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「 OKINAWAN BASEBALL STADIUM 」 復活へのプロローグ

沖縄のドラフト候補.3

2004-10-21 00:37:19 | ドラフト
緑間 俊投手(177㎝、67㎏:右左:具志川商業高校3年)

今年の沖縄の高校生投手の中でNo1の評価を受けているのが、具志川商業の緑間俊投手です。
中央ではまったくと言っていいほど無名の存在ですが、下級生の頃から関係者の間での注目度は相当高く、オリックスをはじめとするプロのスカウトも度々訪れていました。

具志川商業は、池宮城監督のもと近年では県内の強豪校の仲間入りをするようになってきています。
特に今年は、緑間投手と大型の久高将仁投手(194cm、86㎏、右左、3年)の二人を軸に打撃力でも県内屈指の破壊力を持つ好チームに仕上がり、甲子園も決して夢ではないという評判でした。
しかし、最後の夏は初戦で浦添工業に0-2の完封負けを喫してしまいます。浦添工業も鍛えられた素晴らしいチームでしが、それにしてもあまりにもあっけない夏でした。

緑間投手の高校最後の試合は実際に見てきました(まさか最後になるとは思いませんでしたが・・・)。
緑間投手は大会前から調子が悪かったらしく、確かに立ち上がりいつもの球の走りではありませんでした。
対する浦添工業の先発はエースの仲本投手ではなく技巧派で控えの池田投手。浦添工も好選手の揃うチームではありますが、チーム力から考えて具志川商の勝利を疑いませんでした。試合は投手戦で淡々と進み、気が付けば浦添工・池田投手が強打の具志川商打線を8安打で完封していました。
緑間投手は中盤に足に打球を受け一たんベンチで治療を受けましたが、気合で最後まで投げぬきました。調子の悪さに加えアクシデントにも見舞われた緑間投手でしたが、それでも低めにコントロールされた伸びのあるストレートと鋭いスライダーには目を奪われました。最後の投球内容は、9イニング・被安打8・7奪三振・与四球3・自責点2、という結果でした。

緑間投手の特徴は、バランスの良さです。始動からお尻の落とし、テークバック、フォロースルーまで非常に綺麗な動きをします。それに加え鋭い腕の振りと強靭な足腰のおかげで、スピード・切れ・コントロールとも文句ありません。近年の高校生投手の中では決して大きくはなく、細身の優男(顔も良い)なのですが、140キロ台中盤の速球を平気で投げます。バッティングにも非凡なものがあり、野手になっても素晴らしい選手になれるでしょう。とにかく野球センスの良さを感じます。

残念ながら、ここ最近になってドラフト指名の話は聞かれなくなりましたが、同僚の久高投手と供に亜細亜大学への進学がほぼ決まっているようです。亜大には沖縄出身でドラフト候補にもなった糸数敬作投手(2年、中部商業出身)もいます。ぜひ沖縄パワーで東都大学リーグでも活躍して欲しいものです。そして、いつかはプロの世界でも輝いて欲しいと思います。


neogaia

沖縄のドラフト候補.2

2004-10-19 03:13:27 | ドラフト
金城宰之左投手(187㎝、90㎏:左左:中部商業高校3年)

噂では広島カープが獲得に動いているという、中部商業の左腕・金城宰之左。
中学時代にポニーリーグの宜野湾ポニーで活躍。その頃に「報知高校野球」の少年野球特集で、現・東北高校のダルビッシュ・有投手(当時、全羽曳野ボーイズ)とともに取り上げられ、大型サウスポーとして一躍全国にその名を知られるようになりました。

その後ダルビッシュ投手が順調に甲子園で活躍したのに比べ、金城投手は県大会でもほとんど投げない有様で、それでもドラフト関係の雑誌等では時々とりあげられるもんだから、いつしか幻の豪腕投手のような感じになっていきました。

高校2年秋の県大会でようやく登板するようになり、少々好投、ようやく大物の片鱗を見せ始めます。
中部商業は県大会を制し九州大会へ進みますが、宰之左投手先発の中部商業は初戦で佐賀商業にコールド負けを喫します。一冬越した春の県大会でも故障で一試合も登板せず、いよいよ最後の大会を迎えます。

中部商業は圧倒的な打撃力で決勝戦まで進みますが、肝心の宰之左投手は登板しても四球でランナーをためては打たれ、あっという間に大量得点を取られるという惨憺たる内容でした。エースとしての立場は一学年下の金城雄二投手に奪われ、決勝戦でも先発は出来ませんでした。

