おらと煙は・・・  ~ Diary of  ”Maikuru” ~

高い所が好き。山の頂上で食べるラーメンが大好物。
密かにアクティブ宣言した勘違いオヤジの日記。

薬莱山

2014年07月13日 | 山歩き
平成26年7月12日(土)     晴れ





(行程)

  出発(14:14) → 登山口(14:26) → 階段1段目(14:30) → 階段706段目(14:56) → 神社(15:01) → 展望広場(15:06) → 山頂(15:10-15:15) → 林道(終点)(15:35)



 台風もなくなり、大雨による被害に遭われた方々にお見舞い申し上げます。

 長野県の土石流の映像を見ると、ちょっと気軽に山間部には近寄れない感じがしておりました。


 が、久々の休みといい天気にお出かけしないわけにはいきません。比較的雨の少なかった宮城県なら山歩きにも行けるかな?という事で、東北百名山の本を開いたところ1時間ほどで登れる手軽な(?)山を見つけました。2時間半もあれば周回できそうです。どうもここはリゾート開発されたところで、温泉や花のガーデンなどがあり妻とそちらも楽しんでこようというセレブなお出掛けイメージです。結局は出掛けた時間が遅かったうえに意外と到着までに時間がかかり、また夜に寄り合いがあるため、案の定時間押せ押せの余裕のない行動となりました。


 目的地は「薬莱山(やくらいさん)」、宮城県加美町という古川の西側の町にある、別称”加美富士”と呼ばれる山です。10時過ぎに山形市内で用向きを済ませ、国道13号線がなかなか進まず天童のガソリンスタンドを出発したのが11時でした。ガソリンも高くなったので、エコドライブしなくてはなりません(出掛けない方がいい?)。関山峠をすんなりと抜け仙台市広瀬より国道457号線に抜け、信号の少ない道路を色麻町までスイスイと進みました。ここから国道347号線にショートカットして入るのですが、そろそろ1時なので昼食にしなくてはなりません、が、道中飲食店がありません!失礼、たぶん探せなかったのでした。


 1時半前にやくらいに着いてしまいました、なんかあっけない到着でした。途中、加美富士の姿をパチリ



バブリーなリゾート地を想像していたので2,000円位の洋食を覚悟していたのですが、産直センターの様な所に食堂がありラーメンやうどんなどが食べられる店がありました。炎天下エアコンなしの車内で過ごしてきたので、ラーメンで塩分補給しここぞとばかりに水をたっぷりと頂いてきました。食堂内に「ご自由にどうぞ」というやくらいのパンフレットがあったので手にとってみると、載ってます、薬莱山。以下引用、文章を入力してみます。

タイピングの練習(標準時間:5分)
「標高553m。加美富士と称される秀峰「薬莱山」。薬莱山の由来は、奈良中期に痘瘡病が流行したので、薬師如来を山上に祀ってからという説と平安時代に坂上田村麻呂が山に向かって矢を放ったところ、その矢が見えず、山が矢を喰らう山・・・「矢喰山」という説等があります。」

だそうです。本の情報では700段位の階段を登って平坦な道を歩くと山頂に着くみたいなので、山寺を制覇した事のあるおらには楽勝な山なはずです。唯一の不安は暑さぐらいでしょうか。


 「やくらい薬師の湯」や「やくらいガーデン」の場所を確認し、妻に下山後待っててもらう林道を覚えてもらいました。山歩きの間妻は温泉に入り、1時間半後下山の時間に合わせて林道で車で待っててもらう計画です。暑いので省エネです
 やくらいガーデンの駐車場に到着。近くに止めた車の人が、鳥居をくぐりスキー場の脇を歩いていきました。




 2時10分、靴を履き換え、マラソンランナーのごとく腕時計で時間を確認し登山口へGo!と勢いよく一歩踏み出したところ、例の切なさと共に下っ腹がゴロゴロいいだしました。ラーメン食べたばっかりだし、冷たい水もガブガブ飲んだせいかな?何で山に来るといつもこうなるんだろう?とクネクネしながら周りを見渡すと、なんと登山口にトイレがあるではありませんか。かゆい所にも手が届くこの気遣い、ありがとうございます!







