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医学部再受験

2005年01月29日 12時47分55秒 | 学問・大学


 以前在籍していた研究室の院生(D1)から連絡が来た。中退して医学部を受け直すとのこと。中退理由は口にしなかった。

 近年、医学部を目指す研究者及び院生をよく目にする。彼らの転向の理由は主に、

  ①研究職に就くのが困難
  ②研究職への不適

である。①の理由で医学部を目指すことには賛成しない。パーマネントの職が見つかるまで、非常勤やバイトで糊塗する方がリスクが少ないと思われるからである。問題は②からの転向だが、これはリスクの高い賭けだ。医学部学士編入試験の倍率は20-100倍を誇る。多様な人材を募集と謳っておきながら、偏差値エリートしか受かっていないのが現状だ。一般入試から受けなおすのが近道であろう。医師になれば食いぶちに困ることはないが、素人が想像するほど裁量権のある職種ではないようだ。一般的な技能者に過ぎない。

 ②を減らすにはどうすればいいのだろうか。大学院を受験する前に研究職の実情を身をもって体験させるのが一番かと思う。学部3年生の段階で進学希望者には自由に研究室への出入りを許し、自分に不向きと分かったら就職へと転進させればいい。単なるお客様扱いするのではなく、テーマを持たせ、責任を感じさせるのも重要だ。





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2 コメント

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コメント (IP)
2005-02-01 01:04:57
Watanabe様

はじめまして。



watanabeさんが挙げた

①研究職に就くのが困難である

という理由で医学部を目指すことは前向きで理性的であると思われます。

なぜならば、いつ空くかわからないポジションを待つよりも、医師になって社会に貢献したほうが、その人に取っても社会にとっても幸せであるケースが多々あるからです。



ポスドク1万人計画に象徴されるように研究者予備軍の数は増加しています。しかしながら、研究者のポジションはそれほど劇的には増加していません。さらに、パーマネントのポジションは全体として減少しつつあります。

そのため、研究職のポジションはこれからますます就きにくくなることが予測されるからです。その中で研究職につくために辛抱することは精神的・経済的に非常に困難です。



また、watanabeさんが提案しているような理由②を減少させる案は魅力的ではありますが、現実的ではないと思います。

なぜならば、学部生のレベルで研究者に向いているのかどうかを判断することは、よほどその学生が優秀でない限り不可能だからです。

つまり、優秀な学生も(生物学に着目して考えるのならば)実験科学を行う以上、いきなり研究を行うことは不可能だからです。

研究とは自らテーマ(問題)を発見し、問題解決のためアプローチを考え、実行し、論文にまとめるといったプロセスです。その研究というプロセスは、一から時間をかけて習得しなくては身につきません。

そのため、たとえ学部3年から研究をはじめたとしても、指導してくれる院生もしくは先生の言われたとおりに、手を動かし、結局のところ実験が好きか嫌いか位しかわからないのではないでしょうか?

実験は研究の一プロセスでしかなく、博士課程で壁にぶつかってしまう人の多くは実験を行うことよりもその他の、例えば、自分で新たにテーマを設定することや新たに現れた問題に大して論理的に解決策を見出すことなどの壁にぶつかりドロップアウトしてしまうのではないでしょうか?

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問題解決能力 (watanabe)
2005-02-01 14:08:20
to IPさん

 大変示唆に富むコメントをいただき、ありがとうございました。



 ①の医学部再受験についてですが、なるほど、IPさんのおっしゃるようにパーマネント職を見つけるのは困難であり、精神的にも厳しい問題だと思います。知り合いに学士編入試験を受けた者がいるのですが、論文実績が相当あるのに不合格でした。これから察するに学士編入試験でも学力を最重視するのかと思います。倍率も考えますと、一部の有名大学出身者以外は非常勤でチャンスを持っている方が良いのでは、と考えた次第です。結局はその人次第でありますが、IPさんの仰るとおり、偏差値エリートの研究者予備軍は医学部に転進した方が良いのかも知れません。



 また②の研究職への不適問題ですが、ご指摘ありがとうございました。確かに私の視点は学生の問題処理能力(実験手技など)の段階にしか向いておりませんでした。この段階の不適格者は防げても、その次のステップの問題解決能力(テーマ設定など)の不適格者については防げません。お説の通りです。私の周辺では、その様な高度の(?)悩みでドロップアウトした人間は稀で、ほとんどが教官とのトラブルや精神的な問題でした。問題解決能力の段階でのドロップアウトは深刻です。サイエンスライターや教師などに転進するしか無いのではと思いますが、求人数や年齢的にも厳しそうです。受け皿を考えずに、大学院拡充政策などをやったツケは大きいですね。
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