Parolibre

日々暮らしていく中で、いろいろ思ったこと感じたことを書きます

「英国王のスピーチ」観た、重厚な画面と地味なストーリーのアンバランスな取り合わせがユーモラス。

2011-03-21 19:52:33 | 映画
 六本木で観た、地震の影響なのか観客は2,3割ほど。


 英国王が実は吃音に悩んでいるという、置かれている立場からはとても想像できないパーソナルな悩み。ストーリーは吃音治療専門家ライオネルと出会うところから始まり、彼とケンカしながらも治療を続けて吃音を少しずつ克服していく様子が描かれています。

 地味なストーリーだけど、撮影場所や建物がイギリスらしく格式あってステキ。英国らしい古い町並み、英王室の正装や室内の重厚な様子が堪能できます。

 ナチスドイツに対して宣戦布告する重要な演説の直前、控えの間で練習を繰り返すけど緊張のあまり壊れていく感じがユーモラスで楽しいです。

 国王の二人の小さな娘エリザベスとマーガレットがおしゃまな感じでカワユス。国王に任命された直後、正装のまま娘二人を抱き締めようとしたら娘たちが会釈をして「閣下」と呼んだ時の国王の、なんともいえない表情がとても印象に残りました。

 重厚な画面と、ささやかなストーリー。ときどきクスリと笑う程度でストーリーは淡々と進んでいきます。ハリウッド的なジェットコースターのような派手さはないですが、これはこれでじんわり噛みしめながら観ることができるなあと思いました。服装や小道具なんかも凝ってそうだからそういうカルト的な楽しみ方もできそう、ワタシは興味ないけどね。



映画の本質的なものを、見せられた気がした。

2011-03-03 18:47:11 | 映画
というのも最近DVD借りて見たので。宅配レンタルってやつ、便利ね、今さらだけど。

 で、フランシス・フォード・コッポラ監督の地獄の黙示録をDVDで見たんだけど、コッポラならゴッドファーザーもあるけどそれも見ていてイントロのマーロン・ブランドが渋いけどネコ撫でてるのがかわいいなあとか思って結構好きだったけど今回は地獄の黙示録の方の話です。

 地獄の黙示録はベトナム戦争を題材にしてて途中で画面に映ってる死体が実は本物だったとか物議を醸しだしたことを知ってた程度で映画自体は初めて見たんだけど、なんちゅうのか一番驚いたのが戦闘シーンだったのね。

 撮影場所がベトナムかどうかは知らないけどキレイな海辺で、wikiで見たらフィリピンでした。そこで戦闘機やらヘリやら陸上部隊やら弾丸やらミサイルやら入り乱れてのド派手な戦闘だった。で、派手なのに驚いたというよりはコレ全部実際にやってんですかあ?!というところに一番驚いたんですよ。

 1979年の作品だからCGはまだ全然使われていないはず、海辺のすぐそばにあるジャングルに爆薬仕掛けてバカスカ火柱あげて文字通りジャングルを火の海にしてひぇぇえっ、コレ全部本当に爆発させてるんですかあ!燃やしてるんですかあ!すげえ!って。今じゃ絶対できないよね、環境破壊だ!って非難されるし自然保護団体が押しかけてきて撮影中止させられるよね今なら絶対。

 そういう自然保護運動が当時はユルかったからこんなすごい事もできたんだねえ、今はほとんどCGに置き換わって妙にリアルで精巧でキレイすぎる画面を見ることができるけど、地獄の黙示録ではすごい生の迫力みたいなものを感じました、たぶん脳内補完されてるんだろうけど、これホントにやってんだあ!ってことで。

 で、見終わった後になんていうのか映画って消費なんだ放蕩なんだ浪費なんだってことを地獄の黙示録を見てじわーと感じたんです。お金を使い人を使いモノを使い時間を使いそれだけでなく技術やアイディアやありとあらゆるモノをつぎ込んで作り上げる、地獄の黙示録じゃ大自然もつぎこんで消費する、それって創造してるのか破壊してるのかどっちなのって。なんかすべてのものを平気で飲み込み喰らい尽くすリバイアサンみたいな化物のような感じがした、映画すげーって。

