東海道程ケ谷 とうかいどうほどがや コレクション アート工房 雲のゆくえ
程ヶ谷は現在の横浜市保土ヶ谷区。程ヶ谷宿近くの品野坂は松並木が見事であったという。北斎はその松の枝振りを見事にとらえて描いている。前面の人物の描写も面白い。特に中央の馬子が、松の間から見える富士を仰ぎ眺めているが、この男のしぐさによって、遠方の富士との距離感が一気に伝わってくる。この馬子が牽く馬や背には永寿堂の家紋が見える。また、富士もよく見ると南側(画面左側)の斜面の雪が解けていて、描かれた季節が晩春であることがうかがえる。初摺りのイメージの版では人物の歩く地面や富士の裾野の山々に、明るい緑色が配されていたが、この版では藍色を主とした配色が施されている。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます