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Memory Loss Ⅵ

2009-10-09 | ☆記念FanFction☆
誰なんだ?

彼のあの哀しそうな表情が頭から離れない。

消え去ろうとするのに、日ごと彼が気になって仕方がない。



もしかして…ソウルに居た時のクラスメートかもしれない…

そう考えついた俺は、一ヶ月半しか過ごすことの無かったソウルの学校へと足を運んだ。

正門から校舎へと続く並木道。

韩庚…

またあの声が聞こえた気がして、辺りを見回したが誰一人いなかった。

事情を説明して、当時の在籍者リストを見せてもらった。

一人ひとり紙をめくると、短い期間ではあったが、なんとなく覚えている面々だった。

40枚にも上るリストの中からようやく俺は、彼を探し当てた。

でも…

なぜか彼だけどうしても思い出せない。

これだけの容姿なら目立っていたはずなのに…

【金希】

彼の名前らしい。

希…

希…

繰り返し彼の名を呼んでみた。

そのうち俺が昔失くしてしまった何かに彼が絡んでいるような気がしてきた。

そう。

ソウルから北京へと帰国した頃に、心の中にぽっかりと穴を開けていたもの…

思い出そうとしても頭がギリギリと締め付けられて、どうしても先に進まない何か。



居てもたっても居られなくなった俺は、北京へと飛び立った。

家に着くなり、自分の部屋に置いてあるありとあらゆるものをひっくり返してみた。

何か見つかるかもしれない…

そう思いながら、一つ一つの箱を開ける。

その中の一つ、黒い箱の中にロケットペンダントを見つけると、俺は手に取ってみた。

俺はその蓋をゆっくりと開けてゆく。

そこに見たものは…

俺と寄り添うように写る彼の写真。

希!

バラバラに崩れていたパズルが次第に形を戻していく。

どうして俺はお前のことを忘れてしまえたんだろう…

あんなに愛したお前のことを…

なぜ俺が調理師の道を選んだのか…

それはお前が、俺が作る飯がおいしいといつも褒めてくれたからだ。

再びソウルへと戻ったこと…

もちろんお前の帰りをあの場所で待つことだ。

韩庚…

その声もずっとお前が心の中で呼んでくれていたんだ。

それなのに、俺は…


AX



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