 リヴァイアサンはちょっと言い過ぎかな、どっちかっていうとフェニックスみたいな感じ、すべてを灰にした後に火の鳥みたいによみがえる。映画がヒットしたらつぎ込んだお金を遥かに超えるお金が戻ってくる、自然は戻らないけど。

 そういう激しさは映画館でアバター3D観た時も漠然と感じていて、アバターでは主人公達が会話してる背後のロボット達まで緻密に動かしてたり惑星パンドラの動植物たちが画面の隅々まで作り込まれて乱舞してたりしてたぶん一回観ただけでは捉えきれないほど膨大にリアルに動いていてそういう過剰すぎる作り込みとか信じられない手間暇のかけ方がなんかもうある種の狂気まで感じたんです、そこまでやるんかい!って。

 だから映画を作るってもう浪費の限りを尽くすというかそれはもう祝祭のようなものかなあって思ったんですよね、映画とは現代の祭りだ!って。祭りでは狂気を消費するのだ、祭りでは全てつぎ込んで祝うのだ皆の衆飲めや歌えや騒げやなんでもアリや!って。

 あと話は変わるんだけど、アルフレッド・ヒッチコックも見た。こちらは近所の図書館にDVDが置いてあってそれを何本か借りて見たんだけど、ヒッチコックの頃ってたぶんアイディアが1つか2つあればそれで映画作れたんだねってことが分かった。サイコも鳥も知りすぎた男もビックリするようなアイディアがあってそれを元に映画が作られてるけど、今の映画だとそれじゃ足りなくてアイディアが5つも6つもあるいはそれ以上いる、ストーリーも複雑でオチも二段構えや三段構えだったりする。

 なんで今の映画はこんなに複雑になったんだろうとぼんやり考えていたらそれはやっぱりバック・トゥ・ザ・フューチャーあたりからなんでしょうか、とワタシ的には思います。さりげなく伏線張りまくって途中で回収しながら最期に大オチをつけるというようなシナリオが大受けして、これ以降の映画が一挙にストーリ複雑系全開になったのかなあ、と。楽しいんだけど疲れもします、でもやっぱすごい。ハリウッドすげーってことで話はこれでおしまい。



「沈まぬ太陽」見た。さすが大作、最後までちゃんと見た。

2011-02-11 23:16:47 | 映画
日テレで午後7時から放映してたのを全部見ました。
3時間を超える映画を、ノーカットで放映するという力の入れよう。
ジャンボ機CGが安っぽかった程度で、大作というのはよく分かった。
CM入って休憩とれたんで、長くても全然疲れなかった。

見終わった感想。

御巣鷹山ジャンボ墜落事故の後、棺が整然と並べられているシーンはドキュメンタリーでもないのに涙がでてきました。
後半は社内抗争や不正を暴いていく過程が面白かったですが、ミステリーじゃないのでラストの逆転劇はアッサリしたもの。でもそこがメインじゃないというのはよく分かってるつもり。

渡辺謙さんの演技は素晴らしくて見事でした。でも恩地というキャラに全く共感できなかった~
会社に強く物申すくせに、辞令にだけは愚直に従う姿勢が全然理解できない~
さっさと会社辞めればいいのに、と何度も思いました。
辞めたら映画も小説も終わっちゃうけど。(笑)
「信念を貫いた」といっても、結局会社を辞めてまで逆らう根性はなかったわけで。
もったいないねえ。

労働や会社に対する考えが、決定的に違うんですね。
息子役の克己が言ってましたが「お父さんの世代と僕らじゃ違うんだよ」って。
冒頭の労使交渉を見ると、JALが破綻した元凶は過剰な要求を突きつけた労使紛争も一因なのかなあと思っちゃいました。
過酷な労働条件云々といっても、パイロットってめちゃくちゃ恵まれてるのに何言ってるんだろう?ってね。

この映画見て、就活に苦しむ学生やフリーターや派遣社員が、感動して涙するのかなあ?
いま十代や二十代だけでなく、三十代でも全然共感できないんじゃない?

