屋久島旅行記

屋久島に恋しました・・・。

屋久島ジュウソウ

2006-07-18 | 番外編
先日の屋久島旅行から帰って来た直後に、図書館に予約を入れておいた森絵都さんの「屋久島ジュウソウ」が私の順番になったとの連絡ハガキが来ていた。

嬉々として借りに行き、そのままスタバで読み始めました。

やっぱり、帰って来たばかりで記憶が新しいので、地名や物の名前なども相当にリアリティーを感じられて、あっと言う間に読み終えてしまった。
森さん一行が泊まっていた場所も安房方面なので、文中に出てくるコンビニなども大体どの辺りか察しがついた。

察しも何も、島をぐるっと一周する大通り沿いにしか、めぼしい店は無いので、一度行ったことがある人であれば多分どんな方向音痴でも判ると思うけれど。

田口ランディさんの屋久島旅行記が、割と感動・感激の情感に溢れているのに対して、森さんは妙に冷静に、時々セルフ・ツッコミを入れながら書いてる辺りが物凄く面白かった。
飛び魚の唐揚げを食べた時の感想が、「試しに羽根を齧ってみたところ、五枚一パックで売っているイカせんべいの味がした」と書いてあったりして、ウケた。

ちなみに、「ジュウソウ」とは登山用語で「縦走」と言うらしい。
森さんは「重装備」のことと勘違いされていたようだけれど、私は「重曹」だと思っていました。
屋久島に良い重曹があるのかしら、なんて。

ひたすらに冷静・客観的・理知的な文章で縄文杉登山の内容が書かれてあるけれど、かえって「げー、やっぱり縄文杉登山って大変なんじゃん」と真実が伝わって来て良かったと思う。
屋久島=縄文杉って位に今の日本人の間で縄文杉信仰がまかり通ってるけれど、実際の所はそんなたいしたことはない筈なんだよなーと、常々アンチ・縄文杉の私は感じていたのだけれど、この本を読むとそれが正しく表現されている。

この本に載ってる縄文杉の写真は、いろんな旅行雑誌に載っている縄文杉の写真みたいな物ではなく、もっとしょぼい。
周りを柵で囲まれていて、触ることも出来ない。
ただの老成した大木だった。

その代わり、縄文杉へ向かう道すがらの森の写真はどれもこれも素晴らしい。
清らかな水、みずみずしい緑。
眺めているだけで、あの空気があふれ出てくる。
澄んで、少し冷たくて、すかっとした香りに包まれているあの空気。
縄文杉へ行くのであれば、森を楽しんだ方が良い、と田口さんもエッセイで書かれていたけれど、私もそう思う。

本を読んでいると縄文杉を見たいとは特に思わないけれど、山はいつかは歩いてみたいと思わされた。
でも、寝袋で山小屋で寝るのは嫌だなぁ。

さすが印税生活者である森さんは、屋久島の中でも高級そうなホテルにばっかり泊まってるので、宿情報などは大して役に立たなかったけれど、大川の滝から来るまで5分程度と言うサゴシの浜は行ってみたい。

デザイナーである池田さんのイラストと写真だけでも読んだ甲斐があった。
あと、屋久島って割りと行っただけでどうしても冷静さに欠いてしまうのだけれど、そこを敢えて冷静に書き綴る森さんの視点は、シュールで、どこか怖面白かった。
こういう本を読んでからあの島に行くと、また世界観が広がるかも?

・・・うーん、でも私は多分無理だろうな。
すぐ泣くしね。






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