「ハンギョン、俺6月に結婚するよ。約束通り来てくれるよな?」
結婚?
そうか…
俺の知らない間にお前の隣で微笑む人が居たんだな。
「ああ…もちろんだ。なんとかスケジュールを空けて出席するよ」
二年半前のあの頃は…
俺の隣で怒ったり笑ったりしてたお前だったのに。
二年ぶりのソウル。
タクシーのウィンドウから射す日差しが、初夏を思わせる。
四年前のこの頃だったよな。
エバーランドに行って、乗り物一つ乗れずに帰って来たのは。
あの時の緑色のリストバンドは、ベッドの脇のチェストの中に未だに大切にしまってあるなんて知ったら、お前は笑うんだろうな。
七年間過した街並みが流れるように窓に映し出される。
泣いたり、笑ったり、怒ったり。
今となっては辛い思い出なんか一つも残らず、いい思い出だけが記憶に蘇る。
「もう少しかかりますか?」
挙式時刻の二時をもう十五分も過ぎていた。
「そうですね、あと7,8分くらいかかりますね」
北京での乗り換えでどうしてもこの時間になってしまった。
「遅れてもいいさ。お前が来てくれるってだけで」
そうやってたまにお前から温かい言葉をもらうと、なんだかこそばゆくて。
「嬉しそうですね。お友だちの結婚式ですか?」
「はい。大切な友人のです」
そう…大切な。
重い扉を音を立てないようにゆっくり開くと、ちょうどお前が彼女のヴェールに手を掛けていたとこだった。
俺は一番後ろの席にそっと腰かける。
薄いヴェールの中から顔を覗かせた彼女は、お前に相応しくとても美しい人だった。
彼女の肩に手を置いてゆっくりと顔を近づける。
ドラマの一場面を見ているかのよう。
ぐっと胸の奥から何かが込み上げてくる。
嬉しさと寂しさは隣合わせなのか。
穏やかな光の中でステンドガラスがキラキラと輝いている。
二人の旅立ちをどこまでも祝福してゆくかのように、差し込む色とりどりの光が足元を照らしていた。
ウエディングロードをゆっくりとこちらに向かって歩いてくる。
お前とのラストステージでは俺たち二人、まるで今のような雰囲気で湧き上がる歓声の中歩いたよな。
俺だけが最後だと…
次は無いとわかってた、あの日。
俺が突然お前の前から姿を消して…
お前の心の中を闇が支配していったことを痛いくらいわかっていた。
でもあの頃の俺はそんなお前を救ってやる術すらなく、何度もお前にだけは告げてから出るべきだったんじゃないかって後悔ばかりしていた。
連絡を取ることすら許されない中、北京での公演の抜け殻のようなお前の姿に居てもたってもいられなくなり、俺はホテルへ向かった。
だが、もちろん会うことなんて許されることも無く、俺はホテルの外へと出された。
会って何を話せる?