あと赴任先のカラチ、テヘラン、ナイロビを「とばされた」とか上から目線だったのがそのうち問題になりそうな気がします。





「ソーシャル・ネットワーク」観た。ハイテンポでついていくの大変だったけど面白かった。

2011-02-01 18:23:53 | 映画
六本木ヒルスで。

一つ一つのショットが切り詰められていてシーンがバンバン変わっていくので、テンポいいというよりハイスピードでストーリーが進んでいきます。
字幕もかなり多く、必死でストーリ追いかけているうちに途中どうでもいいやというアキラメの気分にも。

主人公のマーク・ザッカーバーグは自分が立ち上げたサイト「フェイスブック」をクールにするのに夢中なだけのただのプログラミングおたくというような雰囲気。金も名誉も関心ないけど実は他人の気持ちにも無頓着。その結果の果てに訴えられちゃった。それって人間関係に無神経なマークが悪いのか、欲にかられた周囲の人間や侮辱されたと感じた元カノや騙されたと思いこんだ「親友」が果たして悪いのか、さあどっち?

途中で出会う、ナップスター創業者ショーン・パーカー役の変人奇人ぶりは笑いました。でも何故か言う通りにしてしまう、マークの不思議ちゃんぶり。天才は天才にしか分からないってこと?

インターネットのおかげで発展や成功があまりにも急激すぎるために軋轢や対立も激しくなる現代のアメリカン・ドリーム。それって本当にシアワセなの?ってとこですか。

名門ハーバードの学生がアホで幼稚で傲慢で女の子のことしか頭にないように描かれてるのはまあフィクションですからねー
大学内のフェニックスとかいう特権サロン的な会員クラブのネーミングがなんかイマイチな気もするけど英語圏内だとそうでもないのかな?
有名人になったマークや共同創業者&CFOエドゥアルドに下心丸見えで近づくお尻の軽い女の子役がアジア系だったのがちょっぴりひっかかった。
敵役の兄弟から滲み出る傲慢なエリート意識とかは、敵役として分かりやすい。
ハーバード学長の「ハーバードの学生は仕事に就くのでなく仕事を創りだせ」という主旨のセリフには、ををっ!さすが起業家の国っ!と思いました。

慌ただしい映画だったけど、なんだかんだで最後まで集中途切れず一気に見れました。
結構遅白かったよ。



映画「トロン:レガシー」観た。クールでかっけー。

2011-01-02 20:50:32 | 映画
正月早々、六本木ヒルズで観ました。
IMAXじゃないけど、まあいいか。

前作のTRONって、なんか世界で初めて映画にCG使ったってことで、そのCGシーンをTVで見たことがある。

グリグリ動くオートバイ(ライトサイクルだっけ?)に、なんとなく、光瀬龍の小説「百億の昼と千億の夜」に出てきた「虚数世界」という言葉を連想しました。
今考えると凄いローテクなんだろうけど、この世に存在しない世界が目の前で動いているっていうのにちょっと驚いた。

それって、ちょっと前まで「バーチャル」と言われてたっけ。
虚数世界がバーチャルってことだったんだね。

ええと、「レガシー」の方。
最初は3Dでないシーンが30分ほど続いて、なんか重い3Dメガネかけてる意味ないなあと思ってたら、主人公のサムがTRONの世界に入った途端ずぎゅうううんと一挙に3D世界へ。

をを、カッコイイ!