しかしが最後の最後になって、宰之左投手は意地を見せました。
沖縄水産との決勝戦、1対1の同点で迎えた6回裏からリリーフで登板した宰之左投手は、それまでとは別人のような圧倒的なピッチングを見せます。本人の逆転打もあり、4対1で沖水を破った中部商業は甲子園を決めました。
幻の大物・金城宰之左がとうとう全国お披露目となったのです。

甲子園での初戦は山形の酒田南。下級生中心のチームですが強力な打撃力を誇ります。先発した宰之左投手は1回・2回と2イニングで4者連続を含む5奪三振と怪投を見せますが、3回に先頭打者に2塁打を打たれてから乱れます。左足に打球を受けるという不運もありましたが、結局4回3分の2で失点6という無残な内容に終わりました。中部商は6対11の大敗を喫し、宰之左投手の甲子園初登板は、いつもの彼の投球パターンを全国に曝け出したようなものでした。

さて県大会・甲子園をみた上での宰之左投手に対する個人的な感想ですが、なんだかんだ言っても光るものを持っています。私はやはり、プロに行くべき素材だと思います。
あの体格と豪快なフォームの割には球速的には非常に物足りませんが(130キロ前半)、上半身の使い方が並ではありません。体が非常に柔らかく、特に人並み外れた肩関節の柔らかさが、大きくて豪快な上半身の立て回転をつくる源になっています。

しかし、多分体の基幹がまだ弱いのでしょう。速く強く腕を振るという事が出来ず、球速が出ません。また上半身と下半身の連動も駄目で(というか下半身が使えてません)、フォームが安定しません。体が柔らかすぎて、動きにおいてパワーを捻出させる事ができてない感じです。それでも乱れても決して手投げにはならず、思いっきりフォロースルーできる所は評価できます。

あれだけの素材ですから、監督さんもなかなかいじる事ができなかったのでしょう。むしろ高校3年間で変なくせをつけなかった事と消耗をしなかった事は、幸いだったと思います。

プロに行くにせよ、大学あるいは社会人に行くにせよ、これからはしっかりとした理論と指導力を兼ね備えたコーチのもとで2,3年は徹底的に鍛えるべきでしょう。
まさしくダイアモンドの原石、今後大きく化ける可能性を秘めた選手です。

neogaia

沖縄のドラフト候補.1

2004-10-18 07:30:14 | ドラフト
上原厚治郎投手(21歳:178㎝、70㎏:右右:興南高校→沖縄電力)

最近になってヤクルトが指名候補に挙げてきたのが、沖縄電力の上原厚治郎投手です。
都市対抗では去年の三菱重工長崎に続いて今年も日産自動車九州の補強選手に選ばれました。
上原投手が有名になったのは、去年のシダックスとの試合で野間口投手との投げ合いで好投、かの野村監督に絶賛されてからでした。

興南高校時代から140キロを超える速球でドラフト候補に挙がっていたんですが、最後の夏は3回戦で沖縄水産に敗れました。
高校時代の上原投手で印象深いのが、1年生大会の準決勝での那覇・成底投手(沖縄国際大)との投げ合いです。両投手の1年生とは思えない好投手ぶりに驚きました。

その後は1学年上の松谷投手(ヤクルト)の影に隠れ、投手としてはあまり目立った活躍はしなかったような気がします。むしろ、その迫力あるバッティングが目を引きました。
3年春にようやく頭角を現してきましたが、それでも思ったほどの成長を感じませんでした。
かえって高校を卒業して、社会人になってから急激に成長してきたと言えるでしょう。

数ヶ月前、彼の投球を久しぶりに見ました。沖縄電力とSORA沖縄の試合でしたが、左腕・糸数投手のあとを受けリリーフでの登板でした。それまでの沖電・糸数、SORA・高坂の投げ合いに目を奪われていたのですが(二人とも素晴らしい投手です)、上原投手の球には度肝を抜かれました。
145キロを優に超える速球は、まるでバズーガ砲のようにズドンと響きます。体全体を使ったバネのあるフォームは若々しさに満ちあふれています。本当に感動しました。
彼の素質もさることながら、あれだけの成長をみせたのはやはり努力の賜物だと思います。

平良幸一投手(元、西武)・新里紹也内野手(元、ダイエー)に続く三人目の沖電出身プロ野球選手の誕生を期待します。
そして速球派の多いヤクルトでも、負けずに一軍で成功して欲しいものです。

neogaia