そんなことわかっているけど、でも一目でいい、会いたかった。
会えず終いのまま…時が流れ。
お前のcyを読むたびに心が張り裂けそうだった。
恨んでもいいはずなのに…
お前はそんなこと一言も書いてくれなくて。
いっそ恨んで忘れてくれたら…と何度も思った。
二年前の誕生日。
お前はその日くらい俺から連絡がくるだろうと思っていたんだろう。
きちんと1時間の時差を加えて祝ってくれた。
それなのに俺は…
携帯を鳴らすことすらできなかった。
何を頑なに拒んでいたんだろう…
今となればいとも簡単なことだったのに、あの頃の俺にはとてつもなく大きな見えない壁がそこにあったんだ。
上海でのアンコール公演。
チャンスだと思った。
北京での大事な仕事の前、上海へ立ち寄るなんてむちゃはするなと言われたが、その仕事と同じくらい…
いやそれ以上にお前と会うことが俺にとっては大切なことだった。
「…ハンギョン??」
「ヒチョル、今ちょっと出られるか?」
夜中三時過ぎ、あの日以来片時も忘れなかったお前にようやく会えた。
「…ヒチョル、ごめん」
「バカ…あやまるなよ」
久しぶりに抱きしめたお前の温もりが柔らかすぎて、自分の選んだ道が間違えだったのかと思えるほどだった。
「自信持てよ」
失ったものの重大さはお前の方が大きいと思っていたのに…
いつでも頼って甘えていたのは俺の方だと気付かされた。
春の足音が少しずつ感じられるようになった頃。
それまでのことが嘘のように、俺たちは今まで通り連絡を取り合った。
離れていてもお前の中の一番は俺だと、そう思っていた。
とんだ自惚れだな。
「ハンギョン、ありがとう」
まるでサヨナラを告げるように、俺の横を通り過ぎるお前。
離れたくない。
そう思った瞬間、俺はお前の腕を取って走り出していた。
「お…おいっ、ハンギョン」
お前の声を無視して、俺は走り続けた。
通りに出てタクシーを捕まえると戸惑っているお前と一緒に乗り込み、
「仁川空港まで」
と、行く先を告げただけでそれから二人とも押し黙っていた。
お前も俺を見ようともせず、俺もただ目前に広がるソウルの街並みだけを見つめている。
ただ繋いだ手から感じるお前の温かさを失わないように、握りしめた手に力を込めた。
目的地 仁川空港に俺たちを下ろすと、タクシーは静かに次の場所へと滑り出した。
「ハンギョン…」
おしゃべりのお前がここまでの1時間よく黙っていたなと正直思っていた。
「ヒチョル、北京に行こう。そして、一緒に暮らすんだ」
お前と離れてからの二年半…
ずっと心の奥に閉まっていた言葉。
「ハンギョン…俺、帰らなきゃ」
不意に周りの音が消え、一瞬にしてあらゆるものが動きを止めた。
「ヒチョル…」
「ハンギョン、俺…」
「ヒチョル、それがお前の答えなのか?」
予期せぬお前の返答に激しく動揺し、まともに顔を見ることすらできない。
目の前が暗くなり、絶望が周囲を囲んだ。
そうだよな…
今日、お前は彼女と幸せな時を迎えていたんだ。
それなのに俺は…
「ヒチョル、ごめん…俺…勝手にこんなとこまで連れて…」
言葉に詰まった。
早くこの場を立ち去らないと、俺は今にも泣き崩れそうだった。
息を止めて、感情が乱れるのを堪えた。
「…幸せに…」
俺はそう告げて、踵を返し歩き出した。
「ハンギョン、待てよ」
いきなり後ろから抱きしめられた。
「ちゃんと聞けよ、バカ。…あれは、撮影なんだよ。お前にみんな会いたいっていうから…お前忙しくて、全然こっちに来る気配ないし。だから、ドラマのシーンに合わせて呼んだんだ。それなのにお前…」
ドラマの撮影?
…なんだよ、それ。
「ハンギョン…俺、今サイコーに幸せかも。お前の気持ちがわかって…」
「はぁ?俺、何か言いました?」
「言ったよ!言った!!『ヒチョル、北京に行こう。お前なしじゃ俺は生きられ…』」
「待てよ、俺そんなこと言ってない」
まわされた腕をほどいてお前の方に向き直ると、満面の笑みを浮かべたお前を抱きしめた。
愛してる、そうお前はつぶやくと俺の肩に顔を埋めた。
透明な光がまるでライスシャワーのように俺たちに降り注いでいる。
そこがどこであろうとも、もはや関係なく俺たちは時を忘れて幸福に浸っていた。
結婚?