シンプルなラインで構成された世界に、シンプルなラインが光るスーツ。
センス良くてクールですごくカッケー。

でも凄かったかと言われると…
うーん。
3Dだと、もう極めつけの「アバター」があるからねえ。
さすがにアバター程の衝撃はないです。
シンプルな分、3Dになっても迫力が出ないし。

ストーリは二十年前に失踪したお父さんを追ってサムがTRONの世界へ行くという話なんだけど、映像がシンプルなだけでなく、ストーリーまでシンプル。
特にヒネリも伏線も無く複雑な設定もなく、途中寝そうになりました。

まあキレイな映像見れたんで、そこは凄く満足。



映画「ノルウェイの森」を観た。遅すぎた映画化。

2010-12-14 20:19:49 | 映画
六本木ヒルズで観ました。
平日のせいか、けっこう空いてました。
いや、公開されたばっかなのに客席が2,3割しか埋まってなかった。
この少なさは、かなり不入りな気がします。

映画の印象、ファーストインプレッション。やたら歩いているねえ。
特に直子とか、歩きながらの長い長いセリフ回し。
ミドリも、ワタナベ君が初めて自宅に来たときは家の中をよく歩いてたなあ。

全体を見た感想。映画化、遅すぎたよね。

ワタナベ君役の松山ケンイチは、無口だけどなんかありそうな感じは割とよかったと思う。「もちろん」とか言う口癖のようなセリフも、松山ケンイチが喋ると、いい感じに響いた。
直子役の菊池凛子は、舌っ足らずで見た目より幼い喋り方が、現実にうまく合わせることができない女性という印象を受けました。
緑役の女の子はお人形さんみたいでカワユスだし、ナガサワ君は当時らしく古いタイプのイケメン野郎という感じがよく出てた。
レイコさんは原作ではまだ若いのに皺くちゃというイメージだったんで、とってもキレイな方が役を演じてましたね。

俳優さんたちは、ステキでした。

あ、あと意外な処で糸井重里とか高橋幸宏とか出演してたので笑っちゃいました。
エンドクレジットで細野晴臣もいたのに気づきました。レコード屋のオヤジだって。変装というか仮装してたので、分からなかった。(笑)

ストーリーについて。60年代の大学生活なんて、私にはリアリティなさすぎ。
こんなの、今五十歳後半の人でないと共感できないんじゃない?
それに、原作のセリフが元々映像に向いてないと思う。
「濡れてる」とか卑猥でもチープでもないけど、なんか言葉自体がセンス良くない。
直子が「あなたの存在が、私を苦しめるの!」と泣き叫ぶ時の「存在」という言葉も、なんかピンとこなかったです。
下手すりゃ昼メロのどうしようもないドラマになりかねなかったよ。
あ、菊地凛子さんが悪いと言ってるわけじゃないです。

直子がいる療養所も環境といい拘束レベルといい、とっても恵まれてるね。
どうやら直子は幻聴が聞こえる症状だったみたいだけど、現代の子供たちが抱えている不安や悩みや苦しみは、20年前より深刻に複雑になってる気がする。

映画自体は原作のイメージをそれほど損なってないんじゃないかなあと思います。
でもこの映画みて喜ぶのは、60年代に大学生だった人だけじゃない?
原作の初出が1987年ですから、20年以上前の小説です。

当時、「ノルウェイの森」が大ヒットしたというのは知ってますし、ワタシも随分前に読んで、いっぱい人が死んでセックスして、それなりに面白かったけど、村上春樹だったら「世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド」や「海辺のカフカ」の方が好きだったし。
同じ映画化でも、「トニー滝谷」の方が、静かでクリアな感じがとても良かったです。

これって、90年代に映画化してて、今リバイバルで見るんだったら丁度いいのに。
それが今回初めての映画化。監督も役者さんも良かったけど、今頃になって映画化したことが、監督や俳優さんの真摯な努力にも関わらずズレにズレまくった感じがします。

なにもかも遅すぎた、ノスタルジックな映画でした。



「悪人」観たよ!

