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勝てば官軍

2010年06月15日 | サッカー日本代表
ただの1勝ではありません。
W杯南アフリカ大会1次リーグのカメルーン戦での勝利は、日本サッカー史に残る金字塔となりました。

仮に負けていれば、1990年7月31日の横山謙三・元監督の国際Aマッチ5連敗と並ぶワースト記録に。
まさに岡田武史監督にとっては「天国と地獄」ほどの差がある1勝でした。

奇しくも12年前の6月14日はW杯フランス大会でアルゼンチンに完敗した日でした。
12年の時を経て、日本代表はようやくW杯の海外開催で「初勝利」を挙げた記念日となったのです。


この日のピッチへ入場する先発選手全員は自信に満ち溢れていました。
実は試合直前のミーティングで岡田監督が発した言葉は「迷うな!」「信じろ!」の二言だけ。
その代わりに、これまでのチームの素晴らしいプレーだけを編集した5分間のDVDを選手達と共に観賞したのです。

日本サッカー協会関係者は「フランス大会の直前は井上靖、谷川俊太郎の詩を朗読しました。これが選手達には全く分からなかった。岡野や森島は何を言っているのか、さっぱり分からないと首をひねっていたんですよ」と苦笑。
今回は短時間でストレートに選手のハートを捕らえることに成功しました。

結果、選手の運動量は増え、特に遠藤選手と本田選手が90分間で11㎞を走り、長友選手は時速30㎞という最高速で走りまくりました。

試合が終了すると岡田監督から久々に笑顔がこぼれましたが、それも一瞬。
「勝ったと言うより、どう次を戦うか、頭がいっぱいです」
1次リーグ最強の敵・オランダ戦にシフトチェンジしています。

ようやくチームにも勢いが出てきました。
これまでは“迷将”と酷評されていましたが、あっという間に本来の“名将”に。
まさに“勝てば官軍”なのです。


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