そうか…
俺の知らない間にお前の隣で微笑む人が居たんだな。
「ああ…もちろんだ。なんとかスケジュールを空けて出席するよ」
二年半前のあの頃は…
俺の隣で怒ったり笑ったりしてたお前だったのに。
二年ぶりのソウル。
タクシーのウィンドウから射す日差しが、初夏を思わせる。
四年前のこの頃だったよな。
エバーランドに行って、乗り物一つ乗れずに帰って来たのは。
あの時の緑色のリストバンドは、ベッドの脇のチェストの中に未だに大切にしまってあるなんて知ったら、お前は笑うんだろうな。
七年間過した街並みが流れるように窓に映し出される。
泣いたり、笑ったり、怒ったり。
今となっては辛い思い出なんか一つも残らず、いい思い出だけが記憶に蘇る。
「もう少しかかりますか?」
挙式時刻の二時をもう十五分も過ぎていた。
「そうですね、あと7,8分くらいかかりますね」
北京での乗り換えでどうしてもこの時間になってしまった。
「遅れてもいいさ。お前が来てくれるってだけで」
そうやってたまにお前から温かい言葉をもらうと、なんだかこそばゆくて。
「嬉しそうですね。お友だちの結婚式ですか?」
「はい。大切な友人のです」
そう…大切な。
重い扉を音を立てないようにゆっくり開くと、ちょうどお前が彼女のヴェールに手を掛けていたとこだった。
俺は一番後ろの席にそっと腰かける。
薄いヴェールの中から顔を覗かせた彼女は、お前に相応しくとても美しい人だった。
彼女の肩に手を置いてゆっくりと顔を近づける。
ドラマの一場面を見ているかのよう。
ぐっと胸の奥から何かが込み上げてくる。
嬉しさと寂しさは隣合わせなのか。
穏やかな光の中でステンドガラスがキラキラと輝いている。
二人の旅立ちをどこまでも祝福してゆくかのように、差し込む色とりどりの光が足元を照らしていた。
ウエディングロードをゆっくりとこちらに向かって歩いてくる。
お前とのラストステージでは俺たち二人、まるで今のような雰囲気で湧き上がる歓声の中歩いたよな。
俺だけが最後だと…
次は無いとわかってた、あの日。
俺が突然お前の前から姿を消して…
お前の心の中を闇が支配していったことを痛いくらいわかっていた。
でもあの頃の俺はそんなお前を救ってやる術すらなく、何度もお前にだけは告げてから出るべきだったんじゃないかって後悔ばかりしていた。
連絡を取ることすら許されない中、北京での公演の抜け殻のようなお前の姿に居てもたってもいられなくなり、俺はホテルへ向かった。
だが、もちろん会うことなんて許されることも無く、俺はホテルの外へと出された。
会って何を話せる?
そんなことわかっているけど、でも一目でいい、会いたかった。
会えず終いのまま…時が流れ。
お前のcyを読むたびに心が張り裂けそうだった。
恨んでもいいはずなのに…
お前はそんなこと一言も書いてくれなくて。
いっそ恨んで忘れてくれたら…と何度も思った。
二年前の誕生日。
お前はその日くらい俺から連絡がくるだろうと思っていたんだろう。
きちんと1時間の時差を加えて祝ってくれた。
それなのに俺は…
携帯を鳴らすことすらできなかった。
何を頑なに拒んでいたんだろう…
今となればいとも簡単なことだったのに、あの頃の俺にはとてつもなく大きな見えない壁がそこにあったんだ。
上海でのアンコール公演。
チャンスだと思った。
北京での大事な仕事の前、上海へ立ち寄るなんてむちゃはするなと言われたが、その仕事と同じくらい…
いやそれ以上にお前と会うことが俺にとっては大切なことだった。
「…ハンギョン??」
「ヒチョル、今ちょっと出られるか?」
夜中三時過ぎ、あの日以来片時も忘れなかったお前にようやく会えた。
「…ヒチョル、ごめん」