2010-10-14 19:40:31 | 映画
六本木の映画館で観たけど、4、50人位しかいなかった。平日のせいもあったかな。

舞台が福岡、長崎、佐賀ということで母方の祖母が九州のワタシとしては方言が懐かしく、微妙な違いも楽しみながら観ることができました。
佐賀弁をしゃべる深津さん、カワユス。

深津絵里さんは化粧っ気のない地味な役回りで、アップだと意外とソバカス多いしホクロもチラホラと。
でも目鼻立ちが整っているので、すっぴんでも、とってもキレイです。
最初、妻夫木さんが来てた深紅のフリースを、途中から深津さんがずっと着ているのがいじらしくて、またカワユス。
終盤で妻夫木さんに首を絞められ涙と鼻水でお顔がぐちゃぐちゃになっても、やっぱりキレイ。

深津さんばかりでなく、樹木希林さんも田舎の垢抜けないおばちゃんそのものって感じで、ごくごく自然に映画のスクリーンの中でトコトコ歩いているのがすごいです。
妻夫木さんが殺人を犯したと知った後のどこか焦点の合わない遠い目も、年季を感じさせます。
柄本明さんもシブイというかダサい田舎の親爺丸出しって感じで、セリフは少なくても不器用な性格を全身で表現しててこれまたすごいです。

ほんと、しなびた田舎に住むしなびた人々、という寂しさが最後までスクリーンにたまらなく溢れてました。

俳優さん達は、汚れ役の岡田将生くんも、殺され役の満島さんも含めて、どなたも素晴らしかったです。
でも、ストーリーでどうしても納得できないことが…それは、
出会い系サイトで出会ったオトコを、ホントに本気で好きになるんかい!
ということ。

妻夫木さんも深津さんも他の俳優さんも皆素晴らしいのですが、そこだけが引っかかって、結局最後まで感情移入できませんでしたね。

妻夫木さんはエアロパーツにウイングにホイールに爆音マフラーというDQNスカイラインを乗りまわすDQNな役回りなんですが、DQNって、もっと頭悪そうでないといけないのに、妻夫木さんだとカッコ良すぎて似合わない。

本来の爽やかな妻夫木さんから考えると茶髪にしたりして見間違えるほどなんですが、もともと持ってる品の良さとかオーラはなかなか隠せないのでしょうか…
それに激しい内面を抱えた役どころが、やはりDQNと思えない。
指先の爪が真っ黒とか細かい役作りを工夫されていて演技そのものはすごいなあと観ていましたが…

うーん。

深津絵里さんも、華やかなこと楽しいこと何一つない生活で、初めてオトコとデートするような無邪気な可愛らしさが出てて胸がキュンキュン鳴るのですが、小さい頃から国道沿いでずぅーっと過ごしていて…というセリフを聞くと、
なんとなく、誰でもいいから本気の恋をしたいと考えたんじゃないの?と思ってしまいました。

寂しさから出会いサイトに電話してそこから殺人を犯した妻夫木さんが悪人なのか、殺人犯を好きになって一緒に逃げた深津さんが悪人か山奥に女の子をほっぽり出した岡田くんか妻夫木を逆恨みした女の子か、などという当たり前のことをツラツラ書きたくないなあ。

出会い系サイトに縁のないまま楽しい人生送ってるワタシにとっては、遠い遠いこぐま座星雲の超新星爆発のような夢物語に聞こえます。

深津さんはモントリオール世界映画祭で最優秀女優賞を受賞されて、たぶんラストの首絞められる演技あたりが最大のポイントだったのかな、と推察しますが、それでも映画を観終わった感想はうーんと首をひねる結果に。