2分後、清々しい気持ちでトイレのドアを後にし外の爽やかな空気の中で、身も心も軽くなったおらの前に「獣魂碑」なるものが立っているのが目に入りました。



戦没者のクマの慰霊とは考えにくいですが、どういういきさつで建てられたものなのか説明書きがないので解りません、ですがめずらしい名前の石碑です。この先、もしかして黒い人(獣)がいっぱいいるのでしょうか?




 出発時間をリセットして2時14分鳥居の前をスタートします。脇にある案内看板を見ると、鳥居の先に続くまっすぐなアスファルトの道とその左側に遊歩道が沿ってあるようです。一応鳥居はくぐっておいて、アクティブでワイルドな人間は迷うことなく遊歩道を歩きます。



道のわきには小さな白い花やそれに蝶や蜂等の虫がついています。特にチョウチョがたくさんいます、そんなメス(?)のチョウチョに囲まれて幸せな気分で遊歩道を歩きました。実は下山するまでずっとチョウチョと一緒(個体は違うと思う)でした。





やがてアスファルトの道と合流すると、その先に鳥居がもう一つ見えその下には登山口の看板が見えます。アクティブでワイルドなつもりで結構汗をかきながらここまで来ましたが、本番はこれからのようです



 鳥居をくぐり登山道に入ります。右側に駐車場のような広場が見えました、ここまで車で来れるようです。登山口から中に入り杉林の中を少し歩くと、こんな看板がお出迎えしてくれました。



本で読んだ階段の始まりのようです。これでグイグイ高度を稼げるはずです。まもなく次の看板が。



50段づつ看板を設置してくれております。が、この時点で身体に異変を感じました。息が苦しいです、汗がダラダラです。山寺を制したはずのおらの脚がプルプルいっています。甘くみていましたが、久々の山歩きなので仕方ありません。そして目の前の階段を見ると、



ノォー!胸の1メートル先の高さにはこれから3歩目で足をかける階段があります。キツ過ぎるだろ~!どっこいしょ、どっこいしょと一歩一歩登りますが、視界に入ってくるのは、



どこまでもどこまでも永遠に階段が続くかのようです。キツすぎます。もおイヤだ!帰る!と子供のように心の中で駄々をこねてみましたが、妻の携帯は電源切れだったし、3時半に下山予定の林道で待っている約束なので、何ぼイヤでも引き返すわけにはいきません。軽く登れてチョロい山だと思ってきたのにこのザマです。今の自分を受け止め、スピタレモード全開でノロノロと歩きました。一応脇を歩けば階段を使わなくても登れるのですが、アクティブでワイルドな男のプライドと階段を設置してくれた方への感謝の気持ちがそれを許しません。そんな弱い心では修業(何の?)になりません。
 途中から花の女子たち(?)が応援してくれます。








 途中でおらより先に駐車場を出て行った方が休んでいて、先を譲ってもらいました。結構年配の方ですがおらよりも更にゆっくりペースです。ゆっくり歩いても意外と進むもので、山の歩き方がなんとなく分かってきました。暑さがハンパなく、昼食に食べたラーメンと冷たい水で採った分の水分をトイレで失ったので脱水にならないよう、2リットルのペットボトルの水を飲みながら階段を登ります。終盤、下と上に看板が見えます。勾配も緩くなり道も曲がりくねっていないと50段なんてこれぐらいです。




 ガマンにガマンを積み重ね、やっとの思いで階段の最終地点に辿り着きました。おめでとう、自分。




 ここからは平坦な尾根歩きです。



下界の景色が見えそうで見えないので気になります、チラチラ見えるものに弱い自分です。やがて最後の一登りを超えると、



神社が出迎えてくれました。お賽銭を上げようと財布をポケットから出していると、途中で道を譲ってくれた方が立ち止まらずに先へ歩いていきました。お参りの後、脇に看板が設置されておりましたので見てみると、



ザワッと背中に冷たいものが走りました。看板の下の石祠に異様な感じがします。何だろうこの感じは?と思っていると石祠が動いています。というより祠の前の景色が横に動きました。何だ?

