りおは軽度のデベソだ。
生きていく上で特に不具合はないそうだ。
何もない元気な身体に全身麻酔してメスを入れる。
現時点では親のエゴ以外の何者でもないけど、物心ついた時に人前で服を脱ぐようなシチュエーションでコンプレックスを持ってほしくないのが本音だ。
だからってこんなにも小さくて頼りない身体にメスを入れるなんて俺たちは残酷な決断をしたもんだ。
1歳児は麻酔で眠るまで付き添いの母親の腕に抱かれた状態らしい。
うつろな目をして意識を失っていく時に、嫁のゆうは涙が出たと語る。
よく頑張ってくれた!
俺なら号泣してるところだ。
無事に手術が終わり病棟の入口前で張り込みしてた甲斐もあり、ほんの数秒やけど、やっとりおに会えた。
見慣れたはずの寝顔も、なんかいつもと違う感じ。
当たり前か、強制的に意識を失わさせられてるんやからよ。
りおが目を覚ますころ、ようやく病室に俺は入ることが出来た。
いつもご機嫌でニコニコしてたあの笑顔はなかった。
目はつり上がり、ニコリともしない。
ゆうに対しては顔を近づけることを拒否していた。
多分やけど、ママが近くにいるのに朝から絶食のためご飯もらえず、抱っこされて変な部屋に連れて行かれて気を失ったから、ママに対して不信感が生まれてしまったのかもしれない。
何もわからないりお。仕方ないか。
でも、こんなに小さくても魂は宿ってて、わからないなりにも沢山のこと考え感じてるんやなと思った。
手術の日に退院となる。
家についてもママに対する態度は変わらずで、結局凄まじいストレスからの開放なのか、夕方、昼寝して結局朝まで起きてこなかった。りおもゆうも。
だけど翌日にはケロッとして、何事もなかったかのように、いつもの甘えたりおに戻ってくれてた(笑)
これはりおの優しさか?
水曜日の診察まで、何もなく過ごせたらいいな。