深津さんも妻夫木さんも、すごく良かったんだけどねー


借りぐらしのアリエッティを、やっと見た。

2010-10-05 08:50:40 | 映画
公開から3ヶ月近く経ってからの鑑賞です。遅いなあ…
世間から遅れている自分が、愛おしい(笑)。

渋谷の映画館に行ったのですが、もう空いているかなあと期待して行ったら、それなりに混んでました。
席は7、8割ほど埋まってたかな。

お客はママに連れられたお子ちゃま達が多かったです。なるほど。
お子ちゃま、元気なので映画に集中できるかちょっと不安だったけど、大丈夫でした。
子供は、なにか登場するたびに「出たあ~!」と声に出すので、微笑ましいですね(笑)。
途中でちょっとグズる子もいましたが、それほど気にならず。

観た感想。ポニョやゲド戦記より好きかも。
家の中のものを、アリエッティ家族が自由自在に使いこなしてる様が、楽しい感じです。
角砂糖を取りに、家の中を探検しに行くシーンとか。
お父さん、すごい重装備でプロの登山家か探検家みたいで、頼もしかったですね。
他にも、虫ピンを剣として使ったり、
洗濯バサミを髪留めにしたり、
アリエッティから見ると超特大のクッキーを、ゴツッと割って粉にしたり、
コビトの微笑ましい暮らしぶりが、楽しかったです。

ダンゴムシが出てきたときに「王蟲の幼生だ…」とつぶやたのは、ワタシだけでしょうか。(笑)

ストーリーは淡々としてるし派手なシーンとか無いのですが、人間には何でもないことでも、
コビトのアリエッティ達から見たら大事件だったりするので、面白かったです。

ええと、監督は宮崎さんじゃなくて、新人さんなんですよね、マロとか呼ばれてた人。

茎をよじ登っていくシーンなど、何気ない動きもきめ細かく表現してあって、凄いなあと感心するのですが、ロングショットだと庭の中をチマチマとしか動いてないように見えたのが、ちょっともったいない気も。
アリエッティ達の小ささを表現するためなんでしょうが、動きの見せ方がどうしても地味めなので、
凄さに気づかない人多数のような気がします。
丁寧な努力が、微妙に理解されないような。

宮崎さんだったらアリエッティの立ち位置とか見せる角度とかスピードとか、緩急つけて工夫してたろうなあ、などと思ってしまいました。
リアリティを大切にしつつ、アニメーションならではの嘘を織りまぜた二次元上でのリアリティを出す、みたいな。

あと、ワタシ的にはサービス精神がもうちょっと欲しかった気が。
映画って、やっぱりエンターテイメントですもの。
例えば、アリエッティが猫のニーヤに追いかけられて家の中のものを使って間一髪で逃れる、というようなシーンがあっても良かった気がします。
まるでトムとジェリーみたいですが(笑)。
どうしても、全体的に地味だった感じがするんですよねー

しょうがないかな、そんなマニアックなこと気にする人の方が少ないだろうし。
子供は喜んでたから、いいか。




インセプション

2010-08-14 19:24:13 | 映画
インセプション観た。

いかに映画を安く観るかに熱心になって、探してみたら毎月1日の映画デイ以外にもいろいろあるのよね。
女性は水曜日が1000円になる映画館が多いので基本的にオトク。
男性も、探せば月曜日とか木曜日が男性デイの映画館がある。さすがに少ないけど。
それ以外にもちょっと前だけど映画によって着物着てきたら1000円とかジャージ着てきたら1000円とかいろいろあったなあ。
仮装けっこう面白いけど恵比寿にジャージで行くのは嫌だったから観に行かなかったけど。
映画館の割引情報をよく読むとたまにこおゆう愉快な条件が載ってたりしますから丁寧に読みましょう。


ええと、インセプションの話。

複雑な話だよと聞いていたので最初から心して観てたが・・・もいっかい観ないと分からんかなあ。
オープニングでああこれ3Dじゃなかったねとあらためて気づく有様。
アバターの後遺症まだ引きずってます。
街がひっくり返るシーンとか3Dで観たかった気もします。

