今日は「る」「らる」の意味用法の問題です。完了の助動詞の練習問題もどっかにあったはずですが、見つからないのでこっちを先に。高2の人でも十分対応出来ますよ。
問一 傍線部の助動詞の意味を選びなさい。(國學院大)
ア 見るにもの覚えずなりて、またいみじう泣かるれば、
イ みづからはましてものだに(=ものさえ)言はれず、ただ泣きにのみ泣く。
ウ 心地(=病気)いと重くなりまさりて、車さし寄せて乗らむとて、かき起こされて、
1 受身 2 尊敬 3 自発 4 可能
問二 傍線部の助動詞の意味を選びなさい。(立命館大)
ア 明け行く鐘の音に勧められて出で立つも、
イ かからむ後はと西行が詠みけるも思ひ出でられて、
1 受身 2 尊敬 3 自発 4 可能
問三 傍線部の助動詞の意味を選びなさい。(同志社大)
太宰権帥になし奉りてながされ給ふ。
1 受身 2 尊敬 3 自発 4 可能
問四 傍線部の助動詞の意味を選びなさい。(大東文化大)
ア 雷にくだかれし松
イ 夢かと胸のみさわがれて
ウ あげたる髪も背にかかりて、もとの人とも思はれず。
1 受身 2 尊敬 3 自発 4 可能
問五 傍線部の助動詞の意味を選びなさい。(東京女子大)(青山学院大)
(私は)今は口慣れて、夜もたどるたどるにて(=つっかえつっかえで)(法華経を)読まれはべる。(無名草子)
1 受身 2 尊敬 3 自発 4 可能
問六 傍線部の助動詞の意味を選びなさい。(早稲田大)
心なき身にもあはれは知られけり鴫立つ沢の秋の夕暮れ
1 受身 2 尊敬 3 自発 4 可能
問七 傍線部の助動詞の意味を選びなさい。(愛知大)
成範民部卿、事ありて後召し帰されて内裏に参られたりけるに、御簾の内へ(手紙を)さし入れて出でられにけり。
1 受身 2 尊敬 3 自発 4 可能
問 八 傍線部の助動詞の意味を選びなさい。(関西大)
ア 中将、「いかなる人にか」と尋ねられけるに、
イ 人に越えられ給ひなば、定めて世を遁れ給はんずらむ
ウ 宗頼・成経朝臣等、蔵人の頭に補せられにけり。
1 受身 2 尊敬 3 自発 4 可能 5 完了
問九 次の傍線部の「る」と同じ用法のものを選びなさい。(専修大)
風の吹きまどひたるさま、恐ろしげなること命限りつと思ひ惑はる
1 故宮のはてまでそしられさせ給ひしもこれによりてぞかし
2 かくてもあられけるよとあはれに見るほどに
3 今日は都のみぞ思ひやらるる
4 堀川殿にて舎人が寝たる足を狐に食はる
解答
問一 ア 3 イ 4 ウ 1
ア 「泣く」は心情動詞なので。「つい泣いてしまう」という意味。 イ 下に打ち消し「ず」があって「言えなくて」と訳してOKだから。下に「ず」の公式は一応訳して確認しよう。 ウ 誰かが誰かに「かき起こされ」たという解釈で意味が通る。ここでは「に」が省略されているが、尊敬と考える根拠も見あたらない。
問二 ア 1 イ 3
ア 上に「鐘の音に」と英語のbyにあたる「に」がある。 イ 「思ふ」の下のる・らるは自発から考える、という公式に照らし合わせて。
問三 1
可能性があるのは2の尊敬だけど、「れ給ふ・られ給ふ」の形の「れ・られ」は絶対尊敬にはならない。
問四 ア 1 イ 3 ウ 4
ア 上に「に」がある。 イ 「つい・自然と」胸がさわぐ、で意味が通る。 ウ 下に「ず」がある。
問五 4
これは意味から考えるしかないので、純粋な文法問題とは言い難い。受け身や自発は文意が通らず、尊敬にしないために(私は)なんて補っているから、ちと誘導しすぎ。ちなみに「無名草子」は鎌倉時代の物語評論。なんの物語?=源氏。
問六 3
これは自発の用例としては頻出。西行の歌。
問七 1
2 尊敬も可能性はあるが、「成範民部卿」なる人物が誰か偉い人に召し帰されて、と考えないと内裏に参る人がだれだか分からなくなってしまう。
問八 ア 2 イ 1 ウ 1
ア 中将が誰かに、なら1だけどだとしたら省略しないで書いてくれないとわからない。短文で出されている以上素直に解釈して良い。 イ 人に、だから ウ 蔵人の頭に、だから。この「に」は英語のbyにはあたらないけれど、「議長に任命された」のように今でも使うよね。
問九 3
「思ひ~」の形の複合動詞の下だから、楽勝。ちなみに選択肢の2は可能になる。徒然草の有名な一節。「こうしてでもいる(住む)ことができるよ」という意味。
受験生になる、ことからはじめるとGWが一つのポイント。4月の勢いが持続出来る人と、部活の引退試合なんかでペースが乱れる人に分かれる。でも部活やりきった人は強い、ってのはかわらないけどね。じゃあまた。