もしかしたら、説明は不要かも知れない。
これは最早、バックパッカーのバイブルと
言っても言い過ぎでは無い。
26歳の著者が、ヒッピーロードと言われた、デリー ~ ロンドン間を、
陸路(乗合バスだけ)で横断する事を考え、実行に移す話。
単行本は三冊
文庫版は六冊に収録されているが、
一番お気に入りなのは
やはり、文庫版の一巻「香港、マカオ編」。
麗儀の占い、重慶マンション、大小博打など、
面白いエピソードに溢れている。
後半(特に、ヨーロッパサイド)から、著者の精神は
落ち込み、内面に入って行く。
全てに好奇心と気力で立ち向かっていた著者が、
静かな情景と、理性的な世界、
秩序の保たれた社会に触れてゆくにしたがって、
生気を無くしていく姿は、痛々しくも切ないのですが、
その場面を好きな人もいるでしょう。
私はどちらかと言えば、前半部の香港、
マカオや、インドネパール編が好みです。
なんでも見てやろう、とにかく前へ・・・と言う姿は、未だに
世界を超えていくバックパッカー達を後押ししている筈。
「劇的紀行 深夜特急」と言う、TVドラマ?も好きです。
大沢たかお主演で、ドラマなのか、ドキュメントなのか、
境界線がはっきりしないモノなのですが、
実際に著者が通ったルートを再現し、
原作の持つ味を損なわないように造られた名作。
とにかく、面白い。
(と言っても、第一巻(熱風アジア編)はちょっとクサイ部分もありますが。)
深夜特急の著者、沢木氏の友人でもある、井上揚水が、
歌を作っているのですが、それがグッド!
「積荷のない船」と言うタイトルだったと思いますが、
アジアを旅する際に、カセットに入れていった・・・などと言う書き込みを、
アジア向けバックパッカーなどが集まる掲示板で良く目にします。
とにかく、深夜特急と言うのは、この手の旅を志す人のバイブルです。
「深夜特急でも読んで、世捨て人にでもなるか?」
などと、言われた経験があるくらい、
その名前だけは意外に知られているし、
ヒッピーカルチャーの旗手として、
槍玉に挙げられることも多々ありますが、
その内容を熟知とまでは言いませんが、噛り付くぐらいに読み倒した人は
私の周りには意外にも少なかったりします。
ある意味、古典であり、王道であり、聖典である。
そんな一冊なのです。
読んでない人は借りるなり、盗むなり、買うなりして
直ぐに読んで欲しい6冊です。