きみどりの風

愛って何だろう、愛と体のつながりを覗いてみたい。そんな恋愛小説です。

74. 覚悟。

2010-10-07 20:12:48 | 恋愛小説
時間はお昼の12時を過ぎていた。

「ごめんなさい、もう帰らないと」
「僕が送りますよ」
「大丈夫です。遠いので」
「そんな、北海道ってわけじゃ
ないでしょ」
「軽井沢です」

「送ります。送らせて下さい」
「じゃあ、東京駅までいいですか」
「いえ、軽井沢まで」

友梨香は溜息をついた。

「分かりました。東京駅まで送ります」
「有り難うございます」

ジュンは靴を履く友梨香を
後ろから抱きしめた。
「僕たちは始まったんですよね」

友梨香は頷いた。

そして凛として言った。
「そんなに頻繁にはお会い出来ない
ですけど、連絡して下さい」
「え?あなたからは連絡を
もらえないんですか?」
「私もメールします」

「男ってメールは苦手なんですよ」
「私もです」

「僕、軽井沢に引っ越します」
「もう、そんな事」
「本気です。今僕の人生の中で
一番大事な勝負なんです」

「はいはい」

友梨香を乗せた車は東京駅に向かった。

東京駅の前、車を止めた途端に
ジュンが友梨香を抱きしめた。

「僕を置いて行かないで下さい」
「ジュンさん、又会いましょう」
「嫌だ、帰したくない」

友梨香は甘えるジュンを抱き締めた。

「ごめんなさい、子供が待ってるから」

ジュンは友梨香から離れた。
「そんな事言われたら」
「ごめんなさい」

「僕のライバルは息子さんか」
ジュンは外を眺めた。

「よし、息子さんを僕の
仲間にしてみせるよ」

友梨香は笑った。

「来週の日曜日、軽井沢に
訪ねていいですか?」
「いいですよ、喜んで」

「頑張るぞー、楽しみが出来たぞ」

友梨香はジュンを抱きしめた。
「お願い、軽井沢まで送って」
「了解です。お姫様」

ジュンは嬉しそうに車を出した。




にほんブログ村 小説ブログへ
ここを押して下さると励みになります。
よろしくお願いします。