伏線がぶっきらぼうに最初ッから張り込んであるのでなんのこっちゃとハテナ点灯しまくる羽目になるけど、派手なシーンも多いので分からんけどなんか面白いという気分に浸れます。
富士Qのええじゃないかが足元が見えるというのがより不安感を煽るとかの心理面の話とか回転の角度とか仰角とか考えなくても怖いのと同じかな、いややっぱ違うか。

でも夢の中にどんどん潜っていって第3階層まで深くなるともう、実際に自分で見る夢が脈絡なく登場人物や舞台が変わっていくとこと似てるような気がする。
これ第何階層だっけって分からなくなって混乱して現実なのか夢なのか見分けがつかない感じ。
これ狙って作ってるのかなあ、凄いなあ。

個人的にはコマを回すシーンが好きで印象に残った。
けっこう繰り返し出てくるのできゃあまた出たとか喜んでましたが、これも、ちゃああんとオチがありました。
ハリウッドって、面白いんだけどめんどくさい映画増えたね。

観終わった感想。
これ例えば浮気現場を見つけられたときに、これは夢なんだああこの女はお前の潜在意識なんだ、投影なんだ、なああんて言い訳が通用するのかなあとぼんやり考えたけど、まあ無理ね。



映画「告白」を見た。どっかああんで邪悪なカタルシスを。

2010-08-03 09:54:42 | 映画
映画「告白」を見た。今頃。
旬の時期をあえて外して観に行くのが、ワタシのスタイルです(笑)。

観る前は、娘を殺された教師役の松たか子が犯人を突き止める謎解きミステリーなのかな、と思ったけど、最初の30分くらいで、犯人はあっさり分かっちゃいます。
あれ?この後どうなるの?と思ってたら・・・

メインは松たか子の復讐劇だったんですね。
でも松たか子の登場は冒頭の30分だけで、後はラストまで出てこなかった。
その間は登場人物たちの「告白」によって、事実が少しずつ明らかになっていくという・・・
なかなか手のこんだストーリー。
でも、面白かった。
ドキドキして、全然退屈しなかった。

予告CMで見た松たか子の「どっかああん」というセリフ、そういう事だったんですねえ・・・
CMを見たときは、松たか子にしては似合わないセリフ言ってるし、無理に悪ぶってなんか軽いなあ・・・と思ってた。
ちゃんと、意図したものだったんですねえ・・・
松たか子、恐るべし。
監督も、原作も。

木村佳乃も凄かった。
少年Bの母親役なんだけど、息子を盲目的に溺愛する役で、その溺愛っぷりが堂に入ってて凄みがあった。
自宅の壁が真っ白だったのも、すごく不気味な感じがして印象に残った。
ラスト近くでは木村佳乃の鮮血が、白い壁にとっても映えてました。
カノジョって、「全然大丈夫」のドジ子ちゃんぶりが可愛くて、ひょっとして天然かもかもと思ってたけど、違うんですね、演技なんですね。当たり前か。
女優、恐るべし。

この映画では、どす黒いカタルシスをたっぷり味わったなあ。
ワタシの中の邪悪な部分が、狂喜乱舞しましたよ。
西友のCMで流れてるクレイジーケンバンドの「1107」がリフレインしながら、脳内で踊り狂ってましたよ。

この映画は「命は大事です」というスローガンみたいに繰り返し語られる言葉に対する、アンチテーゼみたいな映画です。

い・の・ち・は・だ・い・じ・で・す

と、九文字で伝えられるほど、命は軽いんですか?
命は大事と言ってるくせに、いじめられ続ける「私」の自尊心や存在意義は、大事ではないのですか?
そういう言葉にならない叫びが溢れているこの国に、いじめた奴らを、いじめられたコと同じくらい追い詰めて何が悪い!と一石を投じる、野心的な映画(あるいは原作)だと思います。
たぶん。

アバターショックで、最近は邦画を観に行く情熱が相当くじけてたけど、こおゆう映画が出てくるんだったら、邦画もいっぱい観なきゃ!
という気になります。