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倉野立人のブログ

長野市議会議員の倉野立人です。
日々の活動や 感じたことをつづっています。

山にドングリを! ~花粉症で動物を愛護する人の叫び~

2024-06-30 04:34:58 | 日記

私の下(もと)に、自らも犬を飼うなどの動物好きで そして手ひどいスギ花粉症に悩む人(女性/70代/A代さん)から電話があり「私の訴えはスグには無理とは思うけど、これは1日も早く社会にアピールしてちょうだい!」との、A代さん曰く〝悲痛な鼻声(花粉症で)〟が寄せられたことから投稿させていただきます。

 

A代さんの意見は「山のスギ(杉)を切って ドングリの木(広葉樹)に植え替えて!」というものです。

これは ここのところ頻発する「人里に出没するクマによる被害」を解消し、そのうえで(A代さんのような)花粉症に悩む人の要因の軽減につながる、というものです。

動物の愛好者でもあるA代さんは、ここのところの〝クマ被害〟に心を痛めておられるそうです。

山中に エサとなるドングリが不足したせいで、やむなく人里に下(お)り食い物を求める〝生きるための行動〟が、何だか人間の社会生活を脅かす悪行に捉えられ、あげく互いに望まない遭遇により クマが自己防衛のために取った行為が、存外に人へのダメージが大きいために一方的に加害者扱いされ あげく殺処分される〝社会構造〟これががA代さんにとっては悲しいことこのうえないとのことであります。

クマだって、山にエサ(木の実)が充分にあれば わざわざ里に下りることはないし、山=クマ⇔里=人 との棲(す)み分けだって可能なハズだったのに…。

そのうえで スギ花粉症に悩むA代さんは「今のクマ被害は、かつての国による森林政策の間違い(見込み違い)に起因してるんじゃないの?」と思うに至ったとのことでありました。

 

このこと(国の森林計画)は、さきの第二次大戦に遡(さかのぼ)ります。

資源の無い日本(軍)は、戦争を維持するための燃料・材料を 唯一ともいえる森林資源に求め、山の木を伐採しまくりました。そのせいで 戦後の日本の山は禿げ山(はげやま)だらけになっていたものです。

 

 

 

それを埋め合わせるべく 戦後の政府の取った政策は、成長が早いうえに直立に伸びる「杉(すぎ)」でありました(ただ 長野県においてはカラ松も並行して植林された)。

国内の山という山にスギが植えられ、山々にはスギの木が それこそ行儀良く植えられ、さながら緑のエンピツの束のような景色がそこここで見られるように。

 

 

 

 

この〝スギ植林政策〟百歩譲れば、その後の政策が当たれば 善策として評価されたのかもしれません。

国は、スギを大挙して植え それを建築物の用材として活用することを目論(もくろ)んだのです。成長の早いスギを育て それを建築用材として内外に販売すれば、禿げ山の解消と森林産業の振興につながる、まさに一石二鳥の成果が挙がると期待したところでありました。

ところが実際にはどうでしょう。スギ植林の大義を余所(よそ)に 国は安価な外材の輸入を容認し、そのせいで国内の建設事業の材の多くは安価な輸入品で占められることとなり 国内の林業事業者は割の合わない国内材の切り出しを放棄、よって 日本の山は〝行き場の無いスギ〟で占められることになってしまいました。

これは残念ながら 政策矛盾の誹(そし)りを免れないところでありましょう。

だが、スギにも〝生きる権利〟はあります。自らの種(しゅ)を存続させるために 時期が来ればセッセと花粉を放出し、受粉の機会を設けようと努力を重ね…結果 増えすぎたスギの木々から放出される花粉は、ときに周辺に粉が舞うほどの勢いで 娑婆中(しゃばじゅう)に〝アレルギーの元凶〟をまき散らすことになっているのです。

 

 

 

 

で…この アンバランスな山の状況は、クマの食生活にも悪影響を及ぼしています。

当たり前ですが、スギの実やら何やらは クマのエサにはなりません。

しかし実際には、山には多くのスギが植えられ その分 クマのエサとなるドングリを実らす広葉樹は増えない。もって 一昨年のようにドングリ不作の年ともなれば、パイ(総量)自体に限りがあるために山のエサが減り おのずとクマはエサを求めて人里へと下るようになる。

そしてその際、残飯など ドングリ以外の「味」を覚えてしまったクマは、今度はドングリをそっちのけで人里にある〝別の食料〟を求めるようになる…。

「これは、かつての国策がもたらした〝クマのエサを巡る負のスパイラル〟じゃないの?で、ウチら花粉症者は その煽(あお)りを受けて手ひどい目に遭わされている。このやるせなさい思いは、いったいどこに持ってったらイイの?」とA代さんは言(ご)ちておられました。

 

 

 

 

「そのうえで…」とA代さん。

「私は、おなかを空(す)かせたクマが 空腹を抱えながら人里に下りたまま、腹を減らしたままに悪者扱いされて駆逐される様子が悲しくてたまらないの。人里で逃げまどうクマ・自己防衛のために結果として人を傷つけてしまって あげく〝犯人扱い〟されて殺処分されるのを見るにつけ、社会のシステム自体が違うんじゃないかと言わざるをえないの。」

「だから、今からでも遅くない。スギを切って、山にドングリ(広葉樹)を植え直しましょう!」

「山に、クマのエサ(となる広葉樹)を育てる。で、クマには安定した食生活を担保してあげるの。」

「そのうえで 山から無駄なスギが減れば、花粉症者も確実に減る。これこそが、クマ⇔人 との Win・Winの構図になるんじゃないかしら。」とのことでありました。

 

 

 

 

A代さんの説は、実に当を得ているものと思います。

ある学説によると、40兆円をゆうに超える国内の医療費の中で 花粉症による医療費は5,000億円前後であり、数字的には全体の1%程度に止(とど)まっていますが、日本全体 とりわけ社会経済へのダメージは数字以上のもの(悪影響)があると言われているとのこと。

花粉症の症状は、目のかゆみ・くしゃみ・鼻水・頭痛・薬による倦怠感など、花粉症のせいで仕事や学習の効率が下がってしまうのです。ただ、生命の関わるほどでは無いので 国策としての予防医療的研究も進んでいません。

このことは、もしかしたら国内GDPの伸び率低減・経済成長率低下の一因ではないか とも言われ始めているようです。

ある世論調査では、花粉症の季節には 7割以上の人が「仕事や学習が手につかない」と言っているとのことで、この〝花粉症がもたらす悪影響〟の現実は 今や「たかが花粉症」と捨て置くことはできないと言えるのかもしれません。

 

A代さんの〝悲痛な訴え〟は、広く捉えれば わが国の将来社会のあるべき姿をも占う貴重なご意見であると思います。

それだけに、いわば〝場当たり的〟に行なった行政施策が、後の社会生活にさまざまな影響を及ぼしてしまう感…その責任の大きさをも再認識させられたところであります。

 

 

 

 

長野市議会 令和6年6月定例会が閉会しました。

さまざまな課題を残しつつ、日月(ひつき)は経過する。

 

 

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