「バカ…あやまるなよ」
久しぶりに抱きしめたお前の温もりが柔らかすぎて、自分の選んだ道が間違えだったのかと思えるほどだった。
「自信持てよ」
失ったものの重大さはお前の方が大きいと思っていたのに…
いつでも頼って甘えていたのは俺の方だと気付かされた。
春の足音が少しずつ感じられるようになった頃。
それまでのことが嘘のように、俺たちは今まで通り連絡を取り合った。
離れていてもお前の中の一番は俺だと、そう思っていた。
とんだ自惚れだな。
「ハンギョン、ありがとう」
まるでサヨナラを告げるように、俺の横を通り過ぎるお前。
離れたくない。
そう思った瞬間、俺はお前の腕を取って走り出していた。
「お…おいっ、ハンギョン」
お前の声を無視して、俺は走り続けた。
通りに出てタクシーを捕まえると戸惑っているお前と一緒に乗り込み、
「仁川空港まで」
と、行く先を告げただけでそれから二人とも押し黙っていた。
お前も俺を見ようともせず、俺もただ目前に広がるソウルの街並みだけを見つめている。
ただ繋いだ手から感じるお前の温かさを失わないように、握りしめた手に力を込めた。
目的地 仁川空港に俺たちを下ろすと、タクシーは静かに次の場所へと滑り出した。
「ハンギョン…」
おしゃべりのお前がここまでの1時間よく黙っていたなと正直思っていた。
「ヒチョル、北京に行こう。そして、一緒に暮らすんだ」
お前と離れてからの二年半…
ずっと心の奥に閉まっていた言葉。
「ハンギョン…俺、帰らなきゃ」
不意に周りの音が消え、一瞬にしてあらゆるものが動きを止めた。
「ヒチョル…」
「ハンギョン、俺…」
「ヒチョル、それがお前の答えなのか?」
予期せぬお前の返答に激しく動揺し、まともに顔を見ることすらできない。
目の前が暗くなり、絶望が周囲を囲んだ。
そうだよな…
今日、お前は彼女と幸せな時を迎えていたんだ。
それなのに俺は…
「ヒチョル、ごめん…俺…勝手にこんなとこまで連れて…」
言葉に詰まった。
早くこの場を立ち去らないと、俺は今にも泣き崩れそうだった。
息を止めて、感情が乱れるのを堪えた。
「…幸せに…」
俺はそう告げて、踵を返し歩き出した。
「ハンギョン、待てよ」
いきなり後ろから抱きしめられた。
「ちゃんと聞けよ、バカ。…あれは、撮影なんだよ。お前にみんな会いたいっていうから…お前忙しくて、全然こっちに来る気配ないし。だから、ドラマのシーンに合わせて呼んだんだ。それなのにお前…」
ドラマの撮影?
…なんだよ、それ。
「ハンギョン…俺、今サイコーに幸せかも。お前の気持ちがわかって…」
「はぁ?俺、何か言いました?」
「言ったよ!言った!!『ヒチョル、北京に行こう。お前なしじゃ俺は生きられ…』」
「待てよ、俺そんなこと言ってない」
まわされた腕をほどいてお前の方に向き直ると、満面の笑みを浮かべたお前を抱きしめた。
愛してる、そうお前はつぶやくと俺の肩に顔を埋めた。
透明な光がまるでライスシャワーのように俺たちに降り注いでいる。
そこがどこであろうとも、もはや関係なく俺たちは時を忘れて幸福に浸っていた。
興奮して帰宅したけど、なーんにもなかったのでそのまま爆睡してこんな時間に起きちゃった(><)
ヒチョリを結婚させるのゎホント辛くて…
やっぱりハンチョル飯の芹香にゎできないよー。だからオチつけちゃった、ハハ
愛の誓いも立てたから……
後ゎ嫁入りを待つばかりだよーーーーーー!
最初、「え?ヒチョルお嫁さんもらっちゃうの?」って、
ハンギョンが連れ去ったにしろ、
一度は誰かと結婚しようとしたのね・・・TTって悲しくなったのTT
でも違ったんだね~^^
例えお話の中ででも、2人が永遠に結ばれて私は嬉しいよ~T▽T