に少ないですが、かえってバスの時間通りに行動するのも計画がたてやすいかもしれません」と、嬉しいことを言ってくれる。
難聴であることについても、「出来る限りお手伝いさせていただきます」とのこと。
決まりだね。

場所も安房港から近いので、帰りのトッピー乗船にも都合が良い。

やっとこれで宿も決定した。
やれやれ。
ひとりで色々やってみると大変だな。

でも、屋久島にまた行ける気持ちが大きくなってきた。










準備-交通編-

2006-06-01 | 2006年6月
そうと決まれば行動は早かった。

と言うか、早くしなきゃならなかった。

何と言っても飛行機の手配は早ければ早いほど値段が安くなる。
今年からスカイマークは鹿児島線を撤退してしまったので、JALかANAで行くしかない。
現時点で使える割引関係では、JALの28日前までに予約をすればちょっとお安くなる28割くらい。
それでも16,000円強はするが、もう仕方ない。
ここで失った分はまた仕事で稼ごう!と割り切るしかないか。

屋久島へ行くのも今回で3回目、キャンセルしたのも入れれば旅の準備は4回目になる。
最初の頃は右も左も判らなくて、旅行会社にまかせっぱなしだったにも関わらず、ゲートと搭乗口の違いも判らなくて空港を奔走したり、航空券を忘れて来たり、飛行機を壊して帰れなくなったり、ここまで場数を踏めば飛行機の手配程度なら、今となってはチョロいもの。

さくさくとネットから28割でチケットを手配する。

ところで今回、鹿児島から屋久島へ渡るのは船を使ってみたいと思った。

今回はダイビング無しの旅行にするつもりなので、比較的時間に余裕があるんじゃないか、と言う気がする為、あえて船でのんびり行くのもいいかもしれない、という考えもあったのだが、何と言っても船は安い。
身体障害者割引を使えば片道4,000円程度で行けてしまう。
エアコミューターの半分以下だ。

が、しかし。

ど~~~~~~~うしても、羽田から鹿児島に着く時間と、船に乗り換える時間が上手く合わない。
鹿児島に10時に着いても、船だと屋久島に着くのは15時になってしまう。
しかも、安房ではなく、宮之浦に到着する。

屋久島には安房と宮之浦、二つの港があるのだけれど、この二つの間をバスで移動するとなると軽く千円以上はかかる。
なら宮之浦に泊まればいいじゃねぇか、と言うことになるのだが、今回、私は諸々の事情があり、どうしても安房に宿を取りたかった。

更に鹿児島空港から船の出る港まではリムジンバスを使っても1,200円程度はかかるという。

そうするといくら船が安くたって、実質的には飛行機で行ったのとそんなに変わらない値段になってしまう上に、午後3時と遅い時間に屋久島に到着し、更に宮之浦から安房まで小1時間かけてバスで移動しなければならなくなり、時間的ロスもかかる。

少なくとも行きはエアコミューターを使った方が効率が良いな、と判断し、行きの便のみ身体障害者割引でエアコミューターを予約。

ちなみにJALで身体障害者割引を使いたい場合、ネットで普通に予約を入れた後、予約センターまで電話をかけなければならない。
別にいいんだけどさ、身体障害者のカテゴリの中に聴覚障害者は入ってないのかね。
聴覚障害者は電話が出来ないぞ。
こういう社会的な矛盾はしょっちゅうそこらへんにごろごろ転がってあって、けつまずく度にとほほ、とならざるを得ない。
私はたまたま電話をお願いできる友人がいるからいいけれど、そうでない聴覚障害の人はどうすればいいんだろう。

さて、帰りの船は13時過ぎに安房から出るとっぴーを予約。
こちらはネットで予約した際、正規の金額を振り込むのだけれど、当日、受付で障害者手帳を掲示すれば半額戻してくれるとのこと。
これも友人にわざわざ鹿児島の本社まで電話してもらって確認したんだけれど、せめて判りやすいようにHPにもそういうことを明示して欲しいなぁ。

今回、結構急に決めたこともあって、ネットで使える割引があんまりなかった為、身体障害者割引にかなり頼ることになってしまった。
でもそうすると、いちいち電話して聞いたりしなきゃならないことがあれこれとあったりして、気持ちの上では結構ざわついた。

仕方ない、と受け入れるしかないんだけれどね、単純にイラつく訳ですよ。

こういうイラつきがピークに来ると「畜生、障害者は屋久島行っちゃいけねぇのか!!」とキレたりするので、航空会社や船舶会社の皆さん、今後もバリアフリーの拡大をよろしくお願いしますね。
私はキレると結構怖いですから(謎)