(ほとんど)シネマ日記

できるだけたくさん映画を見たいという希望をこめて

終戦のエンペラー

2013-08-11 12:42:02 | 映画さ行

何か、ちょっと違う感じ。

昭和天皇がマッカーサとの会見において、「戦争遂行の全責任は自分にある」と述べられた上で、国民援助だけを願われたこと、「もし天皇を裁判にかけるならば、更に100万の将兵をつぎ込まなければならない」と言って、マッカーサが本国の意向を拒否したことは、日本ではよく知られている史実です。
この映画は、この会見に至るまで、天皇の戦争責任についてのGHQの調査を描いているわけですが、いくら調べても天皇とはどういうものか分からなくて、それを日本文化のミステリアスさとしているのです。何か私に違う感じを与えるのはこの点でした。

宮内省の次官、関谷貞三郎(夏八木勲)は開戦の決定の会議において、陛下が明治天皇の御製「四方の海みな同胞と思ふ世になど波風のたち騒ぐらむ」を詠まれたと伝えます。こんなに分かりやすい歌は無く、日本人であれば天皇のお気持ちは十分に伝わります。つまり、軍部がお心に反して戦争を進めたことは火を見るよりも明らかなわけです。しかし、連合国側からすればそんなことは何の証拠にもならないと言うわけです。

結局、調査を担当したフェラーズ准将(マシュー・フォックス)は、天皇の戦争責任に関する証拠は全く無い、ただ天皇が戦争を終結させたことは明らかなのだから、天皇を中心に日本統治を進めるべきであるという意見を書いて報告します。マッカーサ(トミー・リー・ジョーンズ)はお前の意見など聞いていないと怒り、分からないなら実際に会って判断しようとするわけです。そして、最初の件(くだり)につながり、結局マッカーサの判断は正しかったということは歴史が証明している、と私は思います。

そんなことは知っているからもっと深く描いてほしい、と言うのが私の不満足感の理由なのでしょう。でも、そこはハリウッド映画ですから、セットのリアリティや俳優の演技には見るべきものが多々ありました。特に日本側の俳優は熱演でしたね。印象に残るのは、木戸幸一を演じた伊武雅刀の演技でした。出番は少しながら、昭和天皇役の片岡幸太郎の演技は、トミー・リーに激賞されたというだけあって迫真なものでした。それから、西田敏行の意外な英語の上手さにも舌を巻きました。


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