「イヤァー!」

おらが黒い人の他にもう一つ苦手な、長い人がいるようです。



勇気を振り絞ってズームして撮ってみました。その立派な模様はマムマムくんでしょうか?まさかおらをその鋭い眼と牙でロックオンしていないですよね?近くにいると思っただけでゾクゾクします。急いでその場を逃げ去りました、何度も後ろを振り向きながら。


 間もなくするハサミが飾られた姥様がありました。恐い顔ですが、さっきの長い人よりはマシです。




 また少し進むと、方位盤と望遠鏡のある展望台に着きました。おお、いい!







田んぼの明るい緑と木の黒っぽい緑、その奥に市街地が小さく一望でき、とにかく緑が印象的な景色です。標高はそんなに高くはないけれど意外と、いや最高にいい景色です。雲も平野もどこまでも続くかのように広がり、その中間におらが立っている。空も、大地も、ここからは見えないものは何もないような、この日この時間、この天気でなければ巡り会うことのできない壮大なこの景色を前に。目に見える様々な物の中心とも思えるこの空間の中で、今ここに立っている運命の様なものが、またはおらをここに誰かが導いた動機の様なものがあるのでしょうか? 偶然か、必然か、おらに関わる出来事が何事も・・・自然と一体化し非日常的なこの場所にいると、解らなくなってきます。
 すっかり今までの泣く寸前のような苦労は忘れてしまいました。双眼鏡をのぞいてみましたが暗くて何も見えませんでした。100円入れる箱があるのかな?と周りを見ても何もありません。まあこの広い景色だけで十分です。


 そこから先に進むと間もなく山頂に到着です。先ほどの先輩が地面に腰かけて休んでいました。神社にお参りし、周りをキョロキョロ眺めると立派な石でできた山の名前が彫ってあるもの(正式名称不明)が設置してありました。宮城県の山はすごいです。



 長い人が後ろから追いかけてきていない事を確認し(マジでビビッている)、リュックを下ろして景色を眺めます。休んでいる方に船形山の方角や月山が見えること、栗駒山も見える事を教えてもらいました。残念ながら本日は霞んで見えません。話を伺うと体力づくりの為に結構この山に登っているそうで、最近は往復しかできないとのことでした。
 また、そろそろクマにも注意しなければいけないと言っておりました。「えっ、やっぱりいるの?」聞けば下の民家の辺りや畑にも出没するそうです。ドキドキしてきました。最後に、北側に降りる道の事を訪ねると、そんなに大変ではないとの事。ただし、黒い人に遭う確率も高いなんておっしゃるもんだから、よけいに心配になってきました。


 3時10分を過ぎました。3時半には妻が林道を車で迎えに来ます、先輩に礼を言って高確率の道を下り始めました。

 何人かこちらの道を下ったみたいで、滑った靴の跡が濡れた土の上にところどころ付いています。しかーし、ここは高確率の道、油断なりません。鈴をリンリン鳴らし、ラジオをガンガンかけてリスの眼になって周りを見て歩きます。途中でラジオが入らなくなりました。まさか黒い人がおらを襲うために電波を妨害したのでしょうか?あの黒い毛皮は実は電波シールドなのかも?あり得ないことを次々に考え出し、こんなことにはアイデア抜群です。仕事でこの発想力があれば




 そう言えば尾根道からずっとチョウチョがおらの周りを飛んでいます。実は黒い人の手下で、おらの居場所をレーダーで報告している悪い奴なのかもしれません。もしくはおらの味方で、黒い人からおらを守るべくナビゲートしてくれているいい人なのかも。
 チョウチョはチョウチョです、たぶんヒラヒラ飛ぶのにいいことも悪いことも考えてはいないと思います、余計な勘ぐり失礼しました。ここでおらの野生の勘が危険地帯を察知しました。



右も笹やぶ左も笹やぶ、敵が襲ってくるとすればここに違いない。意を決し、足早にこの道を通過します。右から左からいつ黒い人の爪が出てくるかもしれません、イメージ的にはゲームセンターの右と左から出てくるワニを叩くゲームのような感じです。が、余計な心配でした。すんなり通過しました。結果的に黒い人の呪縛のおかげで早く下る事が出来ました。


 やがて妻の車が待つ林道に5分遅れで到着です。黒い人に遭うより遅れて怒られる方がコワいかも


 産直センターに寄りソッコーで野菜を買い、国道347号線を尾花沢に抜けて帰ってきました。347号線は、宮城県側で数か所工事中で片側交互通行なのと、一か所数百メートル位砂利